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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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昔と今のアニメの現場を感じられたトークセッション『ロボットアニメの発展と歴史的意義』

アニメ イベント 思想 ビジネス 設定 感想

六本木ヒルズで開かれているイベント、「メディア芸術ライブラリーカフェ」のトークセッションの一つ、ロボットアニメの発展と歴史的意義に参加してきました。
メディア芸術ライブラリーカフェ | メディア芸術カレントコンテンツ
『ロボットアニメの発展と文化的意義』 | メディア芸術カレントコンテンツ

ロボットアニメについて多くの視野から立体的に語るべく開催されたこのトークセッション。
登壇者は4人。
ヤッターマン機動戦士ガンダムなどでメカデザインを手がけ、現在も革命期ヴァルヴレイブといった作品に参加している大河原邦男さん。
アニメライターや講師として活躍しており、バンダイチャンネルの見どころ欄などでもその名前を見ることがある氷川竜介さん。
ガンダムで有名なアニメスタジオ、株式会社サンライズの文化推進室でアニメ文化の価値向上、普及に努めている井上幸一さん。
スーパーロボット大戦のチーフプロデューサーとしてして活躍している寺田貴信さん。
こちらの方々によってトークが繰り広げられました。

アニメの歴史だけを遡ると見落としてしまいそうな、アニメを取り巻くビジネス環境や世相などの変化も感じられるトークとなっており、大変興味深かったです。

すべての話題を思い出せるわけではありませんが、私の印象に残ったところを時系列にこだわらずトピック単位で編集してみたいと思います。
なお記憶違いや私の変な解釈などによって、間違った情報になっていたりしたら指摘していただけると幸いです。

メカニカルデザイナーとしての大河原邦男さんの仕事

サンライズの作品は420ほどあり、内半分の210ほどがロボットアニメだそうです。
そのサンライズと仕事をすることが多い大河原さん。
基本的には絵コンテと呼ばれる映像の設計図を渡され、そこに書いてあるメカすべてをデザインするのだそうです。

それを端的に表すエピソードが装甲騎兵ボトムズだった、と井上さん。
渡された絵コンテにあった一本のボルトまでデザインされて返ってきたとか。
ボルトの一本はやや極端かもしれませんが、それこそロボットだけではなく、ヘリや車といったメカすべてをデザインするのがメカニカルデザイナーの仕事だそうです。

大河原さんは絵で書くよりも立体でデザインする方が好みらしく、木型を作ることがよくあった(ある?)のだとか。
玩具メーカーの社長の前で木型を使ってプレゼンをすることが多かったみたいです。

デザインとして大河原さんが気をつけているのが線の少なさと立体として見たときのキャッチーさのようです。
これは昔のアニメーターの方にデザインを渡した際に、線が多いと戻されてきたことなどから身についたものらしいです。
ただ現在のアニメーターさんはあえて線の多いメカを動かしたいという方もいるのだとか。
個人的にはこの辺は昔と比べていろんなアニメを見てきて、それ以上のものを作りたいというアニメーターの人が増えているのかなぁなどと思いました。

また大河原さんは人間のキャラと同様に、ロボットについても「メカ」ではなく「キャラ」として捉えることも大切ともおっしゃっていました。
例として口があり、笑ったりするトライダーG7の話が出ました。
これはスパロボの話にもつながっていきます。

アニメに対する各世代の理解とカタログとしてのスパロボ

寺田さんが高校生の頃(=80年代中盤?)はアニメに対する世間の評価は子供が見るものというものでした。
玩具やプラモデルを買うにも包んでリボンを付けてもらって親戚へのプレゼントなどに偽装しなければいけなかった時代だったそうです。
これが今や大人がカップルでおもちゃ屋に入ることすらある、と世間のアニメに対する理解が変わってきたことを実感しているとか。

