藤四郎のひつまぶし

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再掲:ミルキィホームズ第五話で視聴者に向けられた推理パート

※本記事はジャムミックス!で2010/11/6に投稿した記事を修正・追記・再編集したものです。


ミルキィホームズは相変わらず面白いです。
第五話もげらげら笑って見終えました。しかし同時に違和感も感じました。

メアリーの相手の敏感な部分を見つけるトイズ、テクニシャンのトイズを説明されたとき、17歳で最年長のコーデリアが反応しなかったのです。
*1
ベタな展開ならば最年長のお姉さんであるコーデリアが真っ赤になり、他の三人がきょとんとしそうなものです。
エリーが反応するのは恥ずかしがりやとのギャップを狙ったのだと理解できますが、最年長のコーデリアがそういうことを知らないのは少し不自然です。

気になって見返していると、他にも気になる点がでてきました。
それは5話のミルキィホームズの食事が二回ともキノコだったことです。
*2

さらにいえば他の話数でもミルキィホームズはキノコを食べています。

2話:20里の授業中にキノコを焼いて食べようとする
*3

4話:遭難時にキノコを焼いて食べる
*4

5話中3話でキノコを食べています。これは果たして偶然なのでしょうか?

そこでキノコに注目して再度各話を見返してみました。
2話と5話では七輪を使って都合3回調理をし、すべてもくもくと煙がたっています。
*5*6
これは少しおかしいのではないでしょうか。
なぜなら炭火の煙の発生原因の多くは肉などの脂が炭に落ちることだからです。


ここから二つの仮説が立てられます。
1.ミルキィホームズはキノコだけではなく、肉などの食材も焼いていた
2.煙が発生したのは炭火が原因ではなかった

しかし1は即座に否定されます。
2話ではおなかが減ったミルキィホームズが机の裏にキノコを発見したため焼いて食べようとしています。
他の食材を持っているならばそれを焼いて食べればよく、キノコを発見することはありません。

5話冒頭は絵をみるかぎりすべてキノコを焼いている上に、「キノコがこげちゃう」とコーデリアが発言しています。
同話で怪盗二人を家に招いた場面は決定的です。網にキノコが並べられた上で、「キノコしかありませんがぜひ食べていってください」とまで言っています。
キノコ以外を焼いて煙が発生しているわけではないのです。

ではどうして煙が発生していたのでしょうか?

ここで煙を生み出した素材、という観点から考えていても答えを出すのは難しいと思います。
なぜなら「キノコを焼いたから」煙が「発生した」のではなく、「キノコを食べるから」煙を「発生させなければならなかった」のです。

2話の煙の場面を思い出してください。
*7
あのとき、ミルキィホームズたちからはクラスメイトが見えませんでした。
同様にクラスメイトからもミルキィホームズは見えなかったでしょう。
しかしあれは「見えなかった」のではありません。「見せなかった」のです。

話は変わりますが、なぜミルキィホームズは食欲にスポットが当てられるのでしょうか?
1話でミルキィホームズが地位を剥奪される適性試験をする前、特権の象徴として豪華な食事が登場します。
*8
そしてその後もひもじさの象徴としても2話のジャガイモや3話の留置所の白米、4話のバナナとずっと食欲がクローズアップされ続けています。
*9*10*11
料理アニメならともかく、探偵アニメでなぜここまで食欲がクローズアップされるのでしょうか。

…それはある表現を食欲に置き換えて描写しているためです。

置き換えられた表現とはなにか?推理の材料のいくつかはすでに上で出てきています。
テクニシャンのトイズに無反応のコーデリア、キノコ、「見えなかった」のではなく「見せなかった」。
そしてさらに材料を加えていきます。

