藤四郎のひつまぶし

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物語の整合性をとる解説と感情の繋がりを大切にする解説

アニメでは現実に存在しない、あるいはめったに遭遇しないシチュエーションを描くことも多い。
巨大ロボットや魔法、その他異能の力や人間以外の知的生命体などが登場することもあれば、何重にも相手の心を読もうとする心理戦などもある。
それらについて、まったく解説をせずに物語を展開するのは限界がある。
視聴者の興味が持続するよう、時には前もって説明して視聴者が物語を理解しやすくし、時に説明を後回しにして視聴者を焦らす。
そしてある時には目の前の展開について解説を差し挟む。
この目の前の展開についての解説、今回はこれについて考えたい。

ジョジョの奇妙な冒険の実況解説


ジョジョの奇妙な冒険については第一部のスピードワゴンの実況が話題になったのを知る人も多いのではないだろうか。
第二部でも解説キャラは変わりながらも、実況解説が挟まれる場面は多い。

この解説、時間の流れに着目すると整合性に疑問符がつくこともある。
例えば19話。カーズと一緒にジョジョが谷に落ちた時、谷底までは5秒とナレーションが入る。
しかし実際に落下している時間は5秒を悠々越える時間。
その時間のうち、ジョジョ、カーズ、シーザーらが状況の実況解説をしている時間はなかなかのウェイトを占めている。

また、時間の流れにも関連するが、登場人物の行動としても不自然さが増す場合がある。
しゃべっている暇があったら行動しろ、などと思う場面が出てきてしまうのだ。

ではこの実況解説が時間の整合性を乱したり、キャラの行動を不自然に見せたりすることは物語の魅力を損ねているのか?
一概にそうとは言えない。

状況が理解できないまま物語が進展していくと、視聴者は物語に置いていかれた気分になることがある。
しっかりとした解説はそれを避ける方法の一つだ。
短い時間の中で有利不利が二転三転する熱いバトルは、実況解説が挟まれることによって、情報が余すことなく視聴者に伝わり、ぐっと楽しめるようになる。

閃乱カグラのナレーション解説

私がジョジョの奇妙な冒険と対比したい現在放送中のアニメの一つに、閃乱カグラがある。

閃乱カグラの特徴の一つが渋いナレーションだ。
1話アバンの世界観の解説から始まり、忍結界、忍転身などの専門用語の解説の多くがナレーションによって行われる。

ナレーション解説はキャラが不自然な行動をしているといったツッコミを引き起こさない*1
時間の整合性についても、必要に応じて時間が止まっている演出を使うことで回避することもできる*2

ではナレーション解説は実況解説の上位互換になるか?
そうとも言えない。
実況解説は物語の「中」で解説がされることに意味がある。
情報だけでなく、キャラの様々な感情が乗ってくる。
驚き、恐怖、嘲り、怒り、悲しみ、歓喜。

それに対してナレーション解説は物語の「外」で解説が行われる。
少し言い換えれば、実況解説では感情の流れが途切れないのに対し、ナレーション解説では感情に情報が割り込んでくる形になると言えるだろう。

補足と実況解説とナレーション解説の今後

ここまでは実況解説とナレーション解説の2つで分けたが、ジョジョの奇妙な冒険のナレーションと閃乱カグラのナレーションを比較してみても感情の込め方で違いを感じられる。
ジョジョの奇妙な冒険はナレーションであっても語尾にエクスクラメーションマークを感じるシーンが多いだろう。
閃乱カグラのナレーションはいつも落ち着いて冷静に情報を提供してくれる。

そこからもジョジョの奇妙な冒険が感情の繋がりを大切にしていること、閃乱カグラが物語の整合性を重要視していることが伺える。

今後、アニメの作中解説はどのようにされていくのか?
現在のアニメを取り巻く状況を見ると、SNSなどの普及、ライブイベントの開催などリアルタイムでの感情の共有がされるシーンは多い。
視聴者間、あるいはスタッフ、キャストまで含めて感情を共有することが重視されているように思える。
その点では今後実況解説がマッチする場面は多いのではないだろうか。

*1:キャラがしゃべっていないから当然なのだが

*2:キャラによるの実況解説でも時間が止まっている演出とモノローグの組み合わせで時間の整合性をとることは可能だが、人間の思考スピードなどを考えるとあまり長くはできない