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藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

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フルメタル・パニック0-ZERO-が意外性あって面白い

フルメタル・パニックは平和な日常を知らず、兵士として育った少年、相良宗介が主人公の物語。
その宗介が任務でごく普通の日本の高校に通う女子高生、千鳥かなめの護衛につき、発砲、爆破などなど日本の常識を知らない迷惑行為を繰り返しながらも、数々の危機からかなめを救う、といったコメディとシリアスが同居するライトノベルになっている。

1998年シリーズ開始ののち三度のアニメ化を経て、2010年に原作長編小説が完結した後も2011年に外伝であるフルメタル・パニックアナザーシリーズが開始、現在も刊行中と息の長い作品だ。

そのフルメタの15周年の年に単行本の発売となったのがフルメタル・パニック0-ZERO-。
原作ストーリー準拠のコミカライズは2000年よりされていたのだけど、本作はもう一度はじめから原作のストーリーを追う形でのコミカライズ作品になっている。
これが個人的にはかなり面白く読めている。

これまでとは違う印象のキャラクターデザインとキャラの登場の仕方の組み合わせの妙

まずひと目でわかるのがキャラクターデザインの違い。
フルメタルパニックは原作小説、マンガ(作者3名)、アニメと様々な媒体で描かれているけど、ある程度の共通のイメージというものがある。
たとえば主人公である相良宗介。各作品でのデザインはこんな感じ。

小説(四季童子、以下敬称略)

マンガ(原作前半ストーリー、館尾冽

マンガ(原作後半ストーリー、上田宏

マンガ(オリジナルストーリー、永井朋裕)

アニメ(三作ともキャラクターデザイン堀内修

外側にツンツンしている髪と、精悍な顔つきあたりが各媒体での相良宗介の共通項と言ってよさそう。
それがZEROではおとなしい髪型と幼さを残す顔つきになってる。

他のキャラもこれまでの作品の共通イメージとはちょっと違う部分が多い。

そういった「ちょっと違った」キャラがチラ見せで少し焦らしてから登場するのがすごく楽しい。
宗介はプロローグでは目を隠すようなコマが続くし、マオ、ガウルン、テッサといったキャラも顔と全身を出すまでちょっと焦らす感じになってる。

カサハラテツロー,賀東招二,四季童子フルメタル・パニック0-ZERO-1』(ドラゴンコミックスエイジ)P7,P37

カサハラテツロー,賀東招二,四季童子フルメタル・パニック0-ZERO-1』(ドラゴンコミックスエイジ)104,121

その焦らされてる間の、くるぞ、くるぞ、どんなデザインになってるんだろう? というワクワク感と、こう来たか!という驚きの瞬間が個人的には楽しい。

ただ人は慣れたデザインを見て安心する存在でもあって、これまでのキャラの造形にこだわり、愛着がある人には受け入れられない作品になってることも間違いない。
今のライトノベル、アニメあたりの流行りの絵柄とはひと味もふた味も違うし。

個人的にはテッサの唇の質感が好み。

宗介のキャラの違いとボーイ・ミーツ・ガール

ZEROでは主人公、相良宗介のデザインだけでなく、内面もわりと変わっているように感じる。
原作などでの宗介は特殊部隊、傭兵部隊の隊員、というイメージが強かったけど、ZEROの宗介はもうちょっとプロフェッショナル具合が薄くて、戦闘にのみ特化したキャラというイメージを受ける。
そして原作の自分の中を常識を良くも悪くも堅持し続ける、良く言えばブレない、悪く言えば空気の読めない性格が、ZEROではなにか失敗すれば動揺し、嬉しい事があれば素直に喜ぶ、より常識人に近い性格になっているように思う。
なんとなく「るろうに剣心」の剣心のような、普段はおろおろしているがいざというときにはすごい活躍をする、そんなイメージが加わっている。(この例え伝わるのか?)

で、この感情を露わにする宗介と、原作でも感情表現豊かだったかなめが、てんやわんやしているうちにお互いを意識するようになる、って流れがとても心地いい。
かなめと宗介の周囲で巻き起こるてんやわんやは、かなめのパンチで壁までぶっ飛んで流血するだとか、こっちの予想をはるかに上回る誇張表現になっててすげー楽しいし、感情が表に出まくりの宗介だと、慣れない任務かつミス連発でドキドキしっぱなしの護衛生活が急に打ち切りになったとき、無性に寂しさを感じるのも当然だよなぁとも思う。
偶然出会った男女がトラブルを通じてお互いを意識していく、純度マックスのボーイミーツガールな感じ。

二巻では本格的な戦闘も始まるしそちらも楽しみ。

よくこの企画進行したなーという感慨

とまぁ個人的にはかなり楽しんでいて、今後も期待している作品なんだけど、よくこの企画が進行しているなぁという印象も受けたりする。
昨今の風潮だと話題の作品になればなるほどメディアミックスは原作を忠実に、丁寧になぞる、って方向にいきそうなのに。
原作から変えることを好まない人は原作の読者が増えれば増えるほど、原作が長く続いていれば続いているほど増えそうなものなのに。
というか実際にZEROについて、あたしゃ認めないよ、みたいな意見も見かけたしね。

まぁすでに一度コミカライズしている以上、原作に忠実にやることに果たして意味があるのか? って話でもあるんだろうけど。

とりあえず今のところ予想以上に楽しめているし、カサハラテツローさんのマンガにも興味が出てきたので個人的にはかなりありがたかった企画なのだけど。
作品のメディアミックスを追っていたら、それまで縁がなかった作家さんに巡りあう、ってのもメディアミックスのいいところだよなぁ。

フルメタル・パニック! 0 ‐ZERO‐ 1 (ドラゴンコミックスエイジ か 2-1-1)
フルメタル・パニック! 0 ‐ZERO‐ 1 (ドラゴンコミックスエイジ か 2-1-1)