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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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アップデートされるヒーローと世界「ガッチャマンクラウズ」

アニメ ガッチャマンクラウズ 思想 紹介 感想


『世界をアップデートさせるのはヒーローじゃない。僕らだ。』

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

7月スタートのアニメをひと通り見たと思ったら、見落としてて最後に見ることになったのがガッチャマンクラウズ
このガッチャマンクラウズを7/20時点の最新話、2話まで見たんだけど、僕のフィーリングにとてもマッチしてて興奮を隠し切れない。

ガッチャマンクラウズでのガッチャマンは、地球に潜伏する異星人犯罪者、未確認物体の対処のため、自分の精神を具現化する強化スーツを装着して戦う戦士のこと。
物語はガッチャマンにスカウトされた女子高生、一ノ瀬はじめ(画像右)と、すでにガッチャマンとして戦っている高校男子、清音(画像左)が出会うあたりから動き出す。

そんで普通なら何も知らないはじめが清音や他のガッチャマンからガッチャマンについて教えてもらい、戦うことになりそうなもの。
でも、ガッチャマンクラウズはそういった展開にならない。
むしろ先輩の清音が、説明や命令を聞かずに行動する一ノ瀬はじめに振り回されてばっかり。
はじめが一般人に存在を知られていないガッチャマンの存在をバラそうとしたり、ガッチャマンを生み出す神のような存在だと説明されたJJに気軽に話しかけたり、勝手に駆除対象の未確認物体を逃したりするのに清音が手を焼きっぱなし。
まるで会社に会社のルールを無視する新人が入ってきたみたい。

これだとガッチャマンクラウズは新人に振り回されるガッチャマンたちを描いたお仕事モノ? と思うかもしれないけど多分そうじゃない。
だってガッチャマンクラウズは一般的に正しいとされてること、悪いとされてることは本当にそうなの? と疑問を投げかけてくるから。

たとえば清音は正義感が強いからか、1話で電車で立っている妊婦と席に座っている若い男性を見かけ、若い男性に席を譲るよう注意する。

これが清音とはじめが一緒に電車に乗り合わせた2話だとちょっと見え方が変わってくる。
おばあさんに席を譲らない若者を見つけて不満を言う清音に対して、はじめは疲れてるんじゃないの? 病気だったりするかもよ? と別の視点を提供する。
ちなみに最初の若い男性は口にマスクをしており、後の若者は席で眠りこけている。

同じ部屋で飛び降り自殺のニュースを聞いていた2人の反応もそう。
自ら命を断つなんて理解に苦しむ、命を軽視しているという清音に対して、はじめはベランダにかけより、その高さを確認しつつ、自殺した人は辛かったんじゃないかと問う。

多分はじめは常識、きまり、あるいは思い込みといったものだけで物事を判断してない。
なんで物事がそうなるのか、なぜその人がそうするのか一つ一つを深く理解して、あるいは理解しようとして行動してる。
だからガチガチの考えにしたがって行動する清音のことを、「まっすぐしか見てなくて人として、ガッチャマンとしてアレ」とか言ったり、新人、お前と呼ぶ清音に名前で呼ぶよう怒ったりする。
はじめを組織の指示をこなすガッチャマンとして扱う清音に対して、自分を1人の人間として見てほしい、という意味で。多分。
ただはじめは理解のスピードがめちゃくちゃ早いくせに、言葉にして説明するのが壊滅的に下手なんで、変なやつ、よくわかんないやつって感じる人も多いとは思うんだけど。

この広い視野、個人の尊重ってのを単発のエピソードだけじゃなくて、世界観、設定といったところでも表現しているのがガッチャマンクラウズの面白いところ。

例えばガッチャマンクラウズのに登場する特徴的なツールにGALAXってのがある。
アバターを使って同じ趣味の人とかと交流したり、AIに質問してニュースや情報を探したり、困ったときに近くの専門家ユーザーの力を借りたりするツールだ。

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

それだとGALAXはネット上、あるいは仮想空間で不特定多数とワイワイやるツールみたく考える人もいるかもしれないけどガッチャマンクラウズだとそうは表現していない。
むしろ個人個人を繋げるツールってのが強調されてる。

現実でのTwitterのようにガッチャマンクラウズでもGALAXが震災で活躍したと説明されてるし、オフ会を開いて実際に人と会って笑顔になってる写真だとか、助けを求めると近くにいた専門家が駆け寄ってくる姿だとかが描写される。


「あの、階段から落ちて怪我してる人がいるんですけど」


「大丈夫、落ち着いて対処しましょう。救急処置の経験を持つギャラクターがその付近に3名います」


「私看護師です。任せてください」

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

そんでこの使い方が救急車が持ってる人命救助の第一人者、みたいな地位を揺らがせるモノとしても描かれてる。

「救急車いらなくね?GALAXのほうが全然役に立つな」


「おめでとう。世界がアップデートされました」

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

この記事冒頭で引用したキャッチコピーを実行してる姿が描かれれてるというわけ。

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

この既存のモノ、組織のやり方が新しいモノ、個人のやり方に押される展開ってのはガッチャマンとはじめの関係もそう。

はじめがガッチャマンになって最初の出動が、人を連れ去る謎の未確認物体、MESSの処理。
…だったんだけど、それまで清音たちがずっと行なってきた、MESSを攻撃をして、倒したMESSから連れ去られた人をサルベージするという方法をなんも知らないはずのはじめがいきなり邪魔する。

