光の表現とギュッと詰められたストーリーが魅力的だった劇場版「とある魔術の禁書目録」
劇場版とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇跡-を見てきました。
まず率直な感想としては大満足のものでした。
光の美しさ
最初から最後まで私の目をひいたのは光の美しさでした。
学園都市の雲合間から垣間見える夕暮れ、立ち並ぶビルの窓から漏れる灯り、噴水のライトアップ、トンネルや地下施設の照明、そして宇宙に展開される魔法陣に燃え盛る炎。
それらの光がとても美しく感じました。
考えてみると禁書はアニメシリーズから夜など暗い場所での戦闘が多かったイメージがあります。
一方通行戦、木原数多戦などなど。
そういった禁書らしい舞台がこの映画版ではより鮮やかに、スケールアップして美しく描き出されていた気がします。
最近背景でおおっ、と思うものはヤマノススメのように自然や田舎の風景を描いたものが多かったです。
それに対して超能力や魔術といった超自然的なものが中心となる禁書目録で、街や魔法といった人の造りだした光がとても美しいのは新鮮な驚きがありました。
ひと目で映画の素晴らしさを実感できる要素の一つだと思います。
日常に挟まれる3DCGの自然さとライブの硬さ
予告ではほとんど気にしなかったのですが、この映画けっこう3DCG使っていたのかもしれません。
自分の部屋にアリサを連れ込んだ上条さんが四つん這いで歩いてくるところ、シャットアウラがマッパで携帯に出ているところあたりはすごく自然ではあったのですがコマ数が多かったように見えました。なので3DCGっぽい気がします。
映画のでかいスクリーンであの自然さだったので、もし3DCGならばその技術と使い方には驚きです。
あとアリサのステージも3DCGっぽいと思ったのですが、こちらはやや表情の硬さなどが出てしまっていたかな? といった印象です。
アリサの歌は劇中曲を変え何度も流れ、ラストにも繋がるものなのでここはもうちょっと頑張って欲しかったなーと。
説明をなるべく省き、中身をギュッと詰めたストーリー
ストーリーは映画版のオリジナルキャラクター、アリサを中心として描かれます。
そして視聴者がTVシリーズを見ていることを前提に、TVシリーズの設定、キャラクターの説明、背景をごちゃごちゃ説明はしません。
また重要でない部分はオリジナルキャラクターでさえさらりと流すところがクールです。
そうやって圧縮しながらもTVシリーズで出てきたキャラクターたちをガッツリ出してくるところが心をくすぐります。
例えばステイルに弟子が出来ていたり、アリサと美琴たちが友達になっていたりするのですが、そこはストーリーの中核にならないからかほとんど説明なし。おかげで展開はスピーディー。果たして弟子たちは出てくる意味があったのか。
ステイルの炎に加えて弟子たちの水、風、土の属性が戦闘に華やかさを添えます。
美琴たちは上条さんとアリサのやり取りが続いたところでアリサと他の禁書キャラが絡むとどんな感じになるかも見せてくれました。
美琴とアリサが知り合いなおかげで上条さんとは違う会話の展開になるのが楽しい。
シャットアウラの能力、レディリーのボディガード(?)も明確な説明はほとんどされていないのですが、アクションを見ていればだいたいわかるといういい塩梅。説明をしてもらうより派手なアクションか出演キャラを増やしてもらう方が個人的には好みですし。
あと上条さんが「奇跡」を打ち消して1人だけケガするとこも個人的には説明なしでぶっ飛ばすぞ感あって好きです。お前らわかってるだろ? みたいな。
土御門の事情通さ、御坂妹がわさわさ登場してくるところ、一方通行がいいとこを持っていくとこなども、こいつらの改めて説明してどうするよ? と言わんばかりにノー説明。おかげでワクワクしっぱなしです。
他にも一つの場面で複数のことを表現・説明しているイメージが強かったです。
序盤の超電磁砲チームの女子トークを楽しませる場面で黒子が車椅子なのをアピールに加え、婚后さんの登場で大覇星祭の話が出てて、大覇星祭前の話であることがわかったり。
土御門と神裂の魔術側の事情説明で、さり気なく神裂が聖人であることアピールして後の無茶な場面の布石にしていたり。
この詰め方はとても自分好みでした。
スケールはでかいほうがいい! と言わんばかりの超展開。
TVシリーズの頃から軌道エレベーターは出てたんですねー。気づかなかったわー。ちみつな設定だなー。
禁書と宇宙、そして軌道エレベーターというバカでかい建物の組み合わせは劇場版のスペシャル感にぴったり。
敵の引き起こすものも世界規模の事象で舞台設定に負けていません。
宇宙でのライブを当たり前のように観客が受け入れていたり、神裂さんがなんていうかもう…どうなってんだこれ…級の活躍していたり、いろいろツッコミたくもなりますが、特に説明もなく当然のように展開されると疑問を差し挟むのが馬鹿らしくなります。
ウソつけば宇宙まで、という感じなのでしょうか。
潔さと映画の面白さで全然気にならない、というかこんな素敵なウソをついてくれてありがとうという感じでした。
とある魔術の禁書目録、とある科学の超電磁砲が好きな人は見に行って損のない映画だと思います。
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