読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

お気に入り+このサイトの新着記事

再掲:シュタインズゲート初期感想&ゲームにおける携帯電話のリアル

※本記事はジャムミックス!で2009/10/21、2011/4/10に投稿した記事を修正・追記・再編集したものです。

(2009/10/21)

5pb.×Nitroplusのコラボ、想定科学ADV第二弾のSTEINS;GATEを先週購入しました。
このゲームは大雑把に言えばノベルゲーム。文章を読み進めていくゲームになります。
現時点で総プレイ時間5時間ちょい、第2章終了までプレイしたのですがこいつは自分的には大当たり!
XBOXをネットにつないでいる人なら体験版で第一章までプレイできるので、ぜひプレイしてもらいたいです。
でどんなところが大当たりかといいますとストーリーとシステム、キャラとそれぞれがGoodです。

没入感のある設定とストーリー

STEINS;GATEは一言で説明すればタイムマシン物。
ひょんなことでタイムマシンを作ってしまった主人公、鳳凰院 凶真(本名:岡部倫太郎)とその仲間が大事件に巻き込まれていく…はずなのですが、正直なところ第2章終了時点ではまだ大事件には巻き込まれてるとは言い切れない感じ。

一度主人公がタイムトラベル、もしくは過去の改変を経験しているのが大事件といえば大事件でしょうか。他の人はまったく認知していませんが。
あと秋葉原ラジオ会館人工衛星が墜落していたりしますがこれも当事者とまではなっていません。

このゲームのストーリーはいい感じに遠い現実、近い現実そして空想を織り交ぜていると感じます。
実際のタイムトラベルに関する高度な物理の理論を結構まじめに紹介したかと思えば*1、2000年にアメリカのネット界隈で話題になった「タイムトラベラー」ジョンタイターの話や2ちゃんねるスラングを持ち出してみたり。

お堅い話とゆる〜い話をMIXしたところにこっそりフィクションを仕組んでいたりするものだから、側にグーグル先生をはべらせていないと、事実と空想の設定がかなりあいまいに。

逆にいうと日常からシームレスにこのゲーム独自のストーリー、設定に入っていけます。
というか時間旅行って、宇宙旅行とならんで人類の永遠の憧れのひとつだと思うので、それを(ある程度理屈付けして)疑似体験できるってだけでわくわくしません?

携帯という最重要システム兼主役級小道具

シュタインズゲートは一般に想像されやすい他のノベルゲームと大きく違うところがあります。
それは選択肢を選んでストーリーが分岐するのではなく、携帯電話の着信やメールにどう反応するかでその後のストーリーが変わっていくことです。

これ、言葉でいうと「選択肢の演出凝ってみました」ってだけかと思われるかもしれないんですけど、少なくとも自分には選択肢を選ぶゲームとはまったく別物であるように感じられます。
というのはこの携帯、主人公岡部が他のキャラと話をしているときに空気を読まずにメールの受信を知らせたり、着信音を鳴らしたりするんです。

無視するのも勇気がいるし、かといって話の途中で携帯いじりだしたらその人はむっとしますよね。
でそのときのメールがたわいもないメールだったりして、いらいらさせられたりするのです。
(まだ序盤だから重要な分岐はないのかなぁ)

これ、他のノベルゲームだったりするとその後のストーリーに影響を与えない3択だったりするのでしょうが、いきなり画面に3つの選択肢が出てきて「選ばされる」のと、いきなり携帯が鳴り出して、携帯をとるかどうか「選ぶ」必要があるのとでは(個人的には)臨場感が違います。

またこの携帯、送られてきたメールに画像が添付されていたりすると、それを壁紙にできたり、メール受信音や着信音、バイブの設定も(ゲーム内で用意されているものだけですが)自分好みに変えられるのです。

特にバイブの設定を付け加えればあら不思議、コントローラーが急に携帯めいてきます。
携帯と振動機能付きコントローラーが両方とも手持ちサイズで振動するものだ、というのは盲点でした。

