藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

『ルックバック』

先日ジャンプ+で公開されたルックバック。
ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+ はてなブックマーク - ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+
結構話題になってたり、スペースで語ってる人がいたりで刺激されたので、
自分が読んで思ったことを書き残したくなった。

個人的な評価としては面白いよりなんだけど、どうしても引っ掛かるところがいくつかあった。

最初の4コマの絵上手いか?

読者が初めて見る藤野の4コマ、あまり絵が上手いように思えない。
だのに作中では同級生だけでなく大人までが「絵が上手い」「画家になれる」と言っている。
この作中のキャラたちの評価と自分の評価との違いにかなり戸惑った。

現実の小学生が書いたトップレベルの漫画を探してみたところ、りぼん小学生まんが大賞がこれくらいのようだ。
りぼんわくわくステーション はてなブックマーク - りぼんわくわくステーション

ここの入賞者は6年生が多いが、藤野の絵はこのレベルぐらいまで盛っても良いように感じる。
京本の絵は小学生を軽く超えてるように見えるので。

なぜ藤野は6年生でマンガを描くのを辞めたのか?

自分がどんなに努力しても、京本に追いつけないと悟ったからだと考えられる。
その原因が6年の学年新聞。
…のはず。

ただ自分には藤野の絵が目に見えて上手くなってるのはわかるのだが、京本の絵がうまくなっているのかがよくわからない。
少なくとも京本の成長速度より、藤野の成長速度の方が早いように思えてしまう。
なのでこのまま藤野が成長すれば京本に追いつけそうに思える。
それなのに辞めちゃうんだ、と思ってしまう。

藤野が苦しみながら絵を勉強しているといった印象があればまた違った感じ方をしたかもしれないけど。


この2点はストーリー展開から逆算で理解できるのだが、藤野と京本の絵が自分の理解を邪魔していて結構気持ち悪い。
しかもこの2点は序盤、前半のキーとなる出来事だけに、かなり作品を微妙に感じてしまう。

その後の京本が藤野をべた褒めする、藤野が見栄を張る、別れてからめちゃくちゃ喜んでマンガをまた書き始める、そういったところはめちゃくちゃ好きなのだが。

なぜカラテなのか? 舞台はどこなのか? これは妄想なのか? もう一つの世界なのか? すべてがわからない

京本が死んだあと、藤野の破ったマンガを小学生の京本が読む場面から展開される物語。
これがよくわからない。

二人が出会わず、マンガを描かない物語でも京本は背景美術を学ぶために美大に進学する。
そこで武器をもった男と遭遇する。
この展開でも京本は死ぬのかと思いきや、藤野がカラテで男を撃退する。

なぜカラテ? 藤野の姉がカラテをやってみないか勧めていたシーンはあったが、
マンガを書いていない藤野がカラテをやる理由が自分には読み取れなかった。

またこの美大と二人の故郷の位置関係もわからないし、
京本と出会わなかった藤野この時期どこに住んでいるかも全く想像がつかない。

なのでこの場面は唐突な展開に思えて「は?」となった。

そもそも破った4コママンガがドアの隙間を抜けると、
そこはまだ小学生の頃の京本がいた部屋だったというのも理屈がよくわからない唐突な展開に思う。

超常現象なら序盤から予兆か現象自体を描写しておくべきだし、
妄想ならわざわざ陰惨な事件の一歩手前まで展開させるのが謎だし、
すべてがわからない。

せめて京本の「なんで漫画描くのやめちゃったんですか?」に対して、
「ステップアップする為にやめた」ぐらい言ってくれれば、
よくわからないが前半と繋がったな! 感だけはあったと思うんだけど。


とまぁ『ルックバック』はこんな感じで引っ掛かるところが多くて、
世間がいうほど面白いか? というのが自分の偽らざる気持ちである。

PUI PUI モルカーに見える「わかりやすい悪役を求める空気」

Twitterのタイムラインで見かけたPUI PUI モルカーという聞き慣れない単語。
どうやら話題のアニメらしいので配信を見てみた。
するとそこに映されたのは現代日本の病巣だった。

続きを読む

なぜバズったかの分析

 

 

思った通りめっちゃバズってた。ただ流石にバズる前に長々と分析しておいてバズらなかったら恥ずかし過ぎたので分析は後出し。

 

●袋のお金を払った方がトータルでは得をするという面白い状況

まずはこれがツイートの核。ただこれだけがバズった理由ではない。

 