・第5話テクニシャンのトイズでトゥエンティとストーンリバーを撃退したメアリーに駆け寄るエリー
「とてもとてもすてきでした」

・第4話樹海を抜けようとして夕方になったときわがままを言った小衣にシャロ
「そうだね、私もおなかすいたよ、あたしもバナナ食べたいなぁ」

・第3話エリーを問い詰めるネロ
「僕だってトイズがもどるんならって恥ずかしいの我慢してやったんだよ」

・第2話コーデリア、すごい形相でシャロを止めようとして
*12
「まって!…生じゃだめよ」

・第1話遅刻してきたミルキィホームズを見てクラスメイト
*13
「トイズがなくなっちゃえばミルキィホームズもただの(ピー音)ね」

テクニシャンのトイズをステキと言うエリー、貪欲にバナナを求めるシャロ、恥ずかしいことを我慢してやったネロ、生を拒否するコーデリア、そして規制されなければならなかったミルキィホームズの本質。

ここまで材料がでれば何を食欲に置き換えて表現してきたかわかるでしょう。
テクニシャンのトイズに無反応だったコーデリアは意味がわからなかったのではありません。
むしろ当たり前すぎていちいち反応しなかっただけです。
エリーだけが理解したのではなく、エリーだけがまだ羞恥心をかろうじてもっていたのです。

この結論に至ったとき、私は計り知れないイノベーションに立ち会ったことに震えました。
これは表現の自由と規制の問題に一石を投じる手法です。

表現の自主規制は基本的に見せるべきではない相手に「見せない」ために行われます。
例えば小さい子供には見せたくないものを見せないよう、テレビ放送では表現をマイルドにするといったことはよくあります。
このような規制があっても、規制を解除したパッケージ版が何かの拍子で「見えて」しまったり、あるいは明確な意思があれば「見れて」しまうことがあります。

しかしこのミルキィホームズの手法は、それらの知識を持たない青少年にはそのような表現に「見えない」という根本的な解決がなされています。
あたかも隠れキリシタンの信仰の対象が他の人にはわからないように。

おそらく名探偵であればは一話のピー音ですでに真相に達していたかと思われます。
そうでなくても二話のコーデリアのセリフは決定的でした。
推理に5話までかかった私はおそらく探偵としては凡庸なのでしょう。

しかしその分、第一印象とは違った視点で1話から5話を見返すという機会を得ることが出来ました。
ネロがうまうま棒を肩身離さず持ち歩いていること、煙なしで3本のキノコを食べた小衣、縛られたミルキィホームズ、などいろいろな事象に新しい意味を見つけることができました。

みなさんももし録画があれば見返してみることをお勧めします。
あるいはニコニコ動画で見返すのもいいでしょう。
きっと新しい発見ができることでしょう。

(2013/2/27)
先日こんな記事を書きました。
ラブライブ!は再現ドラマという形に重きをおくということなのかな - 藤四郎のひつまぶし
ラブライブ!ではチョップが寸止めされていたので、再現ドラマとしてのアニメ、という解釈で確定だろうというものです。

それに対してこんな言及をいただきました。
元作画オタク的に見る、ラブライブ7話のチョップ - まっつねのアニメとか作画とか
あのチョップは寸止めではなく、カメラが動きを捉えきれなかったのである、という解説でした。

このように同じ物を見ていても、インスピレーションの差、知識の有無で解釈というのは幾通りもできます。
この言及をもらって、ふと、このミルキィホームズの記事のことを思い出したのでした。

あとこの記事はジャムミックス!では数少ない、だれかを触発できた記事ということで思い出深いものもあります。
スターや拍手といった一手間、RTやブックマーク、そしてコメントをもらったり、ニュースサイトに補足してもらえるだけでも嬉しいことですが、長文の記事まで書いてもらえるなんてことはとても幸せなことかと思います。

探偵オペラ ミルキィホームズ【1】 (第1巻スペシャルプライス) [Blu-ray]
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*1:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』5話

*2:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』5話

*3:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』2話

*4:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』4話

*5:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』2話

*6:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』5話

*7:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』2話

*8:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』1話

*9:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』2話

*10:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』3話

*11:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』4話

*12:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』2話

*13:bushiroad/Project MILKY HOLMES『探偵オペラミルキィホームズ』1話