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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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まおゆうが逃亡する農奴を虫あつかいしたまま終わった作品と言われていて悲しい

キリスト教の「聖人」に夢見すぎ - 法華狼の日記
こちらの記事の最後に

……もっとも、『まおゆう魔王勇者』は、やむにやまれず農奴が逃亡することを、運命をつかみとらない虫あつかいしたまま終わった作品でもある。その愛読者ならば、夢想的に侵略者*1を暗殺したテロリストなど、あらゆる価値観において否定されるべきと主張しても、特に不思議はないかもしれない。

なんて書いてあって悲しかったです。

まとめサイトで見るに、魔王たちが住む村の国の王、冬寂王が農奴に対してこんな態度だったりします。
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」4

408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/11(金) 19:23:24.29 id:sQx9tPoP

中略

冬寂王「これについて、奇跡の妙手はないのだと考える。
 地道に説き、問題の起きた箇所をそのたびに手直しせねば
 ならないのだろうな。
 農奴が全て自由開拓民になって、独自の畑を持てるようになるのは
 なるほど素晴らしいことなのだろが
 その場合、どうしても、開墾されていない土地が
 割り当てられることになる。
 開墾をした土地は、開墾者に権利があるべきだからだ。
 だが、未開墾の土地では栽培もままならないだろうし、
 飢えれば暴力的な事件も起きるだろう」

中略

勇者「理念は判るが、大変そうだな」

冬寂王「そうだな、大変だ。恐ろしく手間がかかる。
 その上、これは過渡的な制度だ。いまは、流入してきた
 開拓民を“里家”に強制的に編入しているが
 将来的には“里家”さえも自由に選べるのが理想なのだろう。

   大変だが、仕方あるまい。これが正しいと信じたのだ。
 学士殿が残してくれた『紙』が役に立っているよ」

流入してきた農奴が自前の畑を持てれば素晴らしいと言っています。
大変とは言っていますがそれは問題解決が大変さを言っている気がします。
農奴を見下している、虫あつかいしているという風には私には読めませんでした。

南部の鉄の国ではこんな会話が繰り広げられていたりします。
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」6

322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/18(金) 23:57:17.77 id:LAEzTxgP

中略

鉄国少尉「でも、とりあえずの所は問題が山積みな訳です。
 そもそも何でこの国にここまで移民が来ているかって云うと
 食料が豊富で農奴の解放が進んでいる三ヶ国通商同盟のなかで、
 中央に対して国境線が比較的近いのが
 冬の国と我が鉄の国だからですよね」

軍人子弟「そうでござるな」

鉄国少尉「しかし、そこでやってくる移民っていうのは
 殆どが逃亡農奴や、貧しい開拓民で、
 財産なんてろくに持っていなかったりするわけです。
 たとえ財産を持っていた場合でも、一家族で他国へとやってきて
 いきなり食っていくのは相当に難しいですよね」

軍人子弟「そう言えばそうでござるなぁ」

鉄国少尉「今まではそういた移民は冬の国や氷の国にも
 お願いしたり、あちこちの村にちょっとずつ
 引き受けて貰ったりして分散の処理してきたんですが、
 それも限度を迎えているわけで」

中略

鉄国少尉「とりあえず?」

軍人子弟「希望者は全て軍で雇用するでござるよ」

鉄国少尉「はぁ!?」

軍人子弟「だって、“軍人は平時は行政の仕事をする”のでござろう?
 それなら兵科を新設するでござる。工兵の下に。
 平時は農業を営む、半農半軍の組織を作るのでござるね。
 軍務は、とりあえず5年。5年つとめれば、適当な金額と
 農地を与えると云うことで設立できるでござろう」

鉄国少尉「軍で、ですか」

334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/19(土) 00:09:13.10 id:GDf918.P
軍人子弟「妻子連れであっても受け入れ可能なように、
 年齢規制も広げるでござる。
 氷の国に近い荒れ地や森林に送り出して開墾を
 お願いするでござるよ。
 あのあたりであればそうそう戦にも巻き込まれぬ内側だし
 河もあれば丘もあるでござろう? 人手さえあれば
 優良な放牧地とのうちになるはずだと聞いてござった」