●レジ袋有料化という大体の日本人に関係ある話題

スーパーやコンビニを使わないといった人以外の、大体の日本人に関係するツイート。当然興味を持ってもらえる可能性は高くなる

 

●有料化して最初の土日というタイミング

ツイートがされた日曜の夕方は、レジ袋が有料化されてはじめての土日。スーパーで買い物をし、有料化の影響を感じた人も多いはず。

時事ネタの新鮮さがありつつ、日本の大体の人が有料化の影響を感じたであろう1番効果的なタイミング。

 

●得をしたではなく、損をしたという形のツイート

人は利得を得るよりも損失を避けようとするもの。1万円得をする情報教えます!より、あなた今のままだと1万円損してますよ?の方が話を聞いてもらいやすい。このツイートは得する情報というよりは、失敗談という形で知らないと損をする情報という形になっており、その分人の心に刺さりやすい。

 

このツイートは特にタイミングが完璧だったと思う。自分もこんなバズるツイートがしたい。

 

 

『アクタージュ act-age』の大人たちのやり方についてのメモ

マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【7】』(週刊少年ジャンプ)P23
アクタージュ act-age(以下アクタージュ)は週間少年ジャンプに連載されている『天才女優と鬼才監督の出会いから始まる、1本の映画を巡るアクターストーリー』だ*1
当然登場するキャラの多くは芸能人、役者、監督や演出家といった表現者や芸能プロダクションの社長、プロデューサーたち。自分の持つテレビや舞台の向こう側のイメージそのままかあるいはそれ以上に、イカれた言動をするキャラも多い。

ただこの作品、大人たちは結構共通した特徴を持ってるんじゃないかと思う。
それが役者、特に若者たちを大切にしようとする言動だ。

冒頭の7巻の一幕はそれをめちゃくちゃ感じた場面だ。
女性側の元役者の芸能プロダクション社長、星アリサは自分自身が演技にのめり込み過ぎて心を壊してしまった経験から、同じような兆候を感じた主人公の夜凪景の身を案じて助言をしている。
それに対して男性側、自分の作品の主演を探していた映画監督の黒山墨字も夜凪景の身を案じることを当然のことだと自覚している。

作品のことを一番大切にし、常識といったものを無視する言動も多い黒山。その彼が作品と同じかそれ以上に役者のことをしっかり考えてるのかもしれない、ってのがここから受けた個人的印象だった。

ここに限らず、この作品はストーリーに大きく関わる大人たちは役者、特に若者を大事にしている印象を与えてくる。

例えば一番最初の長編エピソード、デスアイランド編の監督、手塚由紀治。
この監督は映画をビジネスと割り切って、適当に流して作ってたりするように見える。ただそれと同時に、危険性を認識しつつも役者の希望に応え、最大限安全にも配慮して危険な撮影に挑む役者本位の感覚を持っているようにも見える。

マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P54
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P55
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P59
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P116

2つ目の長編エピソードはもっと直接的だ。このエピソードのキーパーソンの一人は劇団天球を率いる演出家、巌裕次郎
彼の役者を救い、育て、一人でも生きていけるようにしてやりたいと思いが全編に渡って描かれることになる。

マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【6】』(週刊少年ジャンプ)P158
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【6】』(週刊少年ジャンプ)P159
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【5】』(週刊少年ジャンプ)P131

冒頭の2人も含め、ストーリーに大きく関わる大人が役者を使い捨ての道具とみなすのではなく、一人の人間として向かい合う。
そういう姿勢がイカれた行動をしがちなキャラの多いこの作品に一種の安心感を与えているのかなと思う。

また、もしかしたら最新コミックス11巻で展開されている羅刹女編で垣間見える、夜凪の父親の家族に対する冷たく見える仕打ちなどにも繋がってくるのかななどとも思う。

【MTGA】19年12月ミシック到達デッキ ラクドスナイツ

今月も滑り込みでミシックに到達。

f:id:alphabate:20191231204439j:plain:w400
最後に使っていたのはラクドスナイツ。

f:id:alphabate:20191231200010p:plain
https://mtg-decklistviewer.netlify.com/

4 血の墓所 (RNA) 245
4 熱烈な勇者 (ELD) 124
4 黒槍の模範 (ELD) 79
7 山 (ANA) 59
8 沼 (ANA) 58
4 試合場 (ELD) 248
4 漆黒軍の騎士 (M20) 105
2 穢れ沼の騎士 (ELD) 90
4 誓いを立てた騎士 (ELD) 98
1 ロークスワイン城 (ELD) 241
2 恋に落ちた剣士 (ELD) 105
4 ドリルビット (RNA) 73
4 嵐拳の聖戦士 (ELD) 203
2 砕骨の巨人 (ELD) 115
4 エンバレスの宝剣 (ELD) 120
2 残忍な騎士 (ELD) 97

