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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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フォトカノの芸術としての写真、たまゆらの人との橋渡しになる写真


半分以上の話数が事実上の最終回となっており、1話に詰め込めるだけエピソードを詰め込み、嵐のように三ヶ月を駆け抜けたアニメ、フォトカノ

好評だった一期の流れを引き継ぎ、2話の終わりで新キャラが話に絡みだすというゆったりとしたスタートを切ったたまゆら

全く毛色が違う作品と言ってもいい両作品ですが、共通点がひとつあります。
それはカメラ、写真が物語のキーアイテムになっていること。
しかしそのカメラ、写真の作品における役割もかなり違うものになっているのではないでしょうか。

フォトカノのカメラは美の追求のためのツールとしての側面が強かったと感じています。

主人公の前田は自分の直感を信じ、常識、倫理というものを飛び越えてカメラのシャッターを切ります。


「シャ、シャッターチャンスだ」

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』1話


「シャッターチャンスだ」

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』2話

その情熱は一瞬の衝動だけに費やされるだけではなく、シーン数こそ少ないですがカメラの勉強をしたり、よりよい写真を取るための技術の習得にも費やされています。

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』9話、11話

その追求する美の対象は基本的に恋人となる女の子。
ひたすらに女性の美を追求する姿勢はある意味ストイックでエロティックです。

ENTERBRAIN, INC. Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会『フォトカノ』6話、9話

一方のたまゆらではあまりそのような技術、美の追求といったストイックな部分は前面には出てこない気がします。
それよりも写真の中のコミュニケーションツールとしての働きを感じます。

たまゆらでは1期の最後を私達展という自分たちでつくり上げる展示会で締めくくっていました。
やってくるお客さん一人一人が展示会を楽しみにしており、そんなお客さんと主人公の楓たちがコミュニケーションを取る、和気あいあいとした展示会になっていました。

2011佐藤順一・TYA / たまゆら製作委員会『たまゆら〜hitotose〜』12話

そんな展示会での交流は楓にもっとこんな体験をしたいと思わせ、2年生に進級した2期でのメインのエピソードになるであろう、写真部の設立へとつながっていきます。

展示会というイベントに着目すると、フォトカノでも文化祭の展示というイベントがあります。
しかし主人公の前田が所属している写真部としては一大イベントであるはずの文化祭の展示は、物語的にはそれほどクローズアップされているとは言えません。
比較的展示がクローズアップされていると言える新見遥のエピソードでも、展示が盛況だったかよりも、被写体である新見さんが写真の展示を喜んでくれるか、展示を受け入れてくれるかに焦点が当たっていました。

フォトカノではカメラと写真は1人の美を追求するアイテムとして描かれ、たまゆらではカメラと写真は大事な思い出であり、たくさんの人との橋渡しをする役割も担うものとして描かれているように私は感じます。
同じカメラ、写真がキーアイテムの作品でありながら、違う側面に光を当て、まったく違う作風になっているフォトカノたまゆら
これは日本でほぼ1人1台普及していると言ってもいい携帯電話の多くにカメラがついていることからもわかるように、カメラが様々な人に、様々な使われ方をすることの証左なのかもしれません。

付記
両作品の違いについてつらつらと書いたのですが、逆に共通点として、二作品とも写真のメール添付、パソコンでの観覧といったIT要素が薄いような気がします。

フォトカノについては美の追求としては写真をとるところまででほぼ完成しており、展示なり、ネットにアップロードしてたくさんの人に見てもらうのはそのおまけなのかもしれません。

たまゆらについては父の形見のカメラがアナログ(だったはず…)という事や、古風な町並みを反映してのことでしょう。
こちらは遠くの友達との交流もメールではなく電話のシーンが多いように思え、なるべく携帯の画面越しといった間接的なものではなく、直接交流している雰囲気を出しているのかなーなんて思います。