読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

お気に入り+このサイトの新着記事

極右アイドルとマルクス主義アイドルがやり合うラノベは大日本サムライガールだけ!(多分)

ライトノベル 大日本サムライガール ストーリー 紹介 感想

「貴公のような輩は日本から出て行け! どこぞの共産主義国家にでも今すぐ亡命しろ! 同じ空気を吸うのも御免被る!」
至道流星大日本サムライガール 4 』(星海社FICTIONS) P267

こんなセリフがヒロインから、それも戦記モノでも歴史モノでもない、異能バトル展開すらない現代日本を舞台としたアイドルモノから出てくるのだから恐れ入る。

冒頭のセリフは大日本サムライガールの第4巻の一幕。

真正右翼を称するヒロインの神楽日毬が共産主義政党に属する槙野栞をアイドル事務所にスカウトする流れで出てきたセリフだ。
自分で書いていてどういうことだよ…と思わなくもないが事実だからしょうがない。

大日本サムライガールと第4巻のあらすじ

この大日本サムライガールは神楽日毬が独裁者として日本の頂点に君臨しようとする物語。
その神楽日毬の夢への道筋として、手っ取り早くメディアを最大限利用できる立場、アイドルになることをすすめ、マネージャー兼芸能プロダクション経営をすることになったのが本作主人公の織葉颯斗になる。

これまでは慣れない芸能界に戸惑い、時に常識はずれな行動をしつつも結果オーライで通ってきた日毬が、この第4巻では初めてといってもいいかもしれない長いスランプに陥ろうとしていた。

日毬は初のレギュラーかつ自分が司会の討論番組『ひまりんプロジェクト』に四苦八苦することになる。
日毬は相手の意見に気に食わない部分があると食ってかからずにはいられず、議論、討論慣れしている学者、政治家、実業家相手には上手く咬み合わないのだ。

そんなときに大阪でのテレビ出演の仕事で出会ったのが槙野栞。
売り言葉に買い言葉、議論と言えるような言えないような舌戦を繰り広げた二人。
その当事者たる日毬が、栞は討論番組『ひまりんプロジェクト』に光明を与えてくれるのではないかと思ったのだ。

この槙野栞の登場によって、大日本サムライガールの面白さはさらに際立ってきたように思える。

掛け合いの面白さ

これまで日毬については好敵手と呼べる相手はいなかった。
日毬の周りはアイドルとして日毬を受け入れてくれる普通のアイドル(いや、トップアイドルクラスの子がいたりと普通ではないんだけど、政治活動をしたりしていないという意味で普通)、そしてビジネスの相手が多い。
日毬の主張を面白いと思い、演出の一つとして利用しようとは思っても、真っ向から意見を対立させる人はほとんどいなかった。

そこで共産主義政党に属する槙野栞である。冒頭の過激発言にもつながろうというもの。
二人の息は真逆にがっちり噛み合い、隙あらば相手をチクリと刺す言葉の応酬。
これまでの日毬のトンデモ発言一発で目を白黒させていたところに、二の矢三の矢が飛んでくるのだからたまらなく楽しい。

日毬の主張の明確化

これまで日毬の政治的主張は基本的に一方通行、時に颯斗の現実的提案で受け流される展開で説明されていった。
極右、と言われてぱっと思いつくイメージはあれど、その主張を細部まで想像するのはなかなか難しい。
そこに極右とは犬猿の仲といっていいマルクス主義者の登場である。
舌戦、というか悪態や暴言のオンパレードを通して、二人の主張がわかりやすくなっていく。

二人とも弱者の保護が大切だとは思いながらも、日毬は日本という国が強く豊かになり、その豊かさを分け与えることで弱者を救うという。
それに対して栞は目の前にいる弱者を放っては置けないという。
個人的には行き着く所は同じに見えるが、日毬にとっては全然違うらしく、栞は右翼を信じられないという。
このような主張の細部については、意見が対立する対等の相手がいることで今後もますます際立ってくるだろう。

今後の期待

栞の参加でひまりんプロジェクトは持ち直すのだろうと思うのだけど、その後の展開はやはり選挙などの政治関連の話になってくるのだろうか。
4巻ですでに種は蒔かれているし。
ただし次巻ではやや収穫には早いかもしれない。
リアリストな颯斗ならしっかり段階を踏んでいくだろうという予想はありつつも、時に大胆な決断もしてくる主人公だ。楽しみにしておきたい。

そうそう、颯斗の千歳いじりがさすがにパワハラの域に達していると思うので、栞はぜひとも労働組合作ってストライキや、労基署へのタレコミをやって欲しい。
あと颯斗は経済的損得や名誉中心で人の心を推し量りがちで、乙女心を介さないところも問題。
今後取引相手で颯斗に惚れる相手なんかが出てきたら大変ではないだろうか。
この辺つっつく展開はあるかなー、ないかなー。

そんな感じの本作、大日本サムライガールはただ今最前線で1巻が丸々閲覧可能。
興味のある方はどうぞ最前線のHPを覗いてみてはいかがだろうか。

『大日本サムライガール』至道流星 Illustration/まごまご | 最前線 - フィクション・コミック・Webエンターテイメント

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)
大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)