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うた恋い。の登場人物の感情を知るための補助線

モノや背景で登場人物二人の間に線を引いてあったら、緊張、拒否、別れなどの表現なのでは、ってお話。
このシーンののび太とドラえもんってどんな気持ちでどんな話してると思います? - 藤四郎のひつまぶし

今回は超訳百人一首うた恋い。3話より。

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こちらは紀貫之喜撰法師六歌仙に選ばれたことと、和歌集の序文で紹介したいことを告げる場面。

*2
こちらは喜撰法師僧正遍昭、良岑宗貞の昔話をし始めた場面。

前者は喜撰法師紀貫之を軟弱ものと言ったり、六歌仙に選ばれたことをいぶかしがってたりします。この時喜撰法師はそこまで紀貫之に協力したいという気持ちはなかったでしょう。なので紀貫之喜撰法師の間には柱という「線」が描かれているのではないでしょうか*3

後者では紀貫之に裏表はなく、純粋にすばらしい歌人として喜撰法師を選んだのだと認めたのかもしれません。あるいはただ昔話をしたくなったのか。いずれにせよ和歌集の序文作成に協力する気持ちはあったのでしょう。外から縁側を写していた先ほどとは逆に、内側から山野をバックに写すことで二人の間にあった柱がなくなっています*4

また茶色、黒を中心だった暗めの背景は緑や青を中心とした明るい背景になっています。気難しい老人を相手にする緊張感と、話をさせることに成功した開放感の表現とも言えるのでは*5。この考えを延長すると、前者で紀貫之の近くに配置された緑、後者の喜撰法師の近くに配置した石がそれぞれの性質を表しているなどと深読みしたりもできます*6

内と外で言えば、喜撰法師が内に秘めていたエピソードを、和歌集という外に開帳するということにこの二つの場面をこじつけてもいいかもしれません*7

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時代と所は変わって百夜通いを達成した宗貞と吉子。
大雨であわや命を失ったかと思われた宗貞と吉子は、そのままキスをしようとします。

*9
しかしその行為は吉子の手によって止められます。

この場面、最初背景には二人を遮る「線」になるものはありません。キスを拒むことになる吉子もその瞬間はそのまま夫婦になってもいいかな、と思ったのではないでしょうか*10
しかし吉子がキスを拒んだ場面では帳台(?)の模様の「線」で二人が分けられています。この場面で吉子は宗貞を好きではありつつも、一緒になることはできないと心に決めたのではないでしょうか*11

ちなみにこの3話、吉子の前の御簾が何度も画面に写ります。この御簾は物理的な障壁でありつつ、心の障壁にもなっているのでしょう*12
物語の佳境ではこんな演出があります。
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百夜通いで宮仕えをなんとかあきらめさせようとする宗貞とどんどん機嫌が悪くなる吉子の断絶を示すような演出です*15

超訳百人一首うた恋い。は、今のところ人と人との感情の機微をがっつりと描いた作品だと思っています。
登場人物の感情をより深く知るためには、声、表情、しぐさの他に、背景からも情報を読み取ろうとするのもおもしろいかもしれません*16

*1:杉田圭/メディアファクトリー・和歌恋製作委員会 『超訳百人一首うた恋い。』3話

*2:杉田圭/メディアファクトリー・和歌恋製作委員会 『超訳百人一首うた恋い。』3話

*3:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*4:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*5:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*6:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*7:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*8:杉田圭/メディアファクトリー・和歌恋製作委員会 『超訳百人一首うた恋い。』3話

*9:杉田圭/メディアファクトリー・和歌恋製作委員会 『超訳百人一首うた恋い。』3話

*10:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*11:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*12:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*13:杉田圭/メディアファクトリー・和歌恋製作委員会 『超訳百人一首うた恋い。』3話

*14:杉田圭/メディアファクトリー・和歌恋製作委員会 『超訳百人一首うた恋い。』3話

*15:あくまでも個人の感想であり、製作者の意図を正しく汲み取っていることを保証するものではありません

*16:あくまでも個人の意見であり、製作者の意図を正しく汲み取ることを保証するものではありません