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再掲:BLACK LAGOON罪深き魔術師の哀歌を紹介しようか

※本記事はジャムミックス!で2011/2/17に投稿した記事を修正・追記・再編集したものです。

BLACK LAGOON罪深き魔術師の哀歌、なかなか良かったよ。
ぜひともみんなにも読んで欲しいから見所を紹介しよう。
重大なネタバレはないけど、最序盤の展開は話すし、後半の展開も示唆してる。
それが気に入らない人は続きを見ないほうがいいかもしれないな。

全体の構成について

BLACK LAGOON罪深き魔術師の哀歌はライトノベルだ。

…ああ、そんなに怒らないでくれ。
別に君を馬鹿にしているわけじゃあない。

ただマンガの最新刊だと思ったら文字ばっかりだったこんなの読めない、とか、ケータイ小説だと思ったら本だったケータイで見れない小説なんていらない、とか、そういう不幸なすれ違いはこの本を紹介する僕にとっても、紹介される君にとっても不幸なことだろう?

そう、本作BLACK LAGOON罪深き魔術師の哀歌はライトノベルだ。
もっといえば広江礼威が月刊サンデーGXで連載中しているBLACK LAGOONを原作に、虚淵玄がオリジナルストーリーを書き下ろしたものだ。

なに?BLACK LAGOONを知らない?
それは今世紀に入ってから一番笑えるジョークだ。
ちょうどいいからコミック9巻をそろえるといい。
なんならその金を作るためにナイフの一本でも貸してあげようか?

一応簡単に説明すると、BLACK LAGOONはロアナプラという無法者が集まる街を舞台にいろいろな事件が起こるって話だ。
いろいろの内容は…拳銃が火を噴いたり、ショットガンが火を噴いたり、機関銃が火を噴いたり…とにかくいろいろだ。

この本はコミック最新刊、9巻の直後の時間軸で展開される。
今回の事件はロアナプラの住人のドンパチ騒ぎを各人の視点をザッピングしながら見ていくことになる。

そう、感が鋭い君が想像したとおり。
チュンソフトの開発したゲーム、428みたいなもんだ。
街…はやや違うかな。この作品はあくまで一つの事件を追っているからね。

君の分身となるイカれたやつらのうち、今回の主役と言っていい一人が魔術師―ザ・ウィザードことロットンだ。

ロットンについて

6巻で衝撃の登場と退場をし、8巻でも一際異彩を放った彼、ロットン。
本作は罪深き魔術師の哀歌と謳っているとおり、彼のオンステージと言ってもいい。
君はサングラスで隠されていた彼の魂の嘆きの一端を体験することになる。

とはいうもののの、彼の心の深淵はあまりにも深く、本作を読み込んでも彼の本質まではたどり着けないんじゃないかな。
かく言う僕も彼を完全に理解できているとは到底言えないんだ。
それほどまでに暗く深い迷宮の奥に彼はたたずんでいるんだよ。

そんなロットンの前に儚げな少女が現れたところから物語は始まる。

トリシア・オサリバンについて

ロアナプラにおよそ似つかわしくない彼女は、運命に抗ってアメリカから抜け出してきたお姫様だ。
彼女は偶然立ち寄ったイエローフラッグでトラブルに巻き込まれることになる。

…おいおい、今のは君かい? いつものことか、と笑ったのは?
まぁ確かにいつものことではあるんだが、ここからがちょっと違うんだ。
彼女はその場に居合わせた彼を見て恋に落ちるんだ。

…また君か。恋物語もいつものことだって? その耳と鼻の間に付いているものは飾りかい?
ロアナプラで恋物語が流行らない、なんてのは一目瞭然だろう。
ロアナプラであった恋物語なんて、ジェーンとベニー、ロベルタとガルシア、そして大甘に見てロックとレヴィくらいなもんじゃないか。片手で足りてしまう。

ええと、どこまで話したっけ?そう、トリシアが恋に落ちるんだ。
その相手がロットン。

彼女の不幸は恋をした相手がナイトでもプリンスでもない、ウィザードだったことだ。
ラストシーンの彼女の叫びは涙なしには見られない。
そして悲劇の後の救いはロアナプラを見続けて汚れてしまった僕たちの心にほんの少しだけ輝きと潤いをもたらしてくれるだろう。

