藤四郎のひつまぶし

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首の後ろを手刀でトンに代わる手法を考える

百花繚乱サムライブライド10話で首の後ろを手刀でトンして気絶させる場面を見ました。

2013 すずきあきらNiθホビージャパン/百花繚乱SBパートナーズ『百花繚乱サムライブライド』10話

この首の後ろを手刀でトンはアニメ、マンガなどで時々見かける表現です。
ですが気絶を目的にする手刀トンは、その目的を達成するための最適な行動では無いケースが多いように思います。

手刀トンの目的と、手刀トンが引き起こす状況のミスマッチ

冒頭のサムライブライドの手刀トンはうるさいキャラを黙らせるための手刀でした。
この他にも手刀が用いられる場面としては、敵わない敵に挑もうとして言うことをきかない仲間を止めるなど、意識を失ってほしいけど傷つけたくはない場面が多いかと思います。
そして手刀トンで気絶する仕組みですが、これは脳を揺らして意識を失わせる、つまり脳震盪を起こさせていると推測されます。

この脳震盪を起こして気絶した場合ですが、意識が戻っても短期間にもう一度脳に強い衝撃を受けると、セカンドインパクトシンドロームといって障害が残る可能性が格段に上がるそうです。
脳しんとう 、 セカンドインパクト シンドローム(症候群) 、 脳震盪|松戸のペンギン整骨院 はてなブックマーク - 脳しんとう 、 セカンドインパクト シンドローム(症候群) 、 脳震盪|松戸のペンギン整骨院

そのため、アメフトでは症状が回復しても1週間はプレーに復帰できないと定めているそうです。
アメフトにみる 脳しんとう の対処法? 、脳震盪 、スポーツ|松戸のペンギン整骨院 はてなブックマーク - アメフトにみる 脳しんとう の対処法? 、脳震盪 、スポーツ|松戸のペンギン整骨院

よって手刀トンをする場合は、相手をその後しばらく安静にできる条件下にとどめるべきかと思います。

しかし実際は冒頭のサムライブライドの例のように、手刀トンをする人物は手練であり、される人物も戦闘に従事する場合が多いように見受けます。
そのような場合、手刀トンはややリスクのある行動ではないでしょうか。

手刀トンに似た、目的とミスマッチが有りそうな手法

手刀トンと同じく、意識を失ってほしいけど傷つけたくない場合に用いられがち、しかしややミスマッチな手法には下記のものもあげられそうです。

クロロホルムを嗅がせる
クロロホルム - Wikipedia

クロロホルム自体は実際には多少吸引しても気を失うことはなく、せいぜい咳や吐き気、あるいは頭痛に襲われる程度である。しかし、クロロホルムが肌に触れると爛れを発生させ、一生消えることのないキズをおわせることにもなる。 なおクロロホルムを相当量吸引すると気を失うこともあるが、その場合、腎不全を引き起こし、死に至らしめる可能性が高い。

これは速やかに意識を失わせるのにも、傷つけないことにも反しているため、全面的に使うべきではない手法と言えそうです。

・スタンガン
スタンガン - Wikipedia

フィクションなどではスタンガンで人を簡単に気絶させる描写があるが、現実では市販のスタンガンで気絶することはほとんどない。ただし痛みを原因としたショックや心臓発作など、電気の直接的な作用ではない要因により気絶する可能性はある。また不正に出力を改造された物であれば感電死の可能性がある。

スタンガンでは気絶はしないようです。

・絞め落とす
脳震盪を狙っていると思われる手刀に対し、絞め落とすのは気管を塞いで窒息させるか、頚動脈洞を圧迫して脳に酸素を行き届かないようにして失神させているものが多いはずです。
この内、後者は数秒で失神に至り、脳の酸欠状態はそこまで長時間にはならないようです。
手刀で脳震盪を起こすよりは危険度は小さいように思えます。

ですが脳が酸欠状態になっているのは確かです。
手刀よりはマシとは思いますが、こちらも安全性を考えればできれば使いたくない手法ではないでしょうか。

手刀トンより安全に行動不能にさせる手法はないか

といっても、相手に深刻なダメージを与えず行動不能にさせたい場面はあるかと思います。
その場合の代替手段はないでしょうか。
調べてみて、いくつか代替できそうな手段が出て来ました。

スタングレネード
手榴弾 - Wikipedia はてなブックマーク - 手榴弾 - Wikipedia

ハイジャックなどの人質事件では安易な殺傷が許されないためスタングレネード(stun grenade)やフラッシュバン(flash bang)と呼ばれる特殊な手榴弾が使用されることがある。
この手榴弾は爆発時の爆音と閃光により、付近の人間に一時的な失明、眩暈、難聴、耳鳴りなどの症状と、それらに伴うパニックや見当識失調を発生させて無力化することを狙って設計されており、アメリカ軍で採用されているM84の場合は約100万カンデラ以上の閃光と、1.5m以内に160〜180デシベルの爆音(飛行機のエンジンの近くで120デシベル)を発するとされている。使用する側は事前に耳栓と対閃光ゴーグルを着用し、爆発音や光の中でも行動出来るよう備える。
非致死性兵器であるため、爆発の威力を超音速の爆轟が発生しない程度に抑えて破片も飛散させない設計になっているが、目標や人質が心臓病を患っている場合はショック死する可能性がある。