サイドボード
1 軍団の最期 (M20) 106
2 害悪な掌握 (M20) 110
2 残忍な騎士 (ELD) 97
2 真夜中の死神 (GRN) 77
1 興行 // 叩打 (RNA) 222
1 夜の騎兵 (M20) 94
2 壮大な破滅 (ELD) 85
3 エンバレスの盾割り (ELD) 122
1 砕骨の巨人 (ELD) 115
f:id:alphabate:20191231210802j:plain

一般的なデッキとちょっと違うところ

一般的なラクドスナイツだと朽ちゆくレギサウルスが使われてることが多いけど、ディスカード後にインスタントタイミングで除去されるのが我慢ならないので誓いを立てた騎士に変更。

火力などのダメージ系のスペルではほとんど除去されないのは両方とも変わらないけど、ダメージ軽減のおかげで絆魂で回復されない、接死で死なない、ジェスカイファイアなどの裁きの一撃で死なないのが誓いを立てた騎士のメリット。
逆にレギサウルスは宝剣と2枚で大体勝てる、ジェスカイファイアのデカブツとも単体で渡り合えるのがメリットか。

騎士が増えているのとディスカードシナジーがなくなったので、どぶ骨の代わりに恋に落ちた騎士(と穢れ沼の騎士)を入れて暇な時や最後のひと押しにドレインをするようになっている。
総じてカードアドバンテージを失いにくくなり、ライフゲイン手段や接死持ちが増えたマイルド目のデッキ。

そういう部分もあって、サイド後は勇者、宝剣あたりを減らして除去、出来事を入れてカードアドバンテージで勝つことも多い。
エンチャントだけは勘弁な!

プレイング

宝剣を絡めてブン回ればどんなデッキにも勝つ可能性がある爆発力を持ちながら、結構プレイングで違いが出てくるデッキでもあると思っている。

特に漆黒軍の騎士がいて3マナ出せるときに、パンプするか、追加のクリーチャーを出すか、それとも構えるかあたりで違いが出てくると思う。

自分のプレイングとしては、クラリオンの可能性があればタフ3以下は出さずに漆黒軍をパンプ出来るようマナを残す、時の一掃がありそうなら自ターンでパンプしてダメージを増やしつつ被害を減らす、インスタント除去、特に踏みつけ等の火力がありそうならこちらからパンプはしないといったプレイが多い。

ドリルビッドは出来れば致命的なスペルが出てくる1ターン前に打ちたい。
逆に言えば次のターン驚異が出てこなそうなときはクリーチャーの展開を優先して、できるだけライフを削りたい。

今後

ボロスフェザーやらいろいろデッキを作ってみたけど、回していて楽しくて勝率も悪くないのはこのラクドスナイツになりそう。
エルドレイン環境も終盤でデッキも出尽くした感があるので、MTGAはちょこちょこイベントをこなしながらこのデッキを回してることが多そう。

天気の子

最序盤はこの作品エンタメしないかもとやや不安だった

本編で帆高も何度も似たようなこと言ってたけど、やはり天気が晴れてるだけで気持ちが前向きになるわけで、逆に曇りや雨だとどうしても暗い雰囲気になってしまう。
本作は天気が雨、さらに東京、特に新宿の路地裏や夜の商売といった暗いところが舞台になっていることが多い。
本作の情報をほとんど仕入れてなかったのもあって、最序盤はすげー陰鬱な作品になるかもとちょっと不安になった。
まぁ杞憂だったけど

ライター仕事、お天気ビジネスのワクワク感

帆高がK&Aプランニングで働いている姿、陽菜と凪と一緒にお天気ビジネスをやっている姿がすげー楽しそうでよかった。
君の名は。で主人公二人が入れ替わってる時と同じく、劇中歌が流れる中での日々の経過の描写だったけど、やはり歌ってのはこちらのテンションをかなり左右するファクターなんだなと再認識。
あと君の名は。だとこのミュージックビデオ的な流れの中で主人公二人が惹かれ合ってたことがイマイチピンと来なかったのに対し、今回はそういう劇中とこちらの感情の齟齬があまりなかったなーという印象。
劇中歌+日々の経過のシーンでもセリフが入ってたりするところもその手助けになってたのかなとか思った。

