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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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ジュエルペットサンシャインは平成仮面ライダーの成功から学んでいる

アニメ ジュエルペットサンシャイン ジュエルペットきら☆デコッ! ビジネス 考察

ジュエルペットサンシャイン
2011年4月よりテレビ東京の土曜朝9:30枠で放送していたTVアニメである。
放送時間帯、そしてソフトのパッケージを見れば、メインターゲットは女の子向けのように思われる。

しかしその実態は女の子向けとは思えないブラックなギャグ、女の子の親世代のテレビ番組のパロディなどが多量に盛り込まれた「女児向け魁!!クロマティ高校」「女児向けカブトボーグ」「女児向け銀魂」などと呼ばれるアニメだった。*1
もっと具体的に言えば、グーグルで検索する際、先読み機能で、動画、感想といったワードに、マジキチという単語が混じってくると言えばわかりやすいだろう。

例えば33話Bパート、フローラの牧場でイェイ!では、主人公たちのクラスメイト、ヤギの八木沼くんが就職するグリーン牧場を訪れることになる。一見ふつうの話のように見せかけて、最後にはクラスみんなでジンギスカンを焼いて食べるという、八木沼くんの将来を心配させるようなオチを持ってきた。
パロディならば38話Bのパート。これは1989年まで放送されたバラエティ番組、オレたちひょうきん族ひょうきん懺悔室というコーナーが元ネタとなっている。もちろん、今の子供達はこのコーナーを知らないだろう。

ジュエルペットサンシャインは他にも懐かしの番組のパロディや、子どもには理解が難しいギャグがあったり、ルビーの指環、SHOW MEといった昭和の歌を劇中歌として使用したりと、10歳に満たない子どもを対象にしたと思えない描写が多々存在する。
なぜジュエルペットサンシャインは、このような作品となったのだろうか?スタッフがやりたいことを好き勝手にやっていたのだろうか?
いいや、違う。このジュエルペットサンシャインの作風には、きちんとした戦略があったのだ。
しかもその戦略は新しい発想ではなく、先人の成功を丁寧に分析し、ジュエルペット向けに再構成したものだ。
ジュエルペットサンシャインが参考とした先人。
それが平成仮面ライダーである。

平成仮面ライダーシリーズの強み

平成仮面ライダーシリーズ。2000年の仮面ライダークウガに始まり、2012年の今なお仮面ライダーフォーゼが日曜8時より放送している、もはや日曜の朝定番と言って良いコンテンツだ。おもちゃの売上も好調で、どこも売り切れで変身ベルトが手に入らない、といったことも珍しくない。
この作品のどこにジュエルペットサンシャインは着目したのだろうか?

おもちゃの作中での扱われ方?ストーリーの面白さ?
いいや、違う。ジュエルペットサンシャインが着目したのは、仮面ライダーに変身する主人公達。イケメン俳優達だ。

…ああ、わかっている。そんな変な顔にならないで欲しい。
確かにジュエルペットサンシャインは、イケメンアニメ、とは言い難いだろう。
御影というヒロイン二人の恋の相手となるイケメンはいるが、そのかっこよさが作中存分に発揮されているかといえばそうではない。むしろ天然などの要素が強調されることも多い。
ポイントはイケメンが出てくることではない。イケメン俳優が出ていることで、誰が仮面ライダーを見ることになったかだ。

平成仮面ライダーモデルとジュエルペットモデル

仮面ライダーは男の子が憧れるヒーローだ。自然と主要な視聴者は男の子になる。
では日曜朝に男の子がテレビを見ている時、その母親は何をしているだろうか?
そう、一緒にテレビを見るのである。
オダギリジョー賀集利樹要潤水嶋ヒロといったイケメンが登場する番組だ。子どもと一緒に楽しんでいた母親も多いだろう。
男の子と親が一緒になってテレビを見る。これを平成仮面ライダーモデルと呼んでもいいだろう。

ジュエルペットサンシャインはそこを平成仮面ライダーに学んだ。子供だけではなく、大人も一緒に楽しめる番組を目指したのだ。
土曜の朝に子どもが見ているテレビアニメ。しかし一緒に見てみると、どうやら懐かしの番組のオマージュがたくさん出てくる。
そうなれば親は懐かしい気持ちで、子どもは新鮮な気持ちで、一緒にテレビを見ながら笑うことができる。
この女の子と親が一緒にテレビを見るのは、ジュエルペットサンシャインモデルと言ってもいいのではないか。

この女の子以外でも楽しめる作品作りは、ジュエルペットサンシャインの次回作、ジュエルペットきら☆デコッ!でも取り入れられている。この作品では、戦隊物ヒーローの要素を取り入れ、女の子だけでなく、男の子も楽しめるように工夫されている。これによって、女の子と男の子が一緒の番組、一緒のおもちゃで楽しめるのだ。
これは少子化の影響で、女姉妹がいない、女の子の友達がいない、という状況へのアプローチの一つだろう。
これも一つのモデル、ジュエルペットきら☆デコッ!モデルと言っていいだろう。

新しい視聴者層の取り込みと市場の拡大

前述の三つのモデルのように、既存の視聴者層(男の子、女の子)以外の視聴者層(親など)の取り込みは、テクニックで番組の視聴率を稼ぐといった戦術レベルの話ではなく、番組の企画、あるいは会社レベルでの戦略に基づいたものといえる。
以前任天堂が、脳トレwiiスポーツnintendogsといったもので、それまでゲームをしていなかった人に興味を抱かせつつ、既存のゲーム好きにも新しい趣向を提供し、ゲーム市場の拡大に成功したのと近い。

このような新しい顧客を開拓する戦略は短期的に市場を拡大するだけではなく、長期的に見てもそのジャンルへの理解者を増やすことになる。子どもと一緒にジュエルペットを楽しんだ親たちは、ディズニーランドだけではなく、サンリオピューロランドにも行くようになるかもしれない。
またサンリオと言えばご当地キティなどといった展開も有名だが、この戦略を撮り続けていれば、ご当地ジュエルペットの商品が土産屋に並ぶのもそう遠い未来の話ではないだろう。

以上のように、ジュエルペットシリーズははちゃめちゃに見えて、とても考えぬかれたアニメとなっている。
企業のマーケティング担当、事業戦略の担当者は新しい顧客層の開拓、ひいては市場の開拓の方法の一つとして、ぜひとも参考にすべきだろう。