アニメの売上を語るかぁ…
アニメでPOG(始まる前にどの作品が売れるかをいくつか選んで合計で競うゲーム)をやってみなイカ? - りきおの雑記・ブログ
売り上げ至上主義者がアニメ語り界隈で嫌われるのって - Togetter
こちらの2つのリンク先を読んでの反応なんですけど、個人的には売上に注目するってのがどうもしっくりこないのです。
売上をどの視点から見るかってので分けて考え述べますね。
視聴者の視点で売上を見る
視聴者側から見るのだったら、視聴者がなんでそのアニメのBD・DVDを買ったのか、という話になると思います。
その時、売上に関係してくる要素はめちゃくちゃ多くて、はたしてそれらを全部考慮して語れる人、そしてその話についていける人がどれだけいるのかと思うのです。
例えば客層。一例として中高生を対象にした作品ってソフトの売上厳しいかもしれない、とか。BD・DVDって、全巻揃えようとすると1クールのアニメでも1万以上、下手すりゃ2,3万とかかかるじゃないですか。それだったらPSPとモンハン買ったほうが長い時間遊べるなーって考える中高生は想像できる。お金に余裕が有る人がターゲット層に入ってないと、売上が低調になるとか。
例えば代替品。アニメって、原作やコミカライズ、ノベライズ、あるいはネット配信に録画、とソフト買うより安価で代替できるものが結構あると思うんです。これらがどこまで充実してるか、発売時期・配信時期がいつか、どれだけ認知度あるか、ってのも影響してきそうな。んで代替品で満足するかどうかも客層の性質による、と。
例えば特典・追加要素。アニメのBD・DVDって一度放送したものを売るのが多いですよね。無料で放送してたものそのまま収録しただけだと、見逃した人はともかく、熱心に録画して何度も見てたファンこそBD・DVDの魅力って少なくなってしまうとも思うんです。だからなのか、BD・DVD化に当たってテレビ版であった規制を解除したり、修正の時間がなかった作画を修正したりといったクオリティアップや、キャスト・スタッフのコメンタリー、主題歌CD、イベント参加券といった特典をつけてることが多い。もちその特典が客層にマッチするかどうか、ってのも要素の一つなわけで。あーそうそう、何話収録なのか、未放送話数がつくのか、BD・DVDの値段がいくらなのかも関係してくるかと。
あと私個人の感覚だと、売上って、もう偶然と言っていい要素が結構な部分占めてると思ってるんですよ。世の中、時々納豆だったり、トマトだったりがいきなり流行るときとかあるじゃないですか。あれ、確かにテレビで取り上げられたとかのきっかけはあるかもしれないけど、もうほとんど偶然のような気がするんですよ。それと食べるラー油のブームだとか、たまごっちのブームだったりとかって、本質的に違いがあるのか、って結構疑問なんです。大学で経営学学んできてもわからない。まぁ院行ったりマーケティングやってる人からすればこんなブームも説明できないのか、って鼻で笑われるのかもしれませんけど。
偶然の仲間として、作品を見て楽しむだけじゃなくて、見た人と感想を共有する、とかそっちの影響も結構大きいかなと。みんなが見ているから自分も見る、のループが結構な部分占めてるようにも思うんですわ。そうすると最初に騒ぎ始めた人が多いアニメが売れる、って話にもなるかな、と。騒ぐ人が見るかどうかってくじびきみたいなもんなんじゃないですかね。ある程度確率は操作できそうですけど。
忘れてました。そもそものアニメ自体の面白さ。この面白さだけでもすげーいっぱい語る要素がある気がするんです。ストーリーにキャラに設定にいろいろと。
そんな風に影響あるのかないのかよくわからない要素を吟味して、この要素は影響ある、この要素は影響ない、って判断して売上を説明していくんですよね?そういう語りのためには、語り手と聞き手がその要素について予備知識が必要で、どちらかに抜けがあったりすると議論がかみ合わなくなる気がするんです。もしかしたら私が知らないだけでこの辺のデータベースがあるのかもしれないんですけど。
ビジネスの視点で売上を見る
あー、自分この手のアニメの売上の話を見かける時、「売上枚数」で語っていることが多いと思ってるんですけど、これ、ビジネス視点で見るときに適切かって言われると疑問符がつくと思うんです。
今、ビジネスって売上で評価するのってそんなに主流でもないと思うんです。評価の物差しって利益、あるいは利益率*1あたりが主流じゃないかと。そんでもって利益=売上−原価で、売上=売上枚数×単価じゃないかと。なのでビジネスを語るときに売上枚数に着目してもなーとか思うんです。
あと利益を計算する時、どこ視点にするかっていう問題も。小売なのか、製作委員会なのか、製作委員会の中の特定の会社なのか、あるいはアニメスタジオ、スタッフ、原作者なのか。
