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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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生徒の未来を考えつつ、先生の未来を奪うことを肯定する物語「暗殺教室」

第二の刃を持たざる者は…暗殺者を名乗る資格なし!!
松井優征暗殺教室 2 』(ジャンプコミックス)

暗殺教室の2巻を読みました。
暗殺教室は月の大部分をいきなりぶっ飛ばすほどの力を持つ正体不明の怪物、殺せんせーが翌年の3月には地球を滅ぼすがそれまで何故か学校で教師をすると言い出して…というところから物語がスタートします。

各国政府は殺せんせーが教師をすることを受け入れますが、地球が滅ぶのを手をこまねいて見ているわけにもいきません。
政府の職員を派遣し、生徒たちに殺せんせーを暗殺するよう指示します。
そして殺せんせーと隙あらば彼を暗殺しようとする生徒たちとの奇妙な学校生活が繰り広げられていく、といった物語です。

1巻もなかなか面白かったのですが、2巻は殺せんせーと生徒たち以外にも先生で新キャラが出てきたり、舞台が学校以外にも広がったりとよりワクワクして読むことができました。
その中でもこの記事冒頭のセリフが私好みでした。

このセリフは暗殺という物事だけにかまけて、勉強を疎かにしてはいけない、という場面で出てきたセリフです。
一つの長所・アイデンティティだけにすがるのではなく、第二第三の長所を持てと。
こちらのほうが他のことに脇目もふらず、一つのことに集中しろ、といった言説より私には響いてきます。

私のような若造が人生について語るのもアレですが、自分のアイデンティティを一つのものに頼るのは多くの一般人にとっては危険なことだと思っています。
一つの長所だけでは全く通用しない場面に出くわしたり、その長所を上回る人がいたりすると自分に自信が持てなくなってしまいますから。

例えば小学校、中学校とスポーツが得意でスポーツだけに打ち込んできた人が、高校で通用しなくなったときどうなってしまうか、なんて想像するといいかもしれません。
あるいはスポーツを勉強だったり、高校を社会だったりの他の言葉に置き換えてもいいですが。

いくつか長所になりうるものを持っていればこのような状況は起きにくくなると思います。
場面に応じて別の長所を使い分けたり、長所を組み合わせて他の人とは違う個性を発揮したりと自分に自信を持てる場面が多くなります。

未来というものは何が起こるかわからない、どんな人と出会うかわからないものです。
現在という限られた時間、自分の身の回りの限られた空間だけでは一つの刃で通用していても、その先を見据えれば幾つかの刃を磨く必要があると私は思います。
そのことを教え、生徒たちを導こうとする暗殺教室の殺せんせーの考えは私にとって実に興味深いです。
その教えが役に立つ未来が来るのは、殺せんせーが暗殺され、殺せんせーの未来が失われた場合のみということも含めて。

面白いことに暗殺教室2巻で初登場したもう一つの勢力のトップと言ってもいい人物、浅野理事長も未来を見据えて行動しています。
学園の名を上げるためには厳格な階級制と差別といったシステムを構築することに躊躇を持たない浅野理事長。
彼は殺せんせーを暗殺できた未来を考え、地球の命運を握っているはずの生徒たちを、差別したままにするという判断を下しています。

殺せんせーと浅野理事長の考えで最も違う部分は生徒一人一人を大事にするか、学校という全体を大事にするかです。
殺せんせーが生徒一人一人に細やかな指導をしているのに対し、理事長が学校の生徒達を優秀な生徒とそうでない生徒のパーセンテージで見ていたりすることは実に対称的です。
殺せんせーには先生になった理由があったり、理事長がその理由を知っていそうな雰囲気があったりと因縁もありそう。

今は暗殺にはほとんど興味がなく、あくまで学校の運営に関心のあるように見える理事長ですが、果たして暗殺にも絡んでくるようになるのでしょうか。
その辺にも注目して今後読んでいきたいと思います。

暗殺教室 1 (ジャンプコミックス)
暗殺教室 1 (ジャンプコミックス)