藤四郎のひつまぶし

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常識を見つめなおす物語、この中に1人、妹がいる!

アニメ、この中に1人、妹がいる!(以下中妹)は主人公に好意を持っている女の子たちの中に、血の繋がった妹が混じっている可能性があるという、おもしろい設定がある。これが主人公と特定の女の子が付き合わないことに一定の説得力をもたせている。

しかしこの血の繋がった妹との恋愛、結婚というのは、ラブコメの説得力を上げるだけにとどまらない、面白いテーマと言えるだろう。

異母妹と法律上結婚できるか

中妹の主人公、帝野将悟と血の繋がった妹は、将悟の父、熊五郎が浮気をして作った子であると考えられている。
仮にそうだとした場合の法律的障害はどうなっているだろうか?

まず2話で将悟は戸籍謄本を確認し、戸籍上父に娘がいないことを確認している。*1
この場合妹は熊五郎に認知されていない非嫡出子の可能性が高い。熊五郎が浮気相手の子供を認知しないのは大グループを率い、スキャンダルでのダメージが高いことを考えれば納得できる。
この場合、法律上将悟と異母妹の間に血縁関係は無いのではないか?

もしそうであれば法律上結婚は可能なのではないか?
*2

生物的な問題点

近親婚が認められない理由の一つに、その子孫が遺伝性疾患を持つ可能性が挙げられることがある。参考としてはこのような記事が見つかった。
スペイン・ハプスブルク家、断絶の原因は「近親婚」か 研究結果 国際ニュース : AFPBB News
私は生物学、遺伝などの分野についてはほとんど知識はないのだが、両親とも因子を持っていないと発症しない遺伝性疾患が発生するリスクを考えたとき、近親婚ではそのリスクが増大するというのはそこまで飛躍した発想とは思わない。*3

このリスクがどこまで重要なのか今の私の知識では判断できないが、それでもこの件について二つの論点を挙げられる。一つは子供が遺伝性疾患を持つ可能性が高まるという理由で子供を作らないことを社会が強制できるのか。もう一つは子供を設けることを目的としない結婚であればどう判断するかだ。

一点目は生命のふるい分けに関わってくる。現在でも胎児の段階で子供の障害についてのある程度の情報はわかるようになっている。
出生前診断 - Wikipedia
出産前に子供に障害があるとわかった場合、果たして親はどう行動するべきなのだろうか?これについて明確な答えは出ていないだろう。
遺伝性疾患を理由とした近親婚の忌避は、間接的にこの種の問題をはらんでいるのではないか?

二点目については、近親婚を生物の活動としてみた時に、そもそも子供を作らなければ問題が起きないのではないのか?という疑問だ。結婚をしても子供を残さない家庭は存在する。兄妹が結婚して子供を作らないならば、なにをもってその結婚を否定するのだろうか?

血の繋がった妹との結婚は社会通念上の認められるか

仮に法律上も生物的にも問題がないとなっても、それが社会通念上認められるとは限らない。特に帝野将悟は帝野グループの後継者候補となっている人物。たとえ法律などで問題がなくとも、私人としての将悟より公人としての将悟を優先し、社会通念にそった行動をとるのは間違っているとは言えない。
血の繋がった妹と結婚し、帝野グループの後継者となれば、妹の身元が突き止められ、熊五郎のスキャンダルが表沙汰になる可能性は上がる。また別々の環境に育ったとは言え、血の繋がった兄妹との結婚となればメディアは囃し立てるだろうし、忌避する顧客、取引先が出ないとは限らない。
社会通念にそった行動を(少なくとも外面上)とるのは1年にわたる英才教育を受けた将悟であればむしろ当然とも言えるだろう。

では帝野将悟は今後も血の繋がった妹との結婚を避けるべく行動していくだろうか?
それを考えるとき、中妹には他におもしろい境遇のキャラクターがいる。第二話でミスターXとして登場した水谷衣楠だ。
彼女は男しか入れない清流会という組織にどうしても所属したいため、性別を偽っている。つまり組織のルールよりも個人の気持ちを優先しているのだ。

組織のルールと社会通念の適用される範囲、規模が違う。しかし今後将悟と特定の女の子の関係が深まっていったとき、それが社会通念や会社の評判、あるいは後継者という地位よりも優先される可能性は無いとは言い切れない。そうなった時に後継者の立場を捨てて生きるのか、それとも帝野グループのトップとして認められるよう、総てを隠し通す決意をするのか、あるいは社会通念自体を変えようとするのか。可能性はいくつもある。

女の子の真意と将悟の気持ち、そして常識を見つめなおす物語

これら血の繋がった妹との恋愛・結婚という問題の他にも、将悟に好意を寄せる女の子について、帝野グループ、財産が目当てではないかと指摘する視聴者もいる。この女の子の真意、将悟がどの女の子が好きかという気持ち、そしてそこに立ちはだかる血のつながりや常識といったものをどのように絡めて一つのストーリーにしていくのだろうか。
この中に1人、妹がいる!はおもしろいテーマを扱った、目を離せない作品といえるだろう。

*1:現在は戸籍謄本ではなく、戸籍全部事項証明になっており、現在と法律が違う可能性はあるが今回その可能性は無視する

*2:科学的な方法などで血の繋がった兄妹であることが判明すれば婚姻届が受理されない、裁判所などでも認められないなどといった可能性は否定しきれない。法律・判例に詳しい方にご指摘いただければ幸いである

*3:これが現在の学説の主流なのかそうでないか、あるいは主流であればどこまでリスクを増大させるか、などこの分野の知識をお持ちの人がいればご指摘いただきたい