2013年1月現在、最もホットでエキサイティングなアニメの一つにアイカツ!を挙げてもいいと私は思っています。
このアイカツ!の何が素晴らしいのか。
それは物事の表面をなぞるだけに留めない丁寧な作りです。
その丁寧さはメインテーマであるアイドル活動だけにとどまらず、劇中で取り上げられる様々な事象に対しても発揮されています。
ネットとの付き合い方
第7話「つぶやきにご用心」ではTwitterを模したキラキラッターというツールが登場します。
Twitterと同じく身の回りのことをつぶやいたり、誰かのつぶやきに返信をしたりするツールです。
アイドル、Twitter、ご用心、といったワードが並べば、誰もが不用意な発言をして失敗するのでは、と想像を働かせるでしょう。
しかしアイカツ!はそこを覆してきました。
この回でフォーカスが当たるのはメインキャラクターの1人、霧矢あおい。情報の収集や分析が得意なキャラです。
あおいはオーディションに合格するためにキラキラッターを使っていろんな人から情報収集をします。
しかしキラキラッターでの情報収集に頼るあまり、同室の親友であり、主人公である星宮いちごへの態度が疎かになってしまいます。
そしてオーディション当日もキラキラッターで情報収集をするあまり、同じくオーディションのあるいちごにがんばってと声をかけずに別れてしまうのです。
そのことに気づいて気まずい思いをする中、オーディションの時間は近づきます。
限られた時間の中でキラキラッターでいちごに謝るあおい。
その後悔混じりのやりとりの最中、ライバルが高得点を出したこともあってさらに落ち込むあおい。
そんなあおいをいちごがキラキラッターで励まします。
*1
それでも自信が戻らないあおい。
そこに一足早くオーディションを終えたいちごがやってきます。
*2
「キラキラッターだけじゃ私の気持伝わらないから」
いちごに抱きしめられ、そんな言葉をもらったあおいは落ち着きを取り戻し、オーディションに向かって行きました。
この回ではキラキラッターをむやみに否定したわけではありませんでした。
離れた人に言葉を伝えるツールとしての良さをしっかりと描いています。
その上で使う人の心がけと顔を合わせてのコミュニケーションの大切さも描いています。
無理の無いダイエット描写
第13話「カロリーの悲劇!」は正月太りをしてしまった星宮いちごのエピソードです。
正月休みが終わってぽっちゃりしてしまったいちご。
精神的にもゆるゆるになってしまい、練習を明日から明日からと先送り。ご飯やお菓子を食べてばっかりです。
そんないちごに親友のあおいと紫吹蘭はショックが必要だと考えます。
そこでダイエットしなさい、という話になるかと思えば、出てきた言葉は
「アイドルとして輝きたいっていつだって頑張ってたあんたはどこに行ったの?」
別に太っちゃいけないとは言わない、という言葉すら出てきます。
ここでも太ったという事象やダイエットという行動の良し悪しではなく、心がけの話をするのです。
さらにやる気を出したいちごにあおいが教えたダイエット方法がこちら。
・最大心拍数の60%をキープする有酸素運動を20分
・腹式呼吸は横隔膜を上下に動かすことを意識
・腹筋と内ももを意識したモデル歩きで足腰の鍛錬
具体的かつ無理の無いものに思えます。
少なくとも有酸素運動についてはかなり信ぴょう性が高い情報と言えるのではないでしょうか。
有酸素運動で脂肪を燃焼させるコツ [筋肉トレーニング] All About
*3
ここで話が終わるのかと思えば更にもう一つ。
ちゃんとモノを食べないと力が出ない、と食事の大事さ、そして苦しいレッスンの後には自分にご褒美をあげてもいいんだよ、とも諭します。
*4
物事のいい部分だけでも悪い部分だけでもなく、正確でバランスの良い情報にもとづいて物語を展開させていることがうかがえます。
サインの本質
第6話「サインに夢中!」ではサインを持っていなかったいちごが自分のサインを作ります。
ただ出来上がったのは凝っていて書くのに時間がかかるサイン。
その間ずっとお客さんを待たせる訳にはいかないと早くサインを書く特訓をすることになります。
*5
そうして10秒でサインができるようになったいちご。
すると思わぬところでサインをする機会に巡りあう事になります。
夢中でサインを書くいちご。
しかしいつの間にかいちごの前に並ぶお客さんがいなくなってしまいます。
いちごになんでそうなったのか教えたのは蘭。
蘭はいちごにお客さんはサインが欲しくて来るのではなく、いちごに会いたくて来るのだと言います。
その言葉を噛み締めたいちごは、多少サインが崩れても、サインをする人と向き合いながらサインをするようになりました。
*6
ここでもサインをすることの表面だけではなく、本質までしっかり見つめたストーリーが光ります。
木の伐採の描写までもしっかりしている
第12話「We wish you a merry Christmas!」では元気の無いクラスメイトを喜ばせるために巨大クリスマスツリーを学園に飾ることに。
そのためにもみの木を山へ調達しに行きます。
なんと自らの手で木を切るのです。
アイドルが木を切るなんて、突拍子もないとしか言いようがありません。
そしてアイドルアニメにしっかりした木を切る描写が必要だと思う人がどれだけいるでしょうか。
しかしここでもアイカツ!の丁寧さは発揮されるのです。
木の伐採はどのようにするのか、みなさんはご存知でしょうか。
私は知りませんでした。
チェーンソーなりでガーッと根本から切ればいいのかな、なんて漠然と思っていました。
木の伐採
こちらは実際に山で生活されている方のHPの木の伐採方法のページです。
これを見て木の伐採が自分の想像と違っていたことに驚くと同時に納得しました。
だってそれがアイカツ!で再現されているのですから。
木を倒す場合、まず倒す方向を決め、その幹の根元を受け口と呼ばれるくさび形に切り取ります。
そして逆側に追い口という切り込みを入れます。
*7
そうしたらロープと滑車を使い、倒れる方向に人がいないように気をつけてゆっくりと木を倒すのです。
*8
このクリスマスツリー用のもみの木を切る話は、アイカツ!がアイドルに関係ある描写だけでなく、やや本筋とは離れた描写であってもしっかり丁寧に描いているのがよく分かるエピソードではないでしょうか。
今後も大注目の作品アイカツ!
今回は紹介しませんでしたが、アイカツはキャラクター一人一人が実に個性的に可愛らしく描かれています。
そのキャラたちが個性を生かしてひたむきにアイドル活動に励む姿勢は楽しく、爽快に見ていられます。
アイカツ!はテレビ東京系で毎週月曜夜7:30より放送。
あるいはBSジャパンで毎週土曜午後1:30より放送中です。
またインターネットでも配信があり、1話は無料で見られます。
放送まで待てないならばそちらを見てみてもいいかもしれません。
「アイカツ!」 | 【アニメ】はバンダイチャンネル
番組視聴 アイカツ![テレビドガッチ]
まだアイカツ!に触れていない人はぜひこの機会に触れてみてはいかがでしょうか。
あとスターライト学園ブログもチェックだ!
アイカツ! 1(初回封入限定特典:DVDオリジナル アイカツ!カード「ガーリーいちごリボン」付き)
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*1:SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』7話
*2:SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』7話
*3:SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』13話
*4:SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』13話
*5:SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』6話
*6:SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』6話