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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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道具という、不安定な心を固定するモノとフォトカノ

人の心は不安定だ。
勉強をすると決めると机の整理をしたくなり、重要なイベントでは緊張のあまり集中力が散漫になってしまう。
その不安定な心を固定するために、形あるものの力を借りることがある。

例えばはちまき。
運動会や受験勉強の時に額に巻くことのある道具だ。
なにか一つのことをやり遂げるという気持ちを、はちまきという形あるものに変換して身に付ける。
それによって不安定な心を統一する。

例えば仮面。
古来より宗教的儀式や祭り、演劇の際に演者がかぶることがある道具だ。
行動しているのは、自分ではないだれか。
そう思い、行動する助けとして、自分ではない誰かを具現化し、自分の顔を隠すように身に付ける。

フォトカノでは、一眼レフカメラがそのような心を固定する道具として描かれている。

フォトカノの主人公前田一也は高校二年生の夏休み最終日、父親からお下がりの一眼レフカメラをもらう。
それまで目立つこともなく、趣味もなかった彼がカメラを手にすることで物語は動き出していく。

それを体現する言葉が『シャッターチャンスだ』だ。


「シャ、シャッターチャンスだ」

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』1話


「シャッターチャンスだ」

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』2話

それまでの彼ならばただ通り過ぎ、霧散していたかもしれない一瞬の光景。
それがカメラという道具を持つことで写真という形を得る。
そして新しい出会いや知人の新たな側面の発見へとつながっていく。

またカメラは撮る側の心のありかたを変えるだけではない。
一也の幼なじみの新見遙華は、それまでも持っていた一也に見てほしいという気持ちを、カメラでとってほしいという言葉として一也にぶつける。


「私をとって」

「私で良ければ前田くんに撮ってほしい」

「私を見てほしい!」

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』2話

カメラという道具は撮られる側の気持ちを形にし、引き出す触媒にもなるのだ。

だがこの一眼レフカメラは人のよい部分だけを固定し、形にする道具でもない。

魔がさす、という言葉がある。
悪魔が心に入りこんだように、誤った判断、行動をしてしまうことだ。

魔がさすのは一時的な話。
では持ち続けている限り持ち主の心を悪魔のように変えてしまう道具があるとしたら、それはなんと呼ぶべきか?
それが剣であれば人はそれを魔剣と呼ぶ。
ではそれが一眼レフカメラであれば魔眼レフカメラとでも呼ぶべきだろう。

フォトカノでは被写体を撮るためにきわどい行動をとる写真部の姿も映し出される。

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』2話

そして一也も「シャッターチャンスだ」と撮った室戸生徒会長の不正登校の証拠となる写真を、お願いされても削除することはなかった。

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』2話

道具は使い手次第で良きものにも悪きものにもなる。
それと同時に道具は人を良き人にも悪き人にもしてしまう。

フォトカノはそんな道具の持つ力、人の心を良い方向にも、悪い方向にも固定してしまう魔力を描き出す作品なのかもしれない。

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