鉄国少尉「支援体制は? 食料などはどうするんですか?」

軍人子弟「軍人でござるから、当然国家からの支給を
 すべきでござろうね。
 この件については直接、鉄腕王に奏上するでござる。
 ただ、馬鈴薯の生育速度を上手に使えば3年で
 十分に元は取れるでござろう」

こちらでも問題解決に頭を悩ます風ではあれど、農奴を虫あつかいしているとは私は受け取れないんですよねぇ…。
こういう描写があっても『やむにやまれず農奴が逃亡することを、運命をつかみとらない虫あつかいしたまま終わった』なんて言われちゃうんだなぁ…。

まぁそういうふうに思う人がいるのも理解できるんですけどね。
実際にアニメでは2話でのメイド姉の態度はそうとしか受け取れませんし、口調がきつくてショッキングなのもあって印象に残るでしょうし。
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」1

292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:07:38.70 id:AIDyRnsCP

中略

メイド長「百歩譲ってその熱意を努力と呼んでも
 良いでしょう。しかし、それをなすに当たって
 他者の家に忍び込み、あまつさえその厚意にすがり。
 そればかりか寝床と食事を与えてくれた
 その他者の立場を逃亡によってさらに悪くする。
 そのような方法を是とする。
 それがあなたたち農奴のやりようですか?」

妹「だって、だってぇ!」

メイド長「もう一度云います。
 自分の運命をつかめない存在は虫です。
 私は虫が嫌いです。大嫌いです。
 虫で居続けることに甘んじる人を人間だとは思いません」

そして農奴だったメイド姉の発言にメイド長の考えを肯定するような面も見えますし。
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」4

104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/10(木) 17:44:51.05 id:I7KnzzEP

中略

自由――?

メイド姉「そうです。それはより善き行いをする自由。
 より善き者になろうとする自由です。
 精霊様は、まったき善として人間を作らずに、
 毎日、ちょっとずつがんばるという
 自由を与えてくださった。それが――喜びだから」

メイド姉「だから、楽だからと手放さないでくださいっ。
 精霊様のくださった贈り物は、

 たとえ王でも!
 たとえ教会であっても!

 犯すことのない神聖な一人一人の宝物なのですっ!」

108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/10(木) 17:47:57.60 id:I7KnzzEP
使者「異端めっ! その口を閉じろっ」 ビシィッ!

メイド姉「閉じませんっ。
 わたしは“人間”ですっ。

 もうわたしはその宝物を捨てたりしないっ。
 もう虫には戻りませんっ。たとえその宝を持つのが辛く、
 苦しくても、あの冥い微睡みには戻りはしないっ。

 光があるからっ。
 優しくして貰ったからっ!」

個人的にはメイド姉については農奴が虫というより、自由を手放してはいけない、の方に重点を置いているように読みましたが、その辺は人の読み方でしょうしねぇ…。

まおゆう読み終わった感想として、魔王側とそうでない側に二分するのは難しそうだなぁと思ったのも冒頭の言い方が悲しく感じる原因なのかもしれません。
勇者と魔王はその目的と手法は一心同体といっていいでしょうけど、それ以外の人は距離の近い人から遠い人まで様々な印象。
青年商人なんて敵でも味方でもなく取引相手と言っていますし*1
この辺も人の読み方次第なんでしょうけど。

でも『やむにやまれず農奴が逃亡することを、運命をつかみとらない虫あつかいしたまま終わった作品』なんて言われるのは悲しいなぁ…。

あと『その愛読者ならば、夢想的に侵略者*1を暗殺したテロリストなど、あらゆる価値観において否定されるべきと主張しても、特に不思議はないかもしれない』って言い方は単純にひどいなぁと思います。
これ「人間失格の愛読者ならばアルコールや薬物におぼれても特に不思議はないかもしれない」とか、「ゼロの使い魔の愛読者ならばツンデレ美少女の下僕になりたいと思っていても特に不思議はないかもしれない」とか応用範囲が広すぎる気がするし。

そんな感じの悲しいお話でした。

*1:アニメ4話、スレ2