んでどの視点だろうとメーカーからの仕入れ(卸・小売への販売)の枚数と単価、あるいは総額がわからないと利益の計算が出来ない。特定会社や原作者の収入は利益の配分方法も知る必要がある。この辺のデータどっかにあるんですかね?ざっと調べただけですけど、コレというものが見つからない。
というか作品のくくりで売上を見ようとする時、なにもBD・DVDの売上だけに限る必要もない気がするんです。原作があるアニメは原作の売上増もアニメによる利益と計算するのに妥当性があるし、派生商品の書籍、CD、ゲームの売上、あるいはキャラを貸したりするロイヤリティ収入だってアニメの利益と言えると思うんです。そういうBD・DVDの売上以外で好調なアニメって、売上枚数じゃ評価出来ないと思うんです。例えばカイジのDVD・BDは、ココのデータが正しいデータならほとんど売れてないっぽいんですけど、二期やってますからね。コレ多分原作や実写映画の宣伝として十分だったとかそういう背景があると思うんです。この辺の数字も調べようとすると、書籍、CD、ゲーム、映画、フィギュアやプラモ、その他タイアップ商品とこれまた範囲が広すぎると思うわけで。
さてさて、売上語るってどういう意味があるんですかね?オリコンなりでデータが出るから語る、ってその域を超えているんですかね?仮にオリコンなりでデータが発表されてなかったら、売上に着目して語ってるんですかね?
個人的に好きなアニメのビジネスの話
売上ってのを中心にするのがなんだかなーって思うだけで、アニメビジネスについて語るの、嫌いじゃないんです。
例えば最近ってアニメにライブ性・相互性が重視されてるよね?とか。
先行上映回やオールナイト上映、あるいは声優陣や制作陣のイベントとか。
これ、制作陣の話を聞きたいとか、声優さんについてもっと知りたいって言うよりは、一緒の空間を共有したいって空気なんだーって仮説を立てたり。アニメのラジオがものすごくブームだとか、スタッフインタビュー雑誌が爆売れ、とか聞かない、むしろ2ちゃんねるの反応をまとめたサイトとかが話題になってたりする、と。
そしたら先行無料上映会で客引きこんでアニメ話題にさせて、イベントでも稼ごうぜ!ってモデルも成立するでしょうし。
ソースはこれから探します。
他には異業種とのコラボとか。TIGER&BUNNYのプロダクトプレイスメントとか結構面白かったと思うんですよ。牛角さんの宣伝効果つってもいいんですけど。あんなふうに直接企業名がアニメの画面に入ってくる、って仕組みではないですけど、ラグランジェのメカデザインに日産がかなりどっぷり協力してたり*2、トヨタがPESなんてアニメでプロモやってたり*3。ほかにも自治体とコラボした作品もらき☆すた以降増えてる感じしますし。展示物あったりイベントやったり。
この辺のアニメビジネスの変化だとか展望とかは結構ワクワクするんです。
と言うことで個人的にはアニメの売上を語るかぁ…アニメビジネスを語るならなぁ…って感じなのです。
と、前置きはここまで。alphabateが選んだPOG作品です。
境界線上のホライゾンII
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1万を超えたらヒットと呼んでよいだろうというこの界隈、もし仮に売上が半減したとしても1万、好評を受けての期間を開けての二期というより、二期ありきの構成(間3ヶ月ですからね)と考えると半減も考えづらいでしょう。というわけで2万超え作品がわんさか出てくるというようなアニメファン大歓喜の展開にでもならない限り、トップの一角になるでしょう。
薄桜鬼黎明録

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薄桜鬼の第三期。TVシリーズからは若干間があくものの、OVAシリーズは昨年11月まで出し続けており、こちらのデータでは直近で1万4千を割っていないというこちらも安牌。
TARITARI

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来た!P.A.WORKSのオリジナルや!あんま知らんかったけど、クレジットにあるプロデュース会社のインフィニットとP.A.WORKSは花咲くいろはの時の組み合わせらしい、と。絵柄もいろはに似てて放送時間帯も比較的早め、tvkとMXじゃ22:30ってなってるからtwitterの実況見かけてみんな見るだろ。
探検ドリランド
探検ドリランド 公式サイト 東映アニメーション
あんなに人気があって、宣伝もバリバリしているドリランドが売れないはずがない。
ちょっと鉄板過ぎて面白味に欠けるラインナップですが、当てにいくとこうなっちゃいますねー。
まぁ王者の予想といった感じでしょうか。