藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

エロ広告と規制と故郷の話

ツイッターのタイムラインでエロ広告の規制について話題になっていた。
エロ広告と規制と聞くと、故郷である宮城県について連想する。

2000年頃ごろまでの仙台市の繁華街、国分町はピンクチラシがえらいことになっていた。
小さい私は用事があって仙台によく行っていたが、公衆電話や電柱や壁、至るところにピンクチラシが貼ってあった印象がある。
Wikipediaでしかソースが見つからないが、ニューヨーク・タイムズの日本版にその惨状が報道されていたらしい。
ピンクチラシ - Wikipedia

あまりの量に宮城県ではピンクチラシ根絶運動がおこり、条例を改正してピンクチラシを貼ることを条例で禁止。その後罰則規定を設けることになった。
それらの出来事がおこったのが2000年前後。そのへんについては下記サイトをピンクチラシで検索すると雰囲気をつかめるかもしれない。

組合発展の歩み 昭和54年~平成16年|宮城県社交飲食業生活衛生同業組合組合発展の歩み 昭和54年~平成16年|宮城県社交飲食業生活衛生同業組合

私が仙台の大学に進んだのは2000年代中盤からだったが、その頃はピンクチラシはほとんど見かけなくなっていたと思う。
また時を同じくして全国各地でピンクチラシの規制は強化されていったようだ。

実際に仙台でエロ広告の氾濫と規制を見てきた自分の感覚としては、これらの規制は公序良俗の範囲で行われたという気持ちが強い。
その後の宮城県言論統制が強まったという感覚もない。

タイムラインで話題になっていたのはインターネットでのエロ広告について。
インターネットは公共のものという側面が強くなっていると個人的に思っているので、
それまで野放しになっていたものについて、行き過ぎたものがあり、
改善の見込みがなければ規制を入れざるを得ないのではなかろうか。

その規制も例えばエロ広告は表示に閲覧者の同意が必要といった形も考えられるはず。
一方的に排除したり押し付けたりするのではなく、インターネットを使う人それぞれが最大限尊重されるような、そんな環境構築を考えていければなぁと思うのでした。

ブルーピリオド 47筆目ゆれる筆先

めちゃくちゃ良かったので。

特に自分が惹かれたのが、橋田の細やかな気遣い。
小枝ちゃんの感情が爆発した次の週、
小枝ちゃんに合作しないかと誘うところから。

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山口つばさ『ブルーピリオド』アフタヌーン2021年10月号P78-79

「この絵もうダメってこと?」って言う小枝ちゃん怖っ!
このときの小枝ちゃんは何が最後のひと押しになってもおかしくないぐらい追い詰められていたはず。
だからこのセリフに対して、目が泳いだり、少しでも言い淀んでたりしてたらアウトだったろう。

橋田は小枝ちゃんがどんな反応するか何パターンも想定してシミュレーションしていたんじゃなかろうか。
これが素だったら人間力が高すぎる。

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山口つばさ『ブルーピリオド』アフタヌーン2021年10月号P79-80

食い下がろう、反論しようとする小枝ちゃんに間髪入れずにこれ。
小枝ちゃんは自分の絵の良いところは見えなくて、悪いところばかり気になってしまう。
だけど周りの人に対しては良いところをしっかり見てるし、傷つけるようなことは言わない優しい子。

橋田はそんな小枝ちゃんのいいところを褒める。
そして自分が好きなものを乱暴に扱わないでという言葉を盾に、小枝ちゃんに自分の絵を大切にさせようとする。

単純な励ましは連発しても空虚に感じられてしまうし、心にもないこと言ってると見透かされたり疑われたりする。

だから褒めるのに続けて叱る。だけどこの叱り方は本質的には小枝ちゃんの絵が好きだと褒めている。
この回りくどさ。橋田はどんなふうにラッピングすれば自分の言葉が相手に届くかよく考えてるやつだと思う。

極めつけはこれ。

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山口つばさ『ブルーピリオド』アフタヌーン2021年10月号P86

自分の行動を根拠に、小枝ちゃんが特別なことを強調する。
小枝ちゃんは橋田のことが好きだけど、橋田はそのことも計算してこの発言をしていると思う。
それは決して計算だけの発言ではなく、絵を描く気がなかったのは本音だったろうし、本気で小枝ちゃんを救おうとしているし、そのためなら自分の気持ちも小枝ちゃんの気持ちも何でも利用してやろうと決めてのこの行動なんじゃないか。

その心遣いの積み重ねが小枝ちゃんに笑顔を蘇らせる。

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山口つばさ『ブルーピリオド』アフタヌーン2021年10月号P88

