エロゲーは長い、アニメは多い
エロゲに必要だったのは本当にボリュームなの? - Togetter
延々と毎週スケジュールに従って録画されてHDDに溜まっていくアニメたちは何を想っているんだろうか - 隠れてていいよ
自分の観測範囲で同時期に見かけた記事。
かたやエロゲーの長さ、かたやアニメの多さに疑問を呈した内容だったのですが、注目する要素が違うところが面白いなぁと思ったわけで。
エロゲーの長さとアニメの多さ
2010年から2013年にかけてのエロゲーの長さは平均20時間を切る程度のようです。
フルプライスエロゲの平均プレイ時間は1本あたり20時間 - spring efemeral
それに対してアニメ1作品の長さはざっくり1クール12話、CM除いた本編を1話25分とすると
1クールアニメ:5時間
2クールアニメ:10時間
4クールアニメ:20時間
ちょうど4クールアニメとエロゲー1本が同じくらい時間になるみたいです。
んで私の経験からすると4クールのアニメが長すぎるといった話はあまり聞かない気がします。
長いよりは中だるみしている、みたいな表現の方が出てくる気がします。
長さではなく面白さにフォーカスを当てている印象です。
パッケージングの話
自分が大大大好きでとても人生に役に立って人をハッピーにさせるライフハックと呼ばれる人生の小技のようなものがあります。
その一つに、大きいタスクは小分けにする、といった類のものがあります。
例えば3000文字のレポートを一ヶ月後に提出する必要がある時、一気に書こうとするのではなく、毎日100文字ずつ書くようにするとか。
これなら文章を描くのが苦手な人でも、毎日のハードルは低くなります。
アニメについてはまさにこんな部分があるんじゃないでしょうか。
1週間に1作品30分と決まっている。その30分は決して長い時間ではない。だから見続けられる。みたいな。
逆の例ですが、時間が取れなくてアニメの録画が溜まってしまうとそのまま見なくなってしまう、なんて話も耳にします。
これも30分なら見られるが4時間、5時間となると見るのに気力が必要になることの一つの表れではないでしょうか。
なのでもし仮にエロゲーが長すぎると感じる人が多いのであれば、短く分割するというのも有りなのかもとか思ったり。
やり方としては最初に第一章なり、第一話なりが入ったパッケージを発売、あとからディスクなり配信なりでデータを追加する。
あるいは違法アップロード対策に、システムもセーブデータもPCに保存させず、ブラウザなりからアクセスさせる形をとるとか。
アカウントとパスワード作って一度購入すれば、別のPCやスマホからもプレイできるようにして。
シナリオ追加方法もヒロインごとにしてプレイする順番をコントロールしたり、しなかったり。
売れ行きによってはサブヒロインのシナリオを後から追加するなんてのができそう。
新しいことにユーザーがついてこないリスク
とまぁ外野がワイワイ言うのは簡単ですが、実際商売をしている人からすれば、新しい試みにはリスクがつきものだし、移行するのが難しいしくみになっていたりもするのは最初のtogetterでも言われていることで。
フルプライスエロゲが今の時代のプレイスタイルに合ってない、しかし変遷に踏み切れない膠着状態・・・ってのにかかる大原因として特典問題が盛大にひっかかってると思うのでそこの乗り越え方がブレイクスルーのポイントじゃないかしらね・・・(震え声
あるいは既存の取り扱い店舗がどんな反応をするのか。
そのへんはUMDを排除したPSP goとか3G回線搭載したVitaとかへの反応を見ると参考になるのではないでしょうか。
意外となのか当然なのか、ユーザーにも保守的な人は多いんですよね。
ネットの話だとmixiが足あと機能を廃止したときには「そのままで良かったのに」って声がすごく多かった。
足あとがストレスの原因、みたいな話もあったんですけどね。
Business Media 誠:短期集中連載・mixiはどこへ行く?:第3回 足あと廃止は改悪なのか、進歩なのか――ユーザーコミュニケーションの重要性 (1/5)
この辺は既存のユーザーの移行というより、新規ユーザーを開拓する意識と戦略もセットでないと難しいのかもしれません。
戦略と関連する部分で、データ追加形式にすると序盤から面白くないゲームは伸び悩むかもしれません。
高いお金を払ったのだから最後までプレイしてくれるだろう、といった前提がもしあるとしたら通用しなくなりますから。
追加データごとに、ギャグならばしっかりした起承転結、萌えならぐっとくる一枚絵、シリアスなら衝撃的な展開、続きが気になる引きなどが必要になるかもしれません。
それはそれで長さの割には描写が薄い、と考える人には願ったりかなったりかもしれませんが。
参考になりそうな作品
売り方、というと同人作品なのでアレですが、追加シナリオ方式という意味でひぐらしのなく頃にの発表方法は面白かったのではないでしょうか。
ひぐらしは全部通してプレイしたら50時間とか100時間とかかかる気がします。
ですがシナリオごとならその1/8程度。特に序盤のシナリオは一日でクリアできるぐらいに思います。
ひぐらしのなく頃には作品発表の間の考察などで盛り上がったという経緯があるので、追加シナリオ形式だけで成功したというのは乱暴ですが。
あとスマホゲームでヒロインが追加されていくゲームとして恋愛リプレイというゲームがあります。
コチラは一本の太めのシナリオを分けて配信しているというよりは、短いエピソードをパラパラと配信しているイメージが強いです。
エロゲーよりラブプラス+ソーシャルゲーム的課金と言った方がいいかもしれません*1。
ただ日常パートを延々と楽しむならこういう形式もありかなーと思います。
今後このジャンルが盛り上がっていくなら、エロゲーメーカーがこちらに参入、といった形もあるかなーと思いました。
ソーシャルゲームも今やスクエニやバンナム、セガにカプコンに大手ゲームメーカーが参入していますので、それに似た流れはあるかもなーとか*2。
個人的なゲームに対する気持ち
長さの話にも絡みますが、私がゲームを買うときは果たして値段に見合った面白さがあるのか、というのが一番不安です*3。貧乏性なもので。
だからよほど思い入れなり信頼感なりがないと、フルプライスには手を出しにくい。
そういう意味では気軽に買える値段と長さに分割して売りだしてくれれるとありがたい。
ただこの場合、気に入らないと残りを買わないというメーカー側にはありがたくない客なのですが。
あとゲームを小分けにすることからの連想なのですが、無料体験版のデータを製品版でも使えるとありがたいです。
体験版が製品版も面白いと確信するに十分な長さがあればあるほど製品版の序盤が億劫になるんですよ。
今だとどうなんでしょう。製品版でもセーブデータ使える作品増えてたりするんでしょうか。
まぁそんな感じです。
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