藤四郎のひつまぶし

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いよいよアニメ放送も始まる俺ガイルの面白さを紹介しておくか


佳月玲茅『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-(1) 』(ビッグガンガンコミックス)P149

というわけで表紙にぐっときたら読むべし。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

一応いまなら試し読みも可能。

物語を小気味良く加速させる小ネタ

俺ガイルの特筆すべき点は小ネタの挟み方だろう。
俺ガイルは時にフリと思わせないフリからボケとツッコミが切り込んでくる。
そのシャープな笑いは物語の進行を妨げるどころか、加速させているようにすら思わせる

「君の目はあれだな、腐った魚の目のようだな」
「そんなにDHA豊富そうに見えますか。賢そうっすね」
 ひくっと平塚先生の口角が吊り上がった。
渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』(ガガガ文庫)P13

 一応、聞いておくか……。
「お前さ、友達いんの?」
 俺がそう言うと、雪ノ下はふいっと視線を逸らした。
「……そうね、まずどこからどこまでが友達なのか定義してもらっていいかしら」
「あ、もういいわ。そのセリフは友達いない奴のセリフだわ」
渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』(ガガガ文庫)P61

「……ありがと」
 小さな声でお礼を言うと、えへへぇと嬉しそうにカフェオレを両手で持ってはにかんでいた。俺史における最高の感謝の言葉なんじゃないのか今の。
 その笑顔はたかだか百円の対価にしては貰いすぎたかもしれない。
 満足して、雪ノ下に水を向ける。
「話は終わったのか?」
「ええ、あなたがいないおかげでスムーズに話が進んだわ。ありがとう」
 俺史における最低の感謝の言葉だったろ今の。
渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』(ガガガ文庫)P91

 料理にそれほど詳しくない俺でもはっきりとわかるくらい、由比ヶ浜の腕前は尋常離れしたものだった。クッキーごときで大げさなと思うかもしれないが、シンプルなものだからこそ、力量の差が見えやすい。ごまかしのきかない本当の実力というものが見えるのだ。
 まず溶き卵。殻が入っている。
 続いて小麦粉。ダマになっている。
 さらにバター。固形のまま。
 砂糖は当たり前のように塩にすり替わっているし、バニラエッセンスはどぼどぼ入っているし、牛乳はたぷたぷしている。
渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』(ガガガ文庫)P97

俺ガイルは「物語」の前の段階、「文章」で既に面白い。
これは自分がライトノベルを読んでいてもなかなか抱くことのない感想だ。

ひねくれた主人公比企谷八幡

比企谷八幡については前に少しまとめた。
比企谷八幡列伝 - 藤四郎のひつまぶし
いくつか抜き出そう。

小学校時代
・クラスメイトの誕生日会にプレゼントを持って行くも、誘われていなかったらしくチキンがない
・誕生日に母親同士が仲がいい高津くんがやってきてトウモロコシを渡されるが、あがっていくか聞くと高津くんは新ちゃんちにあそびに行った

中学校時代
・クラス替えで皆がメルアド交換してる時に誰とも交換できずに携帯取り出しているとお情けで声をかけられる
・家の用事で忙しいと遊ぶのを断られた大磯くんがカラオケに二宮くんと入っていくのを目撃
・好きな女子と同じ時間帯に帰れるように苦心し、「ストーカー」と陰で言われていることに気づく

そんな過去を経て高校生になった比企谷八幡。
彼のコミュニケーション力の高いクラスメイトへの視線は冷たい。
群れる、人に合わせるといったことへは露骨に嫌悪感をあらわす。

 誰かの顔色を窺って、ご機嫌とって、連絡を欠かさず、話を合わせて、それでようやく繋ぎとめられる友情など、そんなものは友情じゃない。その煩わしい過程を青春と呼ぶのなら俺はそんなものいらない。
渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』(ガガガ文庫)P233

そして比企谷八幡は変わらないことを肯定する。人に合わせないことは自分を大切にすること。自分の過去を肯定すること。
周りが変わっていこうとも、比企谷八幡は変わらずにいようとする。
ぼっちのまま。