地雷原を少しのヒントから起爆させずに歩くように、喉に刺さった小骨を慎重に抜くように。
橋田の繊細な努力が満面の笑顔となって返ってくる。


その笑顔がすぐさま消えてしまうのが最高にいい。

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山口つばさ『ブルーピリオド』アフタヌーン2021年10月号P89

どんなに気を使っても大切に扱っても、他の人の何気ない行動一つで崩れ去ってしまう儚い人の心。

めったに見れない橋田の真顔も見られて最高によかった。

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山口つばさ『ブルーピリオド』アフタヌーン2021年10月号P90

八虎のフォローや橋田と小枝ちゃんの後日談、佐伯先生の後語りなどを加えても、結構ビターな雰囲気で終わった絵画教室バイトのエピソード。その最後に新学期と期待させるキャラの再登場をもってきて、明るい展開を期待させるバランス感覚もさすが。

受験編の目的に向かって突き進む感じも悪くなかったけど、大学に入ってからいろんな人、いろんな価値観に触れながら行く先を模索していく感じが最高に好き。
この絵画教室バイトは子供、親御さん、同僚、恩師と癖は少なめに思えるのに、一筋縄でいかない登場人物ばっかりで、おもしろいエピソードだった。

『ルックバック』

先日ジャンプ+で公開されたルックバック。
ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+ はてなブックマーク - ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+
結構話題になってたり、スペースで語ってる人がいたりで刺激されたので、
自分が読んで思ったことを書き残したくなった。

個人的な評価としては面白いよりなんだけど、どうしても引っ掛かるところがいくつかあった。

最初の4コマの絵上手いか?

読者が初めて見る藤野の4コマ、あまり絵が上手いように思えない。
だのに作中では同級生だけでなく大人までが「絵が上手い」「画家になれる」と言っている。
この作中のキャラたちの評価と自分の評価との違いにかなり戸惑った。

現実の小学生が書いたトップレベルの漫画を探してみたところ、りぼん小学生まんが大賞がこれくらいのようだ。
りぼんわくわくステーション はてなブックマーク - りぼんわくわくステーション

ここの入賞者は6年生が多いが、藤野の絵はこのレベルぐらいまで盛っても良いように感じる。
京本の絵は小学生を軽く超えてるように見えるので。

なぜ藤野は6年生でマンガを描くのを辞めたのか?

自分がどんなに努力しても、京本に追いつけないと悟ったからだと考えられる。
その原因が6年の学年新聞。
…のはず。

ただ自分には藤野の絵が目に見えて上手くなってるのはわかるのだが、京本の絵がうまくなっているのかがよくわからない。
少なくとも京本の成長速度より、藤野の成長速度の方が早いように思えてしまう。
なのでこのまま藤野が成長すれば京本に追いつけそうに思える。
それなのに辞めちゃうんだ、と思ってしまう。

藤野が苦しみながら絵を勉強しているといった印象があればまた違った感じ方をしたかもしれないけど。


この2点はストーリー展開から逆算で理解できるのだが、藤野と京本の絵が自分の理解を邪魔していて結構気持ち悪い。
しかもこの2点は序盤、前半のキーとなる出来事だけに、かなり作品を微妙に感じてしまう。

その後の京本が藤野をべた褒めする、藤野が見栄を張る、別れてからめちゃくちゃ喜んでマンガをまた書き始める、そういったところはめちゃくちゃ好きなのだが。

なぜカラテなのか? 舞台はどこなのか? これは妄想なのか? もう一つの世界なのか? すべてがわからない

京本が死んだあと、藤野の破ったマンガを小学生の京本が読む場面から展開される物語。
これがよくわからない。

二人が出会わず、マンガを描かない物語でも京本は背景美術を学ぶために美大に進学する。
そこで武器をもった男と遭遇する。
この展開でも京本は死ぬのかと思いきや、藤野がカラテで男を撃退する。

なぜカラテ? 藤野の姉がカラテをやってみないか勧めていたシーンはあったが、
マンガを書いていない藤野がカラテをやる理由が自分には読み取れなかった。

またこの美大と二人の故郷の位置関係もわからないし、
京本と出会わなかった藤野この時期どこに住んでいるかも全く想像がつかない。

なのでこの場面は唐突な展開に思えて「は?」となった。

そもそも破った4コママンガがドアの隙間を抜けると、
そこはまだ小学生の頃の京本がいた部屋だったというのも理屈がよくわからない唐突な展開に思う。

超常現象なら序盤から予兆か現象自体を描写しておくべきだし、
妄想ならわざわざ陰惨な事件の一歩手前まで展開させるのが謎だし、
すべてがわからない。

せめて京本の「なんで漫画描くのやめちゃったんですか?」に対して、
「ステップアップする為にやめた」ぐらい言ってくれれば、
よくわからないが前半と繋がったな! 感だけはあったと思うんだけど。