気絶・無抵抗の状態までにはできませんが、行動不能にはさせられそうです。
耳栓やゴーグルが必要、場合に応じて無力化した相手を縛る、口を塞ぐなどとの行動も必要にはなりますが、概ね目的は達成できるのではないでしょうか。
学園都市のLv5ぐらいになるとどうやら効きが悪いみたいですが。

ただスタングレネードは普通の人が持ち歩いていると軽犯罪法に引っかかってしょっぴかれる可能性が高そうです。
軽犯罪法の条文(前記事の参考資料): ::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::

第1条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
(中略)
2 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大
 な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

意識を失ってほしいけど傷つけたくないという目的には合致しそうですが、日本の法律を気にしない人や、戦争状況でしないと使用は難しそうです。

催涙スプレー
1人だけを相手にするならばスタングレネードよりもこちらの方が事前準備も少なく、軽犯罪法でしょっぴかれる可能性も少なそうです。

ただそうは言っても、ケースによっては警察に捕まり、起訴されるようです。

催涙スプレー携行と軽犯罪法(最高裁判決): ::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::

 本件の被告人は、深夜に新宿の路上で、ズボンのポケットに小型の催涙スプレー1本を入れていたのですが、これが軽犯罪法違反として起訴されていたものです。
(中略)
 最高裁判決は、まず、本件の催涙スプレーが、人の生命を害し,又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具に該当するかどうかという点については、これに該当すると認めました。

 しかし、「正当な理由」の有無については、(中略)1条2号の罪は成立しないとして、地裁も高裁も有罪とした判決を覆して、自ら無罪を言い渡したものです。
 判決は、裁判官全員の一致した意見となっていますが、あくまで事案に即した判断を行ったものであり、催涙スプレーの隠匿携帯が一般的に本号の罪を構成しないと判断したものではないことを明確にしておくため、として甲斐中辰夫裁判官が、補足意見を述べておられます。

引用した事件は無罪判決になっていますが、補足意見によれば催涙スプレーの所有目的、状況によっては軽犯罪法違反になる可能性があるということでしょう。

なお、戦争状況での催涙スプレーの使用は化学兵器禁止条約上問題がありそうです。

第一条 一般的義務
(中略)
5 締約国は、暴動鎮圧剤を戦争の方法として使用しないことを約束する。
(中略)
第二条 定義及び基準
(中略)
7 「暴動鎮圧剤」とは、化学物質に関する附属書の表に掲げていない化学物質であって、短時間で消失す
るような人間の感覚に対する刺激又は行動を困難にする身体への効果を速やかに引き起こすものをいう。

ここでの定義からは、催涙スプレーは暴動鎮圧剤に含まれそうです。
そして戦場で催涙スプレーを持っていれば、敵に使用する目的で持っていたと見なされておかしくないでしょう。
なので戦争状況では催涙スプレーの使用は避けるべきです。

・香辛料
さて、催涙スプレーの中にトウガラシスプレーというものがあります。
主成分はカプサイシン。トウガラシスプレーの名前の通り、トウガラシの成分を使ったものと言っていいでしょう。
であればやや効果は下がりますが、トウガラシや胡椒などを相手の目や鼻にかけることである程度相手の行動を束縛できそうです。
日常での入手も容易で、時間的余裕と場所によっては手刀トンしたい状況になってから近くのコンビニなどで調達できる可能性すらあります。
料理目的で持ち歩いている人はもちろんですが、そうでない人も選択肢の一つとなり得ます。

手刀トンに代わる手法と手刀トンに至る前に

というわけで私が考える手刀トンに変わる手法は3つになります。
一つはスタングレネードを使うという特殊な状況下でしか使えなさそうな手法。
一つは催涙スプレーを吹き付けるというなんか微妙に実現可能性が高そうな手法。
もう一つは香辛料をかけるというギャグマンガ・ギャグアニメのような手法。
物語のシリアスさや時代背景に応じてこれらの手法を使い分けることで、より安全に手刀トンと同じ目的を果たせるのではないでしょうか。

なお、今回は所持していて捕まらないかを加味して考えましが、実際に相手の行動を封じるためにスタングレネード催涙スプレー、香辛料を使用すれば、傷害罪になる可能性は十分です。
そしてどれも傷害が残る可能性は少ないとはいえ、ある程度の時間相手に苦痛を与え続けることになります。

なのでこれらの相手を無力化する手法だけでなく、相手の興奮を沈める、説得するための技術を身につけ、会話で状況を解決するのが一番だと平和主義者の私は思うのでした。