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恋と選挙とチョコレートの見せたかったもの


恋と選挙とチョコレートこそが、政治を描くアニメの最先端だ!

恋と選挙とチョコレートは、主人公大島佑樹が、自分の所属する毎日お菓子を食べてばかりの食品研究部、通称ショッケンを、実績のない部の部費削減、廃部を掲げる時期生徒会長の有力候補、東雲皐月から守るべく、生徒会長を目指して選挙に立候補し、戦っていくというアニメです。

このアニメは生徒会とその活動を学校の組織とイベントではなく、政治の縮図として描こうとしています。そこが私の心をグッと掴んで離さないのです。

以前このような記事を書きました。
そして先日恋と選挙とチョコレートの最終回を視聴したのですが、
政治的な部分・選挙に関する部分を中心にまとめてみたいと思います。

予備選を通過した候補者たちのスタンス

東雲皐月

財務部出身の彼女の政策は大きく分けて二つです。
ひとつは実績なき部活の部費削減、廃部。
もうひとつは経済特待生の待遇改善。
この政策と作中の皐月の言動を見ると、やる気のない部の尻をたたき、やる気や才能があっても経済的事情でそれを発揮できない経済特待生にもっと活躍してもらおうというイメージを受けました。

大島祐樹

廃部寸前のショッケンを背負って立つ彼の政策は現在の部費・部活の存続というシンプルなものです。

辰巳茂平治

総務部出身の彼の政策は作中ではあまり明確で無いように思います。
というより、1話でプリペイドカードによる買収に近い活動を行なっていたり、1話で大沢事件を追求していたはずが最終話でその大沢の所属する片平派と手を組むなど、権力を得るためならば政策に重きを置かないということなのでしょう。
ただその手を組んだ大沢が経済特待生のいじめを容認することで学園の治安を守ることを良しとしているところなどを見ると、体制維持に近いはずです。

各候補者のスタンスはこのように学園の体制を守ろうとする大島、学園改革をすすめる皐月、権力志向の体制維持派、辰巳となります。

ラストでの大島の心変わりとそこに至る積み重ね

大島はショッケンの廃部を免れたいという一心で毛利会長の協力を仰ぎ、予備選を通過、最終候補の一人となりました。
しかし9話で青海衣更へのいじめに遭遇し、大沢事件の詳細を知ることで廃部を免れるだけではなく、経済特待生への差別を無くしたいとも思うようになります。
これについては千里、毛利会長に当選のためには少数派のための施策を打ち出すべきではないと指摘され、おそらく最後の演説の時まで議題にはしていません。

立候補者の討論会では財政問題、特に部費・廃部問題がクローズアップされていたことがASPの記事から分かります。
逆に言えば経済特待生問題についてはそこまで論点にはなっていなかった、つまり大島と辰巳は特に言及していないのではと想像できます。

しかし最後の演説で大島は選挙に勝つための政策を捨て、自分の気持ちを伝えます。
敵も味方も含めて学園の生徒みんなが好きだといい、好きな人同士がいがみ合わず、手を取り合っていきたいと述べます。
なぜこのような心境に至ったのでしょうか?

それは大島が演説時間に間に合ったのは多くの人が手を取り合ったからです。

例えばショッケン部員たちが大島の行方を追えなくなった時、今すぐお兄ちゃんに妹だっていいたい!のキャラたちが大島を発見する場面がありました。
彼女たちは皐月へ大島の様子をメールで伝え、その内容は葉月へ伝えられます。

大島を脅迫していた大沢を特定するのには森下の能力を、大沢を抑えて大島と連絡を取るのには毛利会長の力を借りました。

千里は大島が千里のために選挙をすっぽかしたと言うと、9話では大島に何処にもいかないでと言っていたにもかかわらず、大島は千里一人のものではないと言い切り、その背中を押します。

会場までの移動はさるコンビが、不在のため演説を終了しようとする運営への対応は青海、木場が受け持ちました。
ショッケンメンバーで動いていないのは枝川と夢島だけです。働け。

そして壇上で持ち時間終了のブザーがなった時、助け舟を出してくれたのはライバルである皐月と辰巳でした。

このような人の助けがあったからこそ、前述の演説に繋がったのではないでしょうか。

みんなの力で前に進む

選挙が終わり、大島が当選したあとのショッケン。
そこにはそれまでのアルバイト、部活を禁止されていたはずの青海衣更がいました。
またショッケンを廃部にしようとしていたはずの皐月も部員として参加していることがわかります。もしかしたら毛利会長と香奈も部員になっているかもしれません。

おそらくこのショッケンの状態こそが、この選挙戦を通じて変わらない部分と、変わった部分をわかりやすく体現しています。

部室にやってきた皐月の言う大島会長の穴だらけの政策。これは部活の存続と経済特待生の待遇改善を同時に行なっていることも要因の一つのはずです。
部費を削って経済特待生への支援にあてるという正攻法が使えないのですから。

この問題は大島会長の力だけではなく、生徒たちみんなが手を取り合うことで解決していくことでしょう。
丁度最後まで手を取り合って戦い、廃部になることを免れたショッケンのように。

細かい見所

これ以外にも最終回は細かい見所が幾つかあります。

毛利会長が大沢を拘束する際、香奈を轢いたのはあなたですね、と言って右目を開けます。
これは11話で香奈の身に何かあったら君を許しません、と大島に言って左目を開けるのに対応しています。
いつも細目の毛利会長が、香奈についての時だけは目を開く。彼女への思いが伺えます。

また皐月と葉月が連絡を取るのは、7話での和解が無ければあり得なかったでしょう。

そんな細かいところを含めて、ここまでの話の総まとめとして申し分ない最終話だったと私は思うのです。