また世代を超えてロボットアニメが通用するのはスーパーロボット大戦があるおかげと寺田さん以外の三名がおっしゃっていました。
これは日本だけでなく、海外でもそうなんだとか。なぜかスパロボを発売していない地域でもスパロボでそのアニメを知った、なんて人もいるみたいですが。

また世代が違えばデザインのすり合わせなどで苦労するのでは? といった質問にはスーパーディフォルメ(SD、手足を短くしたちびキャラ)のおかげで線の多少などは気にならなくなることが多いそうです。
そしてそうなると大河原さんの手がけたようなキャッチーなデザイン、キャラとして成り立つメカの強みが出てくるようです。
頭に日輪マークが付いているダイターン3であったりですね。

サンライズ作品の特徴

サンライズと関わりが深い人が多いため、自然とサンライズの特徴といったものも出て来ました。
例えば変形モノと合体モノのアニメが交互にでてきたりだとか。
これは合体のザンボット3と変形のダイターン3、変形のZガンダムのあとに合体のZZなど、言われてみると確かに、と思うものが多いです。

同じように硬いストーリーのあとには柔らかいストーリーということで、戦争を描いたガンダムのあとに小学生が社長をやるトライダーG7を持ってきたりといったものも紹介されていました。

他にはなぜか3という数字が好きだった、といった話も出て来ました。
ザンボット3ダイターン3とタイトルに入っているものの他に、ガンダムでも3体合体が多い気がしたりと言われてみるとなるほどなぁといったところです。

ロボットアニメの社会への影響

ロボットアニメが社会に影響を与えたものとして大河原メカバトルトーナメントという企画が紹介されました。
大河原メカ バトルトーナメント

動画で動くロボなども紹介されたのですがしっかり二足歩行するもの、しゃがみから立ち上がるもの、中には変形するものまであって、技術の知識が浅い私でもその凄さを実感しました。
夢の大河原メカ頂上決戦:東京都稲城市で大河原邦男氏デザインメカが激突! 「大河原メカ バトルトーナメント」を観戦した (1/2) - ITmedia ガジェット
↑こちらの記事では動画も見られるようです。

これらの制作者さんの中には宇宙開発関係だったり、メカの仕事の最前線で働いている人も少なくなかったのだとか。
そういったところで活躍する人に、その分野に進むきっかけを与えていたりするのはロボットアニメの凄さの一つなのかもしれません。

今後の研究の展開と感想

今後さらに多面的にロボットアニメを見ていくため、玩具メーカーやアニメーターといった人も交えてこういったイベント、研究を進めて行きたいという話が出ていました。
これには日本ではアニメ作品の数に対して研究が進んでおらず、外国の方が進んでいる部分もあるという背景があるようです。
アニメ研究で変な認識が一般化しないように、日本の研究も加速していく必要があるとのことでした*1

今回はロボットアニメという切り口でまとめていますが、これが上手くいけば魔法少女といった別の切り口も考えていきたいだとか。
研究の一例としてガンダムに至るまでのストーリーやメカの関連・系譜がまとめられた資料が出されていたりしました。


このメディア芸術ライブラリーカフェというイベント自体が文化庁が中心となってやっているそうです。
トークセッションで出てきた昔の話などとあわせて、、アニメが文化として世の中に認められてきつつあるとよく分かるイベントでした。
トークセッション以外にもアニメーション研究のためのブックガイド/報告書といったアニメをもっと深く知りたい人にぴったりの本・論文のリストが載っている小冊子があったりと、展示などでも興味がひかれるものがありました。

開催期間はあと23日、24日を残すだけなのですが、もし六本木ヒルズの近くまで行くことがあれば寄ってみても面白いものがみられるかもしれません。

メディア芸術ライブラリーカフェ | メディア芸術カレントコンテンツ

*1:一例としてトランスフォーマーがロボアニメの元祖といった説があるとかないとか…ちょっとこの辺は海外のアニメ研究についてよくわからないのでジョークなのか笑えない話なのかわかりませんが