一旦ははじめは自分の能力であるハサミでMESSを拘束するが、「なんかちがうぞこれ」「そういうことじゃないかも」とよくわからいセリフをつぶやいてMESSを逃してしまう。



タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

そして次にMESSにあった時は攻撃しようとする清音を拘束して、言葉を喋らないMESSとコミュニケーションを取ろうとする。


「MESSちゃーん、おっはよー」


「こんばんわー」


「はじめまして〜」

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

そしてMESSと仲良くなり、今なら行方不明になってしまった人がどこに行ってしまったか教えてくれるんじゃないか、なんて言う。

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

それまで清音…というかガチャマンのみんなはMESSを人を連れ去る人の生活を脅かすモノであり、戦うしかないとみなしていた。
その構図をガッチャマンについて右も左もわからないはずのど新人のはじめが、ほとんど直感でいきなり覆してしまう。
この展開は世界征服を企む秘密結社と戦ってきたガッチャマンという作品でやるからこそ面白いのかもしれない。

あとガッチャマンクラウズは出てくるツール、ガジェット、舞台がすごくオシャレっぽい上に現実っぽい。
はじめたちがスーツを装着するために使う「NOTE」の外見が、モレスキンってかっこよさげなノートに似てたり、その「NOTE」に書き込んだことは自動で他のガッチャマンの「NOTE」に同期されるクラウドっぽいシステムだったりはイマドキっぽく、オフ会がモノレールを貸切にして行われたりするのも、かなり突拍子もないように見えて、実はお金さえ払えばわりかし簡単できそうなのも驚き。

タツノコプロガッチャマンクラウズ製作委員会『ガッチャマンクラウズ』2話

多摩モノレール貸切列車
http://www.tama-monorail.co.jp/assets/files/kashikiri.pdf

ガッチャマンクラウズの時代は2015年。ホント、ほんのちょっとだけ未来の話。
でもガッチャマン以外のものは現在とあまり変わらない、現実の延長線上のものに見える。
舞台になってる立川がバリバリ前面に出てくるし。
グランデュオ立川
国営昭和記念公園 みどりの文化ゾーン: トップ

特徴的なGALAXだって、LINEが約2年で日本だけでも4500万人以上に普及したことを考えると、今はまだ影も形もないアプリが2年後にめちゃくちゃ普及しててもおかしくない。
LINE登録ユーザー1億5000万人突破、南米・中東でも展開 :日本経済新聞 はてなブックマーク - LINE登録ユーザー1億5000万人突破、南米・中東でも展開  :日本経済新聞

作中のガッチャマンの扱いも都市伝説みたいなもんだから、ホント2015年にこんな雰囲気の日本があってもおかしくないとガッチャマンクラウズは思わせてくれる。
だからそんな世界で主人公のはじめが常識だけで物事を判断しないで、一つ一つのコト、一人一人の人を理解しようとする姿が僕にはすっごくたまらない。

中村健治監督は公式HPでこう語ってる。
イントロダクション|ガッチャマン クラウズ|日本テレビ はてなブックマーク - イントロダクション|ガッチャマン クラウズ|日本テレビ

世界は今、2つの新たな局面に差し掛かっています。

1つ目は、有史以来初めて、僕らの心がネットにより可視化された事。
可視化された心が起こす様々な問題や騒動をどう捉えていいか解らず、
個人も社会もただただ戸惑っています。

2つ目は、拡大した僕らの世界はあらゆる分野が細かく専門化され、
1人の人間ではその全容を理解する事が不可能になっている事。
それでも僕らは、1人の優秀なリーダーが全てを抱えてくれると盲信しています。

この2つの事象は偶然なのでしょうか?
可視化された僕らの心は、何か良い事にも使えるのではないでしょうか?

その事を考え、『GATCHAMAN CROWDS』という作品を描きたいと思います。

いやはやガッチャマンクラウズはホント中村監督の言葉を作品で表現しようとしていると思うし、実際に世に問いかける作品になってるんじゃないかな。
もし見てない人がいたらぜひ2話まで見て確かめてほしい。

放送局はどうやら日テレオンリーで、配信も無料配信は最新話を放送翌週の木金のみとややニッチ。
1話も現在は無料ではみられない。
ガッチャマンクラウズ | 日テレオンデマンド はてなブックマーク - ガッチャマンクラウズ | 日テレオンデマンド
バンダイチャンネルは7/26から配信ってなってるけどどこまで無料かはちょっと未知数。
夏の新作アニメ特集│バンダイチャンネル はてなブックマーク - 夏の新作アニメ特集│バンダイチャンネル

でもこんな話に興味がある人には300ptで単話購入なりする価値があるじゃないかな。

あと神風動画の手がけたOPの美しさ、ED曲の胸を締め付ける感じもたまんない。
メカメカしいスーツも好きだし、中村健治監督らしい大胆な色使いも見られるし。
いやホントみんなに見て欲しいなぁ。

Crowds ガッチャ盤(期間限定)
Crowds ガッチャ盤(期間限定)