そんな比企谷八幡は物語冒頭で奉仕部という自己変革をして悩みを解決する部に放り込まれる。
その奉仕部には何人かの悩みを解決したい生徒たちがやってくる。

比企谷八幡は仕方なくも他人の悩み解決に奔走するのだが、最後はみんな仲良く問題解決、なんてキレイ事にはこだわらない。
誰かが傷ついても、自分が傷ついても目的が達成出来れば良い。よって時におどろくべきような解決策に打って出る。
比企谷八幡は非情で非常なリアリストなのだ。

まぁその真の力が発揮されるのは巻数がしばらく進んでからなのだけど。

それまでは比企谷八幡のひねくれた自意識と切り返しのキレを楽しんでほしい。

謎に満ちている雪ノ下雪乃

知的、クール、愛想が悪い。
雪ノ下雪乃はその名の通り氷のような女だ。
言葉の鋭さでは比企谷八幡に匹敵するかそれ以上。

正論を好み、頑な彼女は周りとの馴れ合いを好まない。
そして負けず嫌いな彼女は自分を高めること、変わることも厭わない。
比企谷八幡とはある部分では似ていて、ある部分では正反対だ。

その雪ノ下雪乃にはまだまだ知られざる過去も多い。
幾つかの場面で彼女に読者の知らない過去がチクチクとつき刺さっているのも見て取れる。
彼女が変わっていくのか、はたまた変わらないのか。変わらないことを是とする比企谷八幡がどうかかわっていくのか。

恋愛脳の由比ヶ浜結衣

お馬鹿、かわいい、気ぃ使い。
由比ヶ浜結衣はリア充グループの一員だ。
それは奉仕部に入部してからも変わらない。
だからこそ、その2つを両立させるために彼女はそれまでの自分を変え、他の人まで変えてしまう。
それが雪ノ下雪乃であっても。

そして由比ヶ浜結衣は恋愛脳だ。俺ガイルのラブコメ成分について、紙面のスペースの多くは彼女が占めている。
だが彼女と比企谷八幡の出会い方がまちがっていたのかもしれない。
あるいは比企谷八幡がひねくれる前に出会っていたらもう少し違っていたのかもしれない。
比企谷八幡は彼女の気持ちを「勘違い」しないよう自制する。

まぁそれくらいで止まる彼女でもないのだが。

比企谷八幡は彼女の好意をどう捉えるか、どう応えるのだろうか。

だんだんと顔が見えてくるリア充グループたち

俺ガイルの特徴として、比企谷八幡が所属する奉仕部とは別のグループ、リア充グループの存在がある。
1巻の間は名前が出てくるだけのモブに思えた彼ら、彼女ら。
それが巻が進むごとにストーリーに食い込む場面が増える。
リア充の価値観と思われていたものが個人の価値観へと解体され、複雑な人間模様を紡ぎ出していく。

俺ガイルはぼっちの生き方を描いた作品ではない。
俺ガイルはリア充との対立を描いた作品でもない。
俺ガイルはリア充とぼっちを個人に解体し、ぶつけあい、再構築していく作品なのだ。

そして最後に比企谷八幡の周りにはどんな人物がどんな表情で佇むことになるのか。
あるいは誰も残らないのか。
7巻時点で私には全く予想がつかない。

他個性的な登場人物たち

他にも比企谷八幡を気にかけ続ける女教師(しかも巨乳! で八幡の嫁!*1)の平塚静、ライトノベル作家を目指す現役中二病ふくよか体型の材木座義輝(CV:檜山修之、勇者王!)、女子と見紛う美少年戸塚彩加(CV:小松未可子、ジョーイ!)、不良少女のようで不良少女でない、ちょっぴり不良少女の川崎沙季(で名前いいんだっけ?)、何を考えているかつかめない雪ノ下雪乃の姉、雪ノ下陽乃(こわい)、お兄ちゃん大好き比企谷小町(CV:悠木碧、ウェヒヒヒヒ!)などなど登場人物は一癖あるキャラばかり。

特に材木座、小町の演技の飛ばし方はなかなか。アニメ前に特装版のドラマCDで予習しておくのもオススメだ。

そんな感じの文章、キャラ、物語全てが楽しめるやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。はぜひとも原作もアニメも原作者ブログもtwitter*2見て欲しい。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 公式ホームページ|TBSテレビ
原作者ブログ:渡航日誌
twitter

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

*1:3/26 1:00:はてブコメントより『で八幡の嫁!』追記

*2:3/26 1:00:はてブコメントより『原作者ブログもtwitterも』、リンク追記。注文の多いラノベクラスタ