とまぁ『ルックバック』はこんな感じで引っ掛かるところが多くて、
世間がいうほど面白いか? というのが自分の偽らざる気持ちである。

PUI PUI モルカーに見える「わかりやすい悪役を求める空気」

Twitterのタイムラインで見かけたPUI PUI モルカーという聞き慣れない単語。
どうやら話題のアニメらしいので配信を見てみた。
するとそこに映されたのは現代日本の病巣だった。

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なぜバズったかの分析

 

 

思った通りめっちゃバズってた。ただ流石にバズる前に長々と分析しておいてバズらなかったら恥ずかし過ぎたので分析は後出し。

 

●袋のお金を払った方がトータルでは得をするという面白い状況

まずはこれがツイートの核。ただこれだけがバズった理由ではない。

 

●レジ袋有料化という大体の日本人に関係ある話題

スーパーやコンビニを使わないといった人以外の、大体の日本人に関係するツイート。当然興味を持ってもらえる可能性は高くなる

 

●有料化して最初の土日というタイミング

ツイートがされた日曜の夕方は、レジ袋が有料化されてはじめての土日。スーパーで買い物をし、有料化の影響を感じた人も多いはず。

時事ネタの新鮮さがありつつ、日本の大体の人が有料化の影響を感じたであろう1番効果的なタイミング。

 

●得をしたではなく、損をしたという形のツイート

人は利得を得るよりも損失を避けようとするもの。1万円得をする情報教えます!より、あなた今のままだと1万円損してますよ?の方が話を聞いてもらいやすい。このツイートは得する情報というよりは、失敗談という形で知らないと損をする情報という形になっており、その分人の心に刺さりやすい。

 

このツイートは特にタイミングが完璧だったと思う。自分もこんなバズるツイートがしたい。

 

 

『アクタージュ act-age』の大人たちのやり方についてのメモ

マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【7】』(週刊少年ジャンプ)P23
アクタージュ act-age(以下アクタージュ)は週間少年ジャンプに連載されている『天才女優と鬼才監督の出会いから始まる、1本の映画を巡るアクターストーリー』だ*1
当然登場するキャラの多くは芸能人、役者、監督や演出家といった表現者や芸能プロダクションの社長、プロデューサーたち。自分の持つテレビや舞台の向こう側のイメージそのままかあるいはそれ以上に、イカれた言動をするキャラも多い。

ただこの作品、大人たちは結構共通した特徴を持ってるんじゃないかと思う。
それが役者、特に若者たちを大切にしようとする言動だ。

冒頭の7巻の一幕はそれをめちゃくちゃ感じた場面だ。
女性側の元役者の芸能プロダクション社長、星アリサは自分自身が演技にのめり込み過ぎて心を壊してしまった経験から、同じような兆候を感じた主人公の夜凪景の身を案じて助言をしている。
それに対して男性側、自分の作品の主演を探していた映画監督の黒山墨字も夜凪景の身を案じることを当然のことだと自覚している。

作品のことを一番大切にし、常識といったものを無視する言動も多い黒山。その彼が作品と同じかそれ以上に役者のことをしっかり考えてるのかもしれない、ってのがここから受けた個人的印象だった。

ここに限らず、この作品はストーリーに大きく関わる大人たちは役者、特に若者を大事にしている印象を与えてくる。

例えば一番最初の長編エピソード、デスアイランド編の監督、手塚由紀治。
この監督は映画をビジネスと割り切って、適当に流して作ってたりするように見える。ただそれと同時に、危険性を認識しつつも役者の希望に応え、最大限安全にも配慮して危険な撮影に挑む役者本位の感覚を持っているようにも見える。

マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P54
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P55
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P59
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【3】』(週刊少年ジャンプ)P116

2つ目の長編エピソードはもっと直接的だ。このエピソードのキーパーソンの一人は劇団天球を率いる演出家、巌裕次郎
彼の役者を救い、育て、一人でも生きていけるようにしてやりたいと思いが全編に渡って描かれることになる。

マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【6】』(週刊少年ジャンプ)P158
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【6】』(週刊少年ジャンプ)P159
マツキタツヤ・宇佐崎しろ『アクタージュ act-age【5】』(週刊少年ジャンプ)P131

冒頭の2人も含め、ストーリーに大きく関わる大人が役者を使い捨ての道具とみなすのではなく、一人の人間として向かい合う。
そういう姿勢がイカれた行動をしがちなキャラの多いこの作品に一種の安心感を与えているのかなと思う。

また、もしかしたら最新コミックス11巻で展開されている羅刹女編で垣間見える、夜凪の父親の家族に対する冷たく見える仕打ちなどにも繋がってくるのかななどとも思う。