こりゃ本腰入れて絵を読まないとな…と思わせるマンガに出会いました
先日乙嫁語りというマンガを購入しました。
書店で表紙をよく見かけたり、ネットで名前だけは見かけていたマンガです。
購入したのはBOOK☆WALKERという電子書籍ストア。
85円で売っていたのが購入の決め手でした。
で早速読んで見るわけです。最初のコマがこれ。
森薫『乙嫁語り 1巻』(BEAM COMIX)P3
いきなりガツンとやられました。
この書き込みはちょっと…、いや、かなりびっくりしました。
ここまで書き込まれていたら、本腰入れてじっくり絵を読んでいかないといけないな、と思いましたよ。
自分としてはマンガを読むとき、セリフを読んでその補助として絵を見る、みたいな読み方が多いです。
文字情報は余すことなく読むのですが、絵については細部を見逃す事が多い。
テンポ重視の読み方というか、ストーリーが気になって先へ先へという気持ちが強いのです。
なので俗に萌え四コマ、なんて言われるような、じっくり雰囲気を噛み砕いて味わうようなマンガとは正直あまり相性がいいとは思っていません。
よつばと! も本気で楽しめる様になったのは最近のような気がしますし。
絵をじっくり見て、そこから何かを読み取ろうとする姿勢があまりないです。
でも冒頭にこの絵を出されたらそりゃしっかり読み取らないといけないな、と思いますよ。
森薫『乙嫁語り 1巻』(BEAM COMIX)P3
そしてその心の準備に応えるように見事な描写が待ち受けている。
狩りのシーンでは張り詰めた空気にセリフも効果音も差し挟む余地はないし、工芸品を作るシーンでも言葉がなくとも絵が雄弁に語りかけてくれる。
その他にも19世紀の中央アジアの風景、文化といったものが背景、服装、小物として克明に描写されている。
いやはやホント美しいです。
ストーリーとしては19世紀の中央アジア、1人遠くの村からエイホン家という家に嫁いでいた20歳のアミルとそれを取り巻く人々たち、という感じでしょうか。
結婚とそこから生まれる血縁関係も今の感覚とは違い、どこか日本の戦国時代の政略結婚的なものを感じます。
そして20歳という年齢はたくさん子供を産むという価値観のもとではむしろ結婚するのが遅い方という。
時代と地域で風習は変わってくるのがよくわかります。
その関係で一部ややきな臭い雰囲気がありながらも、アミルとその夫、12歳のカルルクの仲はとても和やか。
カルルクはエイホン家の跡取りということもあってか、その年にしては落ち着いているように見えるも、アミルの事になるとやや冷静でいられない様子。
アミルはアミルで超然としたところがあるのですが、どこか考え方が普通の人とズレているところもあって、ちょくちょく面白いことに。またアミルもカルルクのことになると肩に力がはいるようです。
夫婦、というにはまだ何かが足りてはいないような、でもお互いの愛情はしっかりと見て取れるという、初々しさが端々から伝わってきます。
85円というのは1巻だけではないので、今後ちょくちょく読んでいこうと思っています。