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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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日本の進むべき道を示す現代人必読の一冊「大日本サムライガール6」

ライトノベル 大日本サムライガール ストーリー 紹介 感想


この展開を待っていた。

長年の日本の活力低下、経済、国際的地位などの低迷を歯がゆく感じていた私にとって、大日本サムライガールのヒロイン、真正なる右翼であり、日本一のアイドル神楽日毬の描く日本像はとても魅力的なものだった。

まずこの危機的状況を乗り越えるために一時的に民主主義を廃止し、神楽日毬の独裁によって国家を運営する。
国会議員を始め各種の制度を廃止し、日毬の手足となって働く官僚機構のみを生かし、ベーシックインカムを基礎としたスリムな社会体制を構築する。
対米従属から離れ、対等な同盟関係を構築し、中共の圧力にも屈しないよう、国防軍の設立に留まらず、核武装を行い武力行使も辞さない強い国を目指す。
なかなか心躍る日本像ではないか。

しかしどんな素晴らしき理想像も、実現しなければ絵に描いた餅。
ただ言説を振りまくだけでは夢想家との違いはない。

前巻までの話では日毬、そして日毬が所属するひまりプロダクションがマスコミを使って大衆への影響力を高めてはきたものの、日毬の目指す政治体制はあまりにも今の腐った日本とはかけ離れすぎ、現実味がなさすぎるようにも思えていた。

突拍子もない理想を実現するにはどうするか? 理想と現実のギャップを埋めるにはどうするか?
その第一歩は現実を正しく認識し、理想へ至る道筋にある障害を明確化することだ。

大日本サムライガール5巻は、日毬たちがアメリカ大使館に連れて来られる所で幕を引いた。
そこから続く6巻では、巻のおよそ半分をCIA、アメリカ国防総省、日本の政党の要人たちとの接触を通じて、日本とそれを取り巻く情勢を正しく認識することに割いている。
アメリカ、中国といった国の諜報機関が日本に下ろした根の深さと日本の無防備さ、戦後日本とアメリカの表だけではない繋がり、アメリカホワイトハウスに影響を与えようとする勢力に中国共産党人民解放軍の行動原理、日本で長期政権を担当した党と政権交代を一時成し遂げた党の行動方針、そして日本のマスコミの動向。

日毬が日本の体勢を一新するとなれば、国内、国外を問わず様々な勢力との軋轢、あるいは共闘は避けては通れない。
その時どの組織がどのような行動原理で行動していたかを知らずにいれば、思わぬところで足をすくわれる。
日本はおろか国際情勢を一変させ得る日毬には、最悪暗殺という事態もあり得るのだ。

また一見行動だけを見れば組むに値しない勢力であっても、その行動原理は以外にも日毬とマッチすることもあり得るとわかる。
これまでとってきた手段は容認できずとも、目的が同一というのはあり得るのだ。

日毬がアメリカの情報機関と政党の中枢からのアプローチを受けることで、日毬の目指す日本への道筋はかなり見通しがつくようになった。
それでいて障害も明確になり、改めてその困難度合いが浮き彫りになった。
果たして日毬はどのようにして困難を打ち破り、日本を新生させるのか。今から楽しみで仕方がない。

6巻後半では主人公颯斗が設立したひまりプロダクションが日本に先立ってささやかでありながら大切な変革の一歩を踏み出す。
文章ではあまり大事のようには描かれていないが、その変革には現状を良しとして安住しようとする考えからは生まれない判断があった。

今後さらに加速するであろう日毬による日本政治の一新。
それは何もフィクションの中だけで成立する夢物語ではない。
我々も日本人としての誇りを取り戻し、新しい日本を作り上げるために、最初の一歩を踏み出すべきなのだ。

大日本サムライガール 6 (星海社FICTIONS シ 2-6)
大日本サムライガール 6 (星海社FICTIONS シ 2-6)