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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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ラノベのすゝめ講演会


ラノベのすゝめ講演会(TOKYO Web)
3/9に開催されましたラノベのすゝめ講演会に行って来ました。
講師は『のうりん』などの作者、白鳥士郎先生。
のうりんを出版しているGA文庫の白鳥先生の担当編集の小原さん、ライトノベルを売ることで有名な書店員さんも交えてのいろんな角度からライトノベルを見つめる講演会でした。

講演すべての内容を記憶しているわけではないので、印象に残った部分、特に新聞に載らなそうに思える部分を中心に、私の勝手な補完込みで、講演とQ&Aの一部を紹介したいと思います。

2013/03/16 3:15追記:さらに詳しいレポートをされた方がいらっしゃいました。
【どこよりも濃い】白鳥士郎先生 ラノベのすゝめ 講演会【行けなかった人必見】:ライトノベルのブロマガ -Light Novel Blomaga- - ブロマガ
ガッチリ読みたい方はこちらがよろしいかと。

あと他にもライトノベルの売り手さん視点でのレポートを上げていらっしゃる方もいますね。
虎とラッパ |ラノベのすゝめ講演会

のうりんの反響


銀の匙週刊少年サンデーに連載されて、モデルとなった農業高校の入学者は倍増したとか。

それに対してのうりんのモデルになった農業高校は…

入学者が減ったとか。

…きっと関係はない。

ライトノベル業界の状況と優位性

出版業界が右肩下がりの中、ライトノベルは右肩上がりの様相とのこと。
発行点数も2005年の500作品(冊)から2倍の1000作品ぐらいまで上がっているようで。

ただあえて触れていなかったか、発行点数の伸びに対して売上(だったか市場規模だったかは失念)の拡大ペースは緩やかだったと記憶しています。
この辺は増えた点数=売れない作品なのか、上位の売れ筋の作品が売上を分け合っている形になっているのかは興味があるところです。

また白鳥先生はライトノベルの優位性に
・先進性があること
・ネット小説を取り込めるところ
などをあげていました。

ちなみに発行点数の資料の出典に積読バベルのふもとからさんのお名前がありました。
おそらく下記記事に2012年の発行点数を追加したものが使われていたのではないでしょうか。

ライトノベル市場拡大への道はどこにあるのか? - 積読バベルのふもとから

やはり作者や編集の方もネットの記事を見ていることもあるのだなぁと思うと同時に、こういう場で引用されることもあるのだなぁなどとしみじみ思いました。

ライトノベルの自由度と今後の展開

先進性については著者とイラストレーターの2人、場合によっては1人でやれることから、アニメやアシスタントを雇う漫画などに比べてコストとリスクが少なく、新しいことに挑戦しやすいのでは、という事を挙げられていました。
またQ&Aコーナーでライトノベルの定義などと絡んで、女の子とのラブコメなど最低限のお約束はあるが、それ以外の縛りが比較的少ないという話も出て来ました。
これはFateといった例を挙げて、エロゲーがエロさえ入っていれば自由にやれるというのに近いかもしれないといった話になっていました。

白鳥先生はそういった自由度を生かしてより多くの読者を獲得していけるのではないか、また韓国のライトノベルでは日本のライトノベルを翻訳したものが8割(か6割だっけかな…)を占めていることから、マンガやアニメなどと同じく、海外にも伸びしろがあるのではないかと考えているようです。

この部分に関連する話として、書店員さんからはライトノベルは「お約束」のようなものを知っている読者向け、内輪向けになっているのではないかとの指摘も。
市場を広げていくためにはもっとチャレンジングな作品、違う客層に訴えるバラエティ豊かなラインナップが合ったほうが良いのでは、といった話が出て来ました。

関連して書店でのライトノベルスペースにはバラエティ豊かな客層がいるとは言えない、現に書店員も客層と違う人がライトノベルコーナーにいたりするとちょっと不思議に思うことがある、なんて話も出ました。
ただそれとは逆に子供のためと思ったら自分のために少年陰陽師をおじいさんが買いに来ていたというエピソードが紹介されていたり、想定した客層でなくても刺さる人には刺さる作品もあるようです。

