藤四郎のひつまぶし

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ショートアニメとソーシャルゲームとスキマ時間と時間のこじ開けと妄想


【特集企画・2012年10月クール振り返りコラム】「ショートアニメの新境地を開く『てーきゅう』 」カトゆー | 日本最大級を目指すアニメポータル「AniFav」
先日この記事を読みまして、そうだよなー、ショートアニメの存在感増してるよなーって思いました*1

このショートアニメ、現状では他のTVシリーズと同じくテレビやネットを中心とした展開、そしてソフトや原作を売るというビジネスモデルを取っているものが多いと感じています。
ですがショートアニメについて、私は新しいビジネスモデルを構築する可能性も秘めてるかもなーなんて思っていたりもします。
今回は今後ショートアニメが更に発展していくとしたらどんな姿になるか、そんな私の妄想をすこし垂れ流してみたいと思います。

時間をまとめる、小分けにすることでのビジネス展開の違い

一般に、たくさんの時間をまとめた商品は、消費者が付随コストを負担するという前提のものが成立しやすくなります。

例えば映画。
1本1時間から長いものでは2時間以上の大作までありますが、消費者が映画館まで足を運ぶのはおそらくそれだけの長さがあるからという側面もあるはず。

これが10分や5分の作品だったらどうでしょう。
例え料金が安くなっても、はるばる時間をかけて映画館に足を運ぶ人は少なくなるはずです。

長い時間の楽しみだから、消費者は付随する時間やお金も消費する。
これがまとまった時間を売るビジネスの前提条件になると思っています。

それに対して時間を小分けにして売るビジネスのアプローチは違います。
その商品のために追加の時間やお金を払ってもらうより、余ってしまった時間に上手くその商品を届けられるかが重要になります。

それを現在もっとも上手くやっているものの一つがソーシャルゲームでしょう。
ゲーム機の高性能化、容量の増大にしたがって、据え置きゲーム機は家で長時間プレイすることが前提のものが増えた印象があります。
それに対してソーシャルゲームは携帯端末で時間の合間を縫ってプレイできます。
これにルールの簡略さもあいまって、ソーシャルゲームはそれまでのゲームをしてきた人以外にも広まっていったというのが私の認識です。

もちろんこれらは「時間」だけでなく「品質」といったものも調整する必要があります。
ですが作品が消費者に求める「時間」が変わることは新しいビジネスの可能性を持っているように私は思うのです。

スキマ時間を狙う場合のアニメの長所と短所

ショートアニメがスキマ時間を狙うとしたら、現在、ライバルとなるのはどのようなジャンルでしょうか。
先ほど挙げたソーシャルゲームがまず筆頭にあがる他、電子書籍、音楽といったものがぱっとあげられると思います。
これらはどれもスマートフォン、携帯電話、電子書籍リーダー、MP3プレイヤーなどの携帯端末で楽しめるという共通点も持っています。

今回はこれら4つの長所と短所を私の主観でまとめてみます。

ゲーム 電子書籍 音楽 アニメ
細かい操作が不要
視線を集中しなくてよい
音が出ない(イヤホンが不要) ○(△) ☓(△)

こんな感じです。

一見どの商品も一長一短に見えます。
しかし私にはこと携帯端末で楽しむことにおいては、アニメはやや分が悪いかなと思っています。

アニメの長所の一つに細かい操作が不要な部分があります。
一旦再生すればあとは何もせずとも絵が動き、音声が聞こえてくるのがアニメとも言えます。

しかしこの長所は端末へ視線を集中しなくてもよい場合にこそ最大限に効果を発揮すると思います。
その両方の長所を持つ音楽は歩きながらでも楽しめますが、アニメは歩きながら楽しむのは難しいです。

そして同じ端末に視線を集中することが必要なジャンル、ゲームと電子書籍とは音の必要性で差がつきがちです。
スキマ時間が出来たとき、携帯端末をサッと出してすぐ楽しめるか、それとも周りを気にしてイヤホンをつけたりする必要があるかは大きな差があるように思うのです。
ややオーバーな表現をすれば、それこそ家でテレビのスイッチを押すだけで楽しめるか、わざわざ映画館に足を運ぶことぐらいの差が。

