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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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CCCのアニメ製作ビジネス参入についてちょっと調べてみた

アニメ ビジネス 考察

CCCが新しいアニメ製作ビジネス目指す 「てーきゅう」などプライベートブランドDVDも はてなブックマーク - CCCが新しいアニメ製作ビジネス目指す 「てーきゅう」などプライベートブランドDVDも

CCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブと言ってもピンと来ない人がいるかもしれませんが、TSUTAYA、Tポイントといえば日本で知らない人は珍しいかと思います。
CCCはTSUTAYA、Tポイント事業などを手がける会社です。
そのCCCの子会社の一つに(株)アース・スターエンタテイメントという会社があります。
アニメに詳しい人はピンとくるかもしれませんが、このアース・スターエンターテイメントはてーきゅうヤマノススメなどが連載されているコミックアース・スターを出版している会社です。

以前ひょんなことからアース・スターエンターテイメントについて調べたことがあったのですが*1、その時CCCの子会社だという事を知り、本、CD、DVDの販売、レンタルという川下とコンテンツ作成の川上を両方押さえる戦略なのかなーなんて思っていました。
そして7/3にそのモノズバリの発表がされたのでした。

発表の中でCCCはこのコンテンツの作成から販売・レンタルまで手がける方式をSPAモデルとしています。
SPAは製造小売などと訳されることもあり、その例として本発表ではユニクロが上げられています。

このSPAモデルを取り入れることのメリットは大きく2つだと思っています。
一つは製造から小売までの流通の最適化、一つは小売りの情報の開発・企画部門へのフィードバックです。
てーきゅうをかなり楽しんでいる一ファンとして、ちょっと気になったのでCCCでその2つがどう達成されそうか調べてみました。

CCCの物流の最適化

私がこのニュースで一番最初に気になったのは物流についてです。
一見出版社と小売の両方の機能がグループ内にあれば、外部を通さず企画から製作、販売まで完結でき、効率的な物流を実現出来そうに見えます。
しかし出版業界の取引のプレイヤーは出版社と書店だけではありません。
無数にある出版社と、こちらも無数にある書店が直接取引をするのは効率的ではないため、間に取次と呼ばれる会社が挟まる取引が多数を占めています。
『日本における出版流通で取次経路の売り上げが占める割合は約7割であり』、『日販、トーハンの2社の市場占拠率は75%を超えてい』る*2とのこと。

でこの取次なのですが、本の販売数を最大にするために売れそうな書店に売れそうな本を優先的に配本する、といった行動をとることもあるようです。
言い換えると書店のリクエストどおりに本が届くとは限らない。
つまり小売と出版社を抑えても、取次を通す以上自社に最適化した流通経路を整えられないんじゃないかと思うわけです。

で調べたら出て来ました。
CCC、日販と商品物流事業を統合 - ITmedia ニュース はてなブックマーク - CCC、日販と商品物流事業を統合 - ITmedia ニュース
2006年に日販とCCCが事業統合して、日販51%、CCC49%出資の物流会社を設立していたんですね。
本だけでなくCD、DVD、ゲームを含めた効率的な物流システムを構築しているようです。
この力の入れ方はエンタテインメント・インフラ、マーケティング・インフラ、ヒューマン&モチベーション・インフラの3つのインフラを軸にしていると謳いあげるだけあります。
事業ドメイン|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

しかも店舗ごとの商圏に合わせた配本ができるような取り組みを2012年から行なっているようです。

リアル書店で売上1位--TSUTAYAがこだわる書店のあり方とこれから - (page 3) - CNET Japan はてなブックマーク - リアル書店で売上1位--TSUTAYAがこだわる書店のあり方とこれから - (page 3) - CNET Japan

 現在の伸び悩みはただ単に求める人に届いていないだけだと考えています。この状況は、店舗ごとに売れている雑誌だけが自動的に配本され、売れなかった雑誌がだんだん配本されなくなってしまうという仕組みに関係があります。

 一度配本されなくなってしまうと、もう二度と入荷されず、店舗スタッフもそれに気づかない。その仕組みを変える取り組みをTSUTAYAでは取次会社とともに2012年から開始しました。

 今までは自動的な配本におまかせしていましたが、それぞれの店舗の商圏特性を見直しました。例えばホームセンターが近くにある店舗であればDIY関連や園芸の雑誌を充実させるといった具合に、店舗ごとに商圏を分析し、それに付随する雑誌の配本を強化しています。加えて商圏に限らず、同様な立地で他店で人気のある雑誌を新規に導入しなおすといった取り組みも開始しています。そういった地道な施策を積み重ねることで、V字回復とまではいきませんが下げ止まりつつある状況にあります。

すでに取り組んでいる物流の最適化を今度は企画や製作まで含めて行なっていくのだろうと想像できます。

CCCの顧客情報のフィードバック

SPAモデルの長所は物流の最適化だけでなく、小売の情報を企画にフィードバックすることで、より適切な商品開発に繋げられるところにもあります。

そこでもう一つ注目したいのがCCCの中核事業の一つ、Tポイントです。
Tポイントは先日ヤフーポイントとの統合も行い、リアル、ネット両方で存在感のあるポイントサービスになっています。
ニュースリリース|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 はてなブックマーク - ニュースリリース|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

