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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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アニメ原作者も全力で参加する個性豊かなアンソロジー『僕は友達が少ない ゆにばーす2』

「くそぅ! 腎臓と肝臓だけじゃなく、直腸を始めとした様々な臓器が小鷹くんに好き勝手されてしまうのかっ……!! せめて難病に苦しむかわいい女の子の臓器になって、彼女の人生に新たなる一頁を刻ませてあげたい!!」
僕は友達が少ない ゆにばーす2 (MF文庫J) P21

こんな会話が繰り広げられる作品を冒頭一発目にもって来るのがはがないですよ。

僕は友達が少ない ゆにばーす2は現在アニメも二期が好評放送中の僕は友達が少ないのアンソロジーノベル第二弾です。
ベン・トーアサウラ先生、まよチキ!あさのハジメ先生、伝説の勇者の伝説いつか天魔の黒ウサギ鏡貴也先生といった、著書がアニメ化されている作家さんも参加している豪華な本になっています。

すべての作家さんの著作を読んでいるわけではないので絶対とは言い切れませんが、少なくとも私が読んだことがある作家さんは自重しない個性を存分に発揮した作品を寄せてくれています。
今回はそのお二方の作品を中心に紹介したいと思います。

ベン・トーの作者のアサウラ先生が書いた作品は何がリア充かは見方によって変わってくるという洞察を交えた「鳥と豚」です。
ベン・トー読者ならばどこかで聞いたことがあるような名前の三人を見かける作品でもあります。

そのどこかで聞いたことがあるような名前の三人は小鷹のことをリア充であると言います。

「放課後に部室で、裸で横になってりゃ勝手に誰かが跨ってるような有様じゃねぇか!! いくらだ、いくら払えばその店に行けるんだ!?」
僕は友達が少ない ゆにばーす2 (MF文庫J) P33

まぁ当然ですよね。小鷹滅すべし! しかし小鷹にはそんなふうに叫ぶ三人がどこか楽しげに、充実しているように見えるのです。

結局のところ、周りから見てリア充に見えるかどうかと、本人が自分をリア充と思っているかどうかは別のものなのでしょう。
そして人が本当にリア充なのかどうかは本人自身もわからないのかもしれません。

本作はアンソロジーという形だからこその「外部」の視点、それもリア充なのかどうか微妙なラインのグループからの視点を描くことにより、別の角度からはがないのテーマの一つ、リア充というものに触れていたように思います。

余談ですが、この「鳥と豚」では食事シーンが出てきます。
そこで食べ物を頬張る小鷹たちの表現はどう見てもベン・トーです。本当にありがとうございました。

あと引用した部分でも分かりますが表現のノーブレーキっぷりもヤバイですね。
発行はSD文庫を出している集英社じゃなくてメディアファクトリーのはずなんですけどOKなんですね。
流石です。


のうりんの作者、白鳥士郎先生が書いたのは「部長選挙」という作品。
のうりんでも一躍話題になった、イラストが本編に食い込んでくる表現を推し進めたものになっています。

その内容は学校あるあるネタとも言えます。定番といえば定番とすら言えるかもしれません。
ですがそのネタがここまで笑えるものに仕上がっているのはイラストと本文の連携がきちんとできているからこそ。
テンポのためには見開きごとにイラストを持って来なければならないため、行数の制限なども結構シビアで計算とセンスが重要になっていると感じました。

あとがきで白鳥先生は、はがないのイラストやフォントの使い方、文章構成の革新性などについて触れています。
先日の講演会での話などとあわせて考えると、白鳥先生の分析力とはがないという作品の凄さを再確認せずにはいられませんでした。
ラノベ執筆戦略論の講義と言ってもよかったのうりん作者白鳥先生講演会 - 藤四郎のひつまぶし

他にも鏡貴也先生の「伝説の小鳩の伝説」は鏡貴也先生の練りこんだファンタジーの雰囲気と小鳩はこんなこと考えてそうだな〜という感じが見事にマッチしていました。
あさのハジメ先生の「俺たちにはまだちょっとレベルが高い」ははがないのキャラの理解を、岩波零先生の「理科のせいで俺の様子がおかしい」は理科への愛を感じました。
「理科のせいで〜」は僕は友達が少ない CONNECTを読んでから書かれたんですかね? それくらい理科を理解(←ここ笑うとこ)しているように思いました。

そしてそんな個性的な作家を受け止められるキャラの懐の深さもはがないの魅力の一つなのではないでしょうか。

本書最後の作品、「鍵」は平坂読先生が生徒会の一存とのコラボとして書いた作品。
僕は友達が少ない 8巻僕は友達が少ない CONNECTを読んでいるとさらに味わいが増す番外編ならではの描写があった気がします。
これも見逃すことができません。

といった感じで、好きな作品と好きな作家さんのコラボが見られてかなり満足できる本でした。

僕は友達が少ない ゆにばーす2 (MF文庫J)
僕は友達が少ない ゆにばーす2 (MF文庫J)