そしてこの携帯電話は過去にメールを送ることができるキーアイテムにもなっています。
そのキーアイテムを実際に手で持って操作しているかのような演出は、自分自身の手で物語を動かしている印象を高めます。

度が過ぎる厨二病キャラをはじめとした個性的なキャラ

主人公岡部倫太郎は人前でもいきなり自分の「痛い」設定を語りだすキャラですが、これがまた宮野真守さんの演技がいい意味でひどくて最高です。
芝居がかったしゃべり方なんて表現がありますが、岡部の場合はそんなものじゃありません。
演技過剰、度が過ぎたピエロ、現代のドンキホーテといった表現で果たして伝えられるかどうか。
それほどわざとらしく、滑稽で、悪趣味な口調に仕上がっています。

またその言動は自分中心で自分が特別であることをアピールする方向にバイアスがかかっています。
たとえば2章でヒロインの一人、牧瀬紅莉栖(マキセクリス。てかこれ読めないよね…。)と向かい合って重い荷物を持って運ぶ場面があります。
この時、岡部は有無を言わせず紅莉栖を後ろ向きで歩かせます。
どんなに不平不満を言おうが、転びそうだからやめてと泣き叫ぼうが。
俺が友達にこんなことされたら絶対あとでスネに蹴りいれます。

あと1章で大学の特別講義の場面では、みんなが静聴している最中、いきなり講演者に異議を申し立てたりします。
こんなやついません。
反論はあっても質疑応答まで待つか、あるいは最後まで口には出さずに講演者はバカだ、と勝手に烙印をつけて終わりってところではないでしょうか。
しかし岡部はそこのところブレーキが効いておらず、うざさ7割、鋭い洞察3割(自分調べ)でどんどん他人を自分のペースに巻き込んでいきます。

実はこのキャラ設定、何気にSTEINS;GATEの特徴的なシステムを支えてるんじゃと思っています。
というのも先に言ったとおりこのゲーム、選択肢がないため、主人公を直接行動させることができないのです。
つまり、個性のない主人公だと「自分の思い通りに動かない」ことがストレスになってしまうのですが、
岡部は「自分の思い通りに動かない」困ったやつだ、と思わせる説得力を持っています。
この性格ってSTEINS;GATEのシステムを補完していると言えるのではないでしょうか。

また岡部の魅力を高めているのはただ痛いやつというわけでもなく、本当にショックな場面に遭遇したときには普通の対応も見せるし、仲間に危険が迫るかもという場面では仲間を心配したりするところです。
いつもは駄目なやつだけど実は…というよく認知されている手法ではありますが、明らかに暴走が過ぎる岡部を上手いところプレイヤーのいる地点まで近づけてくれます。

岡部の話ばっかりになってしまいましたが、18歳飛び級天才少女の牧瀬紅莉栖が@ちゃんねる用語(こっちでいう2ちゃん用語)を岡部のノリに合わせて使ってしまったり、機動武道伝Gガンダムのドモンカッシュでおなじみの関智一さんが演じる純潔のオタク(橋田至)だとか意外性のあるキャラがこれまた個性的な絵でもって描かれており、とても新鮮な気持ちでプレーできます。

とまぁながながと自説をかいてきましたが、2章時点ですでに買ってよかったと思っていますし、早く続きをしたい作品です。

(2011/4/10)

キャサリンシュタインズゲートでは携帯電話が重要なガジェットとして使われています。
その表現はリアルで画期的でこんなすばらしいシステムを考え出した製作者はきっと特別な存在なのだと感じました。

シュタゲはぱっと見典型的ノベルゲームといってもよく、ウィンドウに出てくる文章を読み進めるのが基本です。
しかし変わっているのが分岐の方法で、いわゆる選択肢は存在しません。
文章を読み進める途中で電話やメールの着信があり、応答・返信することでその後の展開が変わることがあります。