そんなラストシーンを演出することになるのが
原作コミックでは主人公と言っていいだろうロックだ。

ロックについて

驚くことに本作ではロックの視点で物語を見ることはないんだ。
原作でのロックは日本の典型的サラリーマンからどんどんロアナプラになじんでいく青年。…のように見えてどこか捨てきれない青臭さが残っている。…ように見えてやはりロアナプラにどっぷり浸かっていて…となかなか評価が難しい。
そして本作でも君は他の住人たちの目を通してロックという人物を改めて見定めることになる。

僕の評価は…なんてここで先入観を持たせるほど僕は空気を読まない男ではないよ。それこそロックみたいな。
ぜひとも本作を読んで君なりのロックを発見して欲しい。

序盤、中盤、終盤、あらゆる場面でロックらしさを見ることが出来るし、逆にロックはこういう男だったか、と新しい発見もできる。

特に終盤での彼女とのやりとりはなかなか読みごたえがあると思う。

彼女について

9巻ではあまり表に立たなかった彼女だけど、ほとんど9巻と地続きの本作では影の主役と言っていいんじゃないかな。
なんたって彼女視点の分量が一番多いしね。

それにコミックではほとんど描かれていない彼女のもう一つの顔について、存分に描かれているのも僕が本作にほれ込んだ一因だ。

もし君が彼女を好きならば、この本は聖書を売り払ってでも買うべき本だろう。
君にとって神の言葉より虚淵玄の言葉のほうがしっくり来るはずだ。

虚淵玄について

本作は10人もの視点で交互に物語が展開される、すばらしく地の文のバラエティに富んだ作品だ。
にもかかわらず視点切り替えに違和感がまったくないし、先が気になってどんどん読んでしまうのは本当にお手上げだ。

特に脱帽したのはトリシアの視点だね。
先入観から虚淵玄はてっきりこういう夢見る少女は苦手だとばかり思っていたんだ。
それがすばらしくメルヘンな少女に仕上がっていてびっくりしたよ。
しかもBLACK LAGOONらしさもちゃんと表現しているから恐れ入る。

同じくロットンの視点もとてもいい。
書いても書いても表現しきれないほどの悲しみに満ちた彼だけど、紙面に限りある中で可能な限り彼を表現しているんじゃないかな。
コミックでは全然わからなかった彼という人物が、この小説を通じて少しわかった気がするよ。
それは多分君が読み終わってもそう感じると思う。

君について

君がBLACK LAGOONが好きならば、ぜひとも本作、BLACK LAGOON罪深き魔術師の哀歌を読むべきだ。
単品のストーリーの面白さも文句なしだし、原作キャラの理解もぐっと深まるだろうしね。

そして良かったら君の感想を聞かせて欲しい。
お気に入りの銃について熱く語ってもらってもいいし、当時の国際情勢についてプレゼンしてもらうのもいい。
レヴィがいかにいい女かを口角泡を飛ばしてしゃべってもらってもかまわない。

こんなにすばらしい作品はみんなで語りあいたくなるってもんだよ。

ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫)
ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫)

BLACK LAGOON 1~最新巻(サンデーGXコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

(2013/2/13)
この記事を書いたのは二年近く前になるのですが、実は当時のBLACK LAGOON最新刊と今の最新刊が変わってないんですよね。なので今読んでもコミックスの続きを読んでいるような楽しさを味わえるんじゃないかと思います。

あと当時は魔法少女まどか☆マギカで一躍虚淵玄先生が注目され始めたころでした。
その後もfate/zeroなどで注目を浴び、現在も「翠星のガルガンティア」で脚本をされる予定と一気に売れっ子になられた気がします。

そうそう、今話題の本として、ニンジャスレイヤーがあるとおもうんです。
このBLACK LAGOONのノベライズの1巻は、ちょっとニンジャスレイヤーっぽいニンジャが出てくるんですよ。
これは今読んだほうが面白いかもなぁ、なんて思います。
よろしければこちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫)
ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1