とまあこんな感じに今のショートアニメをそのまま携帯端末に持っていってスキマ時間を狙うのにはライバルが強力すぎるかも、と思っています。

ショートアニメの戦場とビジネスモデルの妄想

おめー冒頭でショートアニメには新しいビジネスモデルの可能性があるとか言ってたじゃん、って声が聞こえてきそうですね。
ここらへんから私の妄想を加速させていこうと思います。

私がショートアニメが戦える戦場は携帯端末ではない所にあると思っています。
その戦場は電車のドアの上にあるモニターだったり、タクシーのカーナビだったり、自動販売機についているモニターだったり。
端的に言えばスキマ時間が発生するシチュエーションにある備え付けのモニターです。

1人で楽しむために音を出すのがはばかられるなら、いっそのこと備え付けの設備を使って、みんなに音をきかせてしまおう、という発想です。
そして待ち時間や移動時間が発生するシチュエーションと時間が決まっているアニメという媒体は相性がいいように思うのです。

日本の電車の正確なダイヤは有名です。次の駅に到着するまでの時間はほとんど一定といっていいでしょう。
その時間に合わせたショートアニメというのは、電車でなにもすることのない人にピッタリなのではないでしょうか。
タクシーでも最初にどれくらい時間がかかるか予測して、その長さの作品を検索して流すとか。
3分で着くならてーきゅう、5分ならヤマノススメあいまいみーやまんがーる、15分かかるならgdgd妖精sといった具合に。

自動販売機では昔なつかしの当たり付きのしくみを導入して、当たりが出たら長さを選んでその場でショートアニメが見られるなんてのも面白いかもしれません。

さらに一歩進めれば、地域のタクシーと提携したり、期間を区切ったりして限定アニメが見られるのはどうでしょう。
最近活発になっているご当地を舞台としたアニメ、イベントなどとあわせると、せっかくイベントに来たんだし、ショートアニメが見られるタクシーも使おうか、なんて話にもなる気がします。

スキマ時間と時間のこじ開け

最後のタクシーの例が近いのですが、スキマ時間を狙う商品は、最終的にはスキマ時間を足がかりに、消費者がその商品に触れる時間をこじ開けていくべきだと思っています。
スキマ時間を狙うことで上手くいったと述べたソーシャルゲームも、スキマ時間「だけでも」プレイできると言えます。
ヘビーユーザーともなれば自分から時間を作って遊ぶことが珍しくありません。
なのでショートアニメもスキマ時間を狙うならば、そこを足がかりに更に時間を奪うような広がりを持っているべきだと思います。

具体例としてはちょっとありきたりなのですが、単発ではなく、複数話取り揃えておいてネットにアクセスすれば別のエピソードを視聴できるといったものがぱっと出てきます。
アニメの最後にQRコードが出てきてそちらからアクセスできるとか。

あるいは30分アニメの外伝的作品をショートアニメとして、前述のシチュエーションで放送するのも面白いかと思います。
30分アニメから入った人がそのショートアニメを見るために公共交通機関なり、特定の場所なりに赴き、そこにお金を落とす。
あるいはショートアニメから入った人が30分アニメを購入する。
両睨みの展開ですね。

作品の感じとしては、「中二病でも恋がしたい!」と「中二病でも恋がしたい! Lite」みたいな感じでしょうか。
とある魔術の禁書目録」と「とある魔術のインデックスたん」…はちょっと主従関係が強すぎますかね。

テレビに最適化された時間と自由な時間

今のテレビアニメの多くを占める「30分」という枠はテレビという媒体に最適化された時間だと思っています。
もちろんテレビという媒体の力は強く、少なくとも数年の内に一気に力を失うという事は考えにくいです。
ですがショートアニメの時間は、その枠からはみ出して新たな用途を見つけてもいい自由度を持っているようにも思います。
今後面白い場面でアニメに出くわすことが増えればいいなぁなどと思いながら、ここに妄想を書き綴っておきたいと思います。

*1:ショートアニメの定義については参照元リスペクトで明確な定義ではないですが、おおむね5分程度の作品を指していると思っていただければ