このTポイント、多くの提携先を持ち、購買記録を収集、分析するツールとしての働きがあります。
Tポイントの会員データ分析から企業は何を知るのか - ZDNet Japan はてなブックマーク - Tポイントの会員データ分析から企業は何を知るのか - ZDNet Japan

その収集方法が問題になるくらいに。
Tカードは個人情報保護法違反に該当するのか?──津田大介の「メディアの現場」vol.44より:津田大介の「メディアの現場」:津田大介チャンネル - ニコニコチャンネル:社会・言論 はてなブックマーク - Tカードは個人情報保護法違反に該当するのか?──津田大介の「メディアの現場」vol.44より:津田大介の「メディアの現場」:津田大介チャンネル - ニコニコチャンネル:社会・言論

CCCがこうやって得たデータを、マンガやアニメといったコンテンツにどのように反映するかは大変興味深いです。
日用品や工業製品ならユーザーの要望にしたがって改良することが満足度向上につながりますが、マンガやアニメがその方法「だけ」で満足度が上がるかはかなり怪しいと思っています。
私はマンガやアニメといったコンテンツのヒットには市場の要求を満たすだけでなく、それまでなかった市場を作ってしまうっようなクリエイターの個性、パワーも必要だと思うので。
小売の情報をどのような形で企画、あるいはクリエイターにフィードバックしていくのか、そこからどんな作品が出てくるのでしょうか。

…といいながらアース・スターの一番最初に放送されたアニメはてーきゅうだったりするんですよね。
アニメ化が決まったのは原作人気によるものだと思うのですが、アニメもかなり挑戦的で、多くの工程を手がける板垣監督の個性やこだわりも出まくりだと思うんですよね。
板垣監督の連載記事でもこだわりを感じますし。
板垣伸のいきあたりバッタリ!第319回 アニメ『てーきゅう』の作り方(23) | WEBアニメスタイル はてなブックマーク - 板垣伸のいきあたりバッタリ!第319回 アニメ『てーきゅう』の作り方(23) | WEBアニメスタイル

いやもちろんアース・スターのプロデューサーと調整しつつの話だとは思うんですけど。
板垣伸のいきあたりバッタリ!第305回 アニメ『てーきゅう』の作り方(14)と「ヤバイ……!」 | WEBアニメスタイル はてなブックマーク - 板垣伸のいきあたりバッタリ!第305回 アニメ『てーきゅう』の作り方(14)と「ヤバイ……!」 | WEBアニメスタイル

監督が「やりたい!」と言ったらなんでもやらせてもらえるほど、
プロの制作現場は甘くありませんから!

もしてーきゅうのアニメの方向性が市場調査からはじき出されたものだったら、その分析手法はすごく気になる…。

メディアミックスと製作委員会方式

SPAモデルとはちょっと離れますが、近年のアニメを中心としたメディアミックス展開を一社で手がけられるというのもなかなか興味深い部分です。
TSUTAYAといえば現在では本、CD、DVD、ゲームといった商品の販売、レンタルを手がけています。
アース・スターエンタテイメントは音楽も手がけているので、やろうと思えば原作単行本、雑誌、OPED曲、アニメまでをグループ内で製作、販売することができそうです。
CD|株式会社 アース・スター エンターテイメント はてなブックマーク - CD|株式会社 アース・スター エンターテイメント

このへんは近年の製作委員会方式とは真逆の方向性とも言えるのが興味深いです。
製作委員会方式では出版社、レコード会社、ビデオメーカーや玩具メーカーなどの各社がそれぞれの強みを生かした商品展開をします。
また1作品あたりの出資額を下げて複数作品に出資することで、当たり外れの大きいアニメビジネスのリスクを分散するといった効果もあります。
出資については今のところショートアニメを中心とすることで抑制しているんじゃないかと思うのですが、30分アニメでの展開も控えるCCCはどこまでグループ内で製作を完結させようとするのでしょうか。

まとめ

というわけで調べてみたのですが、コンテンツの製作から販売までグループ内で完結するというのはなかなか興味深いビジネスです。
アニメイトもグループ内に音楽、アニメ製作を手がけるフロンティアワークスを持っていて、似た部分はあると思います。
ですがここまで垂直統合を前面には押し出してないんじゃないかなーと思います。
CD、DVDレンタルでは業界最大手、雑誌、書籍販売でも存在感を発揮しているCCCが製作でも存在感を出してくるのか、てーきゅうヤマノススメあたりは結構良い評判を聞くだけに今後の推移が楽しみです。
TSUTAYAの独占レンタルに業界内から訴訟…競争激化するソフトレンタル業界の攻防 (Business Journal) - Yahoo!ニュース はてなブックマーク - TSUTAYAの独占レンタルに業界内から訴訟…競争激化するソフトレンタル業界の攻防 (Business Journal) - Yahoo!ニュース
リアル書店で売上1位--TSUTAYAがこだわる書店のあり方とこれから - CNET Japan はてなブックマーク - リアル書店で売上1位--TSUTAYAがこだわる書店のあり方とこれから - CNET Japan

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