クライマックスの満身創痍感とここは俺に任せて先にいけ

物語序盤からのネカフェ暮らしだったり、危ない仕事だったり、拳銃の不法所持だったりのどん底感が、クライマックスの警察に追われ、有刺鉄線で血を流し、くっそ長い距離を走り続けてからのラストの廃ビルのシーンでの満身創痍感に繋がっているように感じられて好み。
そのどん底の状況で、K&Aプランニングの二人と凪くんこと先輩が入れ代わり立ち代わり帆高を助けてくれるのはグッとくる。
君の名は。でも村のみんなを避難させるのに勅使河原やらの協力を得ていたから、仲間の協力ってのが本作の特徴ってわけではないはずなんだけど、なんか印象的に感じた。なぜだろう?

お前が世の中に期待してないように、世の中もお前に期待してないよ

ラスト前、須賀さんが世の中はもともと狂ってると言って、東京が水没したのは帆高の責任ではないと説く。
それは帆高への優しさとも取れるけど、そのままの意味とも思えるし、自分としてはそのまま受け取るのがしっくりくる。
実際お天気ビジネスの初回のフリマの依頼もビジネスをたたむきっかけの一つだった花火大会の依頼も、他に手もないしダメ元、験担ぎでしかないというのが強調されてる。
終盤の帆高も何も与えず、何も奪わないでと世の中にはただただ放っておいてくれと言う。

そういう部分から、この作品はある意味世界と帆高たちの隔絶を描いたドライな作品だとも言えるのかなとか思う。

情報の刈り込み方が好き

帆高の家出の原因となる家族と島の閉塞感や、陽菜が晴れ女となるきっかけといっていいだろう母親の死といったものですら、作中で詳細には語られない。
実際そこがなくても本筋で疑問符が浮かんだりはしないんだけど、帆高と陽菜(と凪)は疑似家族みたいな関係を築くわけで、その対比にもなりそうな部分をバッサリ切り捨てるのはすげーなと思う(単に時間が足りないだけかもしれんけど)。
もしかしたらその情報を捨てることで、帆高の捜索願とか陽菜がどうして凪との二人暮らしを続けられたのかとかの疑問を抱かせないようにしてるのかもなーとか。

空の魚の話もそれっぽい解説が気象を研究してる人(?)の取材とかで出てたけど、結局作中で確定版みたいな解説がなかったり、K&Aプランニングが多分圭介&明日香プランニングなんだろうなと匂わせたり、本筋を追うときに引っかからない範囲でこっちの妄想を広げる余地があるのは好み。

この辺、君の名は。だと口噛み酒が入れ替わりのキーになってたりの、本筋に関係する部分で説明不足のために疑問符が湧いてちょっと感情移入を阻害される部分があったので、今回の情報の刈り込み方のほうが好みだった。

クッソ役に立たないヤフー知恵袋

作中でヤフー知恵袋が実名でポンコツっぷりをさらけ出してるんだけど、許可とっておいて割とボロクソの扱いをするの冷静に考えるとすげーなと。
作品として今の日本、東京の描写としてああなるのはよく分かるんだけど、Yahoo JAPANで許可出した人はあれで知恵袋の宣伝になると思ったのだろうか?
あるいは逆にうちのサービスはあんな感じなんで過度な期待をされても困りますよー的なエクスキューズ?
冷静に考えるとすげーなと思った。

面白かったです。

最近はアニメよりもMTGやマンガを楽しんでる時間が多くて、天気の子も友人に誘われなかったら行ってなかったかもしれないってぐらいの注目度だったんだけど、やはり新海監督作品の背景、光の表現ってのはめちゃくちゃ魅力的で、そんで主人公の誰かを強く思うことの表現はぐっとくるなと再認識した。
今東京にあんな期待を抱いてやってくる高校生がいるかとか、なんで母親が死んで中学生と小学生が一人暮らしを1年間続けられたのかとか、そもそも人柱とかの設定どうなってるんだとか、多分突っつけばわさわさ埃も出てきそうなんだけど、そんな部分には目を瞑って浸れる魅力がこの作品にはあったなあというのが最終的な感想です。はい。