キャサリンでもアドベンチャーパートであるストレイシープというバーでほかのお客とやり取りする場面では、時々携帯にメールが届きます。
そのメールへの返信が分岐の要素のひとつになっています。

両作ともある行動をしている時にそれを中断させる形でメールや電話がくるのですが、内容、発信元、プレイヤーがしようとしていた行動次第で「まってました」にも「うざい」にもなるのがとても面白いです。

また両作品とも選択肢の変形として携帯というガジェットを採用していますが、表現方法、特に両方に共通する携帯メールの表現についてはまったくといっていいほど仕組みが違い、両作品の特徴を表しているようで興味深いです。

STEINS;GATEの携帯電話

STEINS;GATEでは専用のボタンを押せばウインドウの上に携帯の画像が現れます。
電話をとれば発信相手の音声がながれます。
メールを開くと返信可能なものは文章の数箇所がインターネットのリンクのように青くなっており、どれか選択するとその部分に対応する返信が表示され、送信されます。

これがSTEINS;GATEの選択か…というのはシュタゲ主人公の岡部の(妄)言ですが、実際のストーリーでは岡部が何度も重大な選択を迫られることになります。
語句を選択して返信するシステムはこの選択という行為を象徴しているように思えます。

またSTEINS;GATEの登場人物はネットスラングを多用したり、2chに入り浸ったりもしています。
このような設定をすんなり受け入れられるウェブに親しんでいる人はウェブページ然としたメール周りのシステムもすんなり受け入れられるのではないでしょうか。

キャサリンの携帯電話

キャサリンではメールをもらうと返信メールの作成画面を開けるようになります。
作成画面で決定ボタンを押すと文章が出るのですが、気に入らなければキャンセルボタンで文章を削除、もう一度決定ボタンを押すことで違う文章になります。
これを繰り返して大体3つぐらいの文章をつなげて返信することになります。

これ、操作の効率だけで考えるとかなり出来が悪いです。
複数ある選択肢からある選択肢を選ぶとき、普通の選択肢なら十字キー複数回+決定ボタン一回で済むところ、決定ボタン+キャンセルボタンを目的の選択肢にたどり着くまで繰り返さないといけない仕様ですから。
おまけに選択肢がいくつあるのかも直ぐにはわからない。

しかしそれを補ってあまりある秀逸な「悩んでいる」演出になっています。
キャンセルしたときいちいち「違う」などといったつぶやきが出るところも含めて。

この悩んでいる感じが、主人公のヴィンセントが恋人のKatherineと浮気相手のCatherineに煮えきらない態度でいることと上手くリンクしています。
そして選択を重ねていくうちに自分がどちらを大事にしているかが見えてきて、それがそのままエンディングの分岐につながっていくところも見事です。

STEINS;GATEとキャサリンは携帯電話のすべての機能をゲームで再現してはいません。
再現しているのは携帯電話の機能の一割にも満たないでしょう。
しかしその一割に満たない機能であっても、ゲームに合わせてしっかり抽出してあれば、機能として必要十分であるとこの二作品は示しているように思えます。

(2013/1/22)
今科学シリーズ第三弾のロボティクスノーツが放送されていますが、この原作ゲームもタブレット型の携帯端末で分岐をするシステムは興味深かったです。
ただロボティクスノーツに関してはやや機能の抽出の仕方がちょっと足りてなかった感じもしています。
クリア後のロボノ雑感(バレあり) - 藤四郎のひつまぶし
この手の実質「選択肢」だけどそうと見せない手法は逆転裁判の「法廷記録」から証拠品を突きつけるところなんかもそう判断してもいいかなと思います。
こんなふうな「選択肢」と見せない選択肢が増えるとぐっとゲームの臨場感が高まるので今後も増えていってほしい表現だなーと思っています。

*1:といっても自分の高校物理レベルではお話にならない。大学で講義取っておけばよかったかな…