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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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再掲:ギルクラの魅力―感情移入の容易さとストレスレスの願望の充足―

※本記事はジャムミックス!で2011/11/17に投稿した記事を修正・追記・再編集したものです。

ギルティクラウンが多くの人の心をとらえたのはなぜか。
その一因は派手な演出と衝撃的なストーリー展開をしながらも、根幹にあるのが視聴者の身近な体験や願望だったりするところだ。

3話の集と谷尋のエピソード、4話から5話にかけての集といのりのやりとりがわかりやすい。

集は1,2話でテロリスト集団葬儀社に手をかしたが、その場面を目撃した者を3話で捜索する。
そこでてんやわんやがあって、集とも親しい谷尋が目撃者だと突き止める。
しかし谷尋がシュガーの通り名で薬物の売買をしていたこともあり、お互いのことを秘密にする約束をし、穏便にことを済ませた。
だが谷尋は3話ラストで集を裏切り、葬儀社と敵対関係にあるGHQに集を突き出した。

それまで温厚だった谷尋がシュガーであることを指摘されて取り乱したり、わかりあえたと思っていた友人の手で窮地に追い込まれるなど起伏のあるストーリーに仕上がっている。
しかし自分の過去の犯罪を心を許せる友人に話したら通報されることは現実ではよくある。

また4話で集はいのりが危険を犯して自分を助けにきてくれたことから、自分に好意を抱いていると思った。
それが葬儀社に参加する理由の一つになる。
だた5話でいのりの行動は葬儀社のリーダー、涯の命令だったことを知り、ショックを受ける。

劇中での迫力のある戦闘シーンやいのりの感情の乏しさはとても印象的だ。
そんなミステリアスな少女が危険を犯して自分を助けてくれたら舞い上がるのも当然だろう。
だが異性に告白されて浮かれていたら、実は罰ゲームで命令されていやいやだった、という経験は皆している。

他にもギルティクラウンは視聴者と集の距離を遠ざけないよう設定に気を使っている。
集は視聴者の最大公約数的であるように、公式には死亡している帝国の王子ではなく、右手で敵の攻撃を無効化出来ず、少年兵である過去を持っておらず、未来の出来事が書かれた日記を持っておらず、可愛い妹がおらず、友達が少ない。

このような身近な体験とクセのないキャラで集への感情移入を強めると同時に、ギルティクラウンは視聴者の願望を叶えることで満足感を与えている。
大きなところでは集がヴォイドと呼ばれる人の本質を取り出し、使えることがあげられる。

この設定は巧妙で、人の気持ちを知りたいという、ソフト目な欲求はヴォイドを取り出すことで直球に表現、自分の思う通りに他人を動かしたいという、やや罪悪感も感じる欲求は直接人を動かさずヴォイドを使って間接的に表現している。

また願望の種類によっては、集に行動させず、結果だけを与えているのも上手い。
具体的には社会を変えるという難易度の高いことや、目的のために犠牲を払う、人の嫌がることを命令するという汚れ役は涯に一任している。

視聴者の分身たる集は与えられた状況に「はい」か「いいえ」で答えるだけで良い。
集に感情移入した視聴者は自分で辛い選択をする必要もなく、ストレスレスに番組を楽しめる。

やはり人の心をとらえるアニメは細かいところまで手を抜かずに作られているものだ。

(2013/5/8)
2013年4月スタートのアニメ、革命機ヴァルヴレイヴギルティクラウンに似たエンタメ性を感じています。
戦争とは水と油になりそうな学園モノをあえて直球に結びつける荒業、校歌や携帯電話、ネットなどの身近さを感じる仕掛けをそこここに配置、そしてサムライロボットに多種多様な機械兵器と見るものを飽きさせず、突き放さずのかなりのエンタメに仕上がっているのではないでしょうか。

分割2クールとのことなのでこちらも長く楽しめそうです。

革命機ヴァルヴレイヴ 1(完全生産限定版) [Blu-ray]
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