白鳥先生が先進的な作品として例に挙げた戦国時代もの(+ファンタジー+ラブコメ)の織田信奈、クトゥルフもの(+パロディ+ラブコメ)のニャル子さん、など、世代、客層を超えて楽しめる、興味を持てるテーマというのは今後のライトノベル業界がさらに拡大するためのポイントになるかもしれません。もちろん農業に関係する年配の方から反響があったりするのうりんも。

あと客層という部分に関連すると、ビブリア古書堂の事件手帖の話が出ました。

メディアワークス文庫は少年漫画に対する青年漫画というべきもので、このレーベルを持っていられるのは電撃文庫さんが体力あるからだろう、というのは白鳥先生、小原さんが一致する所でした。
本読みが絶対興味あるであろう「本」がテーマになっているのもヒットの要因かもしれないというお話でした。

ネット小説の取り込みとマネタイズ

今回の講演会で紹介されていたものだと最近のGA文庫だと『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』がGA文庫大賞への応募から、その前だと『迷宮街クロニクル』が編集さんの目に止まって出版となったことが紹介されました。

ネット小説がライトノベルレーベルから出版されることについて、白鳥先生はネット小説のままだとビジネス化が難しかったのではないか、という推察をしていました。
それをライトノベルというビジネスモデルに乗せることでビジネスとして成り立つようになったのではないかという話です。
余談ですがこのネット小説のマネタイズに関してはちょっと興味があって、先日参加してきた
“SAO” “まおゆう”を題材にヒットするネット小説とライトノベルとの違いを学ぶ! | ライトノベル創作塾
このセミナーでも質問してみたのですが、現在は書籍化が基本になるのではないかとのことでした。

講演のまとめの部分では出版社全体の不調とライトノベルレーベル、作者の増加、電子書籍の動向、特にAmazonと個人の編集エージェントの存在などにも触れられ、業界の再編もあるのではないか、という話が白鳥先生から出ました。
そうなるとネット小説が書籍から出るか、電子書籍から出るか、そこに出版社が噛むのかエージェントが噛むのかなどでビジネスモデルも違ってくるかもなぁとも思いました。

その他気になった所

売り場のお話

今回お話をしてくれた書店員さんはかなり広い書店に勤められているとのこと。
そのためどのレーベルも最低1ヶ月平台(棚じゃなくて表紙を上に積んであるアレ)に置けて、そこで売上をチェックできるとのこと。
なので出版社のオススメがあったとしても、店舗のデータを重視するのだとか。
店によって客層も違うという話もありましたし、やはり現場の話というのは作品の話とはちょっと様相が違ってくるなぁと思いました。
ただ書店員としては毎日本の入れ替えの業務で一杯一杯で、細かい情報を整理したり考察したり売れ筋の分析をしたりといったことは難しい部分もあるようです。
白鳥先生は現場のデータや意見を目にすることがあまりないので、そういった情報を交換したいようなのですがなかなか難しいのかもしれません。

ラノベの表紙は女の子ばかり?

白鳥先生がネタ混じりに1ヶ月に刊行されるライトノベル90点以上の表紙をずらっと並べたものを「女の子ばっかり」と言っていたのですが、GA文庫編集の小原さんの言によるとその状況にやや変化があるようです。
主人公の男の子にかっこ良さが求められてきた、それもあって表紙に主人公を持ってきても問題ないケースが増えてきているといった背景があるのだとか。
あと小原さんが「建前では対象読者は10代〜20代」と何度も言っていたのが印象的でした。

東京新聞で講演会の様子が載るとのこと

そんな感じの講演会だったのですが、講演は1時間程度、Q&Aが1時間弱ぐらいあって、Q&Aで話題が膨らんでいくシーンも多くて面白かったです。
中には全くライトノベルを読んだこともない人がいたり、地元のアピールのためにライトノベルを使えないかという思いをもった市議会議員さんが来ていたり。

この講演会の様子は講演会主催の東京新聞で3/31のものに載るそうです。
また白鳥先生曰く東京新聞は4/1のエイプリルフールネタもすごいところらしいです。
1週間試し読みがあるそうなので、その週試し読みをするのもいいかもしれません。

東京新聞:試読フォーム:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)


あと12月にあった白鳥先生の講演会の様子も置いておきます。
のうりんの話はこちらの方がまとまっているかもしれませんので、よろしければこちらもどうぞ。

ラノベ執筆戦略論の講義と言ってもよかったのうりん作者白鳥先生講演会 - 藤四郎のひつまぶし