『ドラゴンボールZ 神と神』は私が想像していた映画とは全然違っていました。
予想していたのはめっちゃ強い破壊神ビルスが地球を破壊するためにやってきて、Z戦士たちは刃が立たないけど悟空が何とか勝つといったもの。
それに対して実際の映画はビルスの襲来よりもブルマの誕生日パーティーの方が印象に残るほどでした。
緩やかな日常
今回の映画では地球の一般人たちの姿も描かれるのですが、その大半はビルスの襲来などまったく知らない日常そのものの反応。
そしてドラゴンボールキャラたちもブルマの誕生日というイベントもあって、和気あいあいといった雰囲気でほぼ一貫しています。
それはビルスが襲来してきてからも変わりません。
事情を知らないキャラがほとんどというのもあるのですが、ビルスはせいぜいベジータの知り合いぐらいの扱い。
ビルスも美味しい食べ物を前に自分の扱いについてはほとんど気にしません。
みんなでパーティーを楽しむ場面がかなりの部分を占めています。
やりたいことをやるキャラたち
悟空とビルスが筆頭なのですが、この映画では割とそれぞれのキャラがやりたいことをやっている印象が強いです。
悟空は後先考えずにビルスと戦いたがるし、ビルスは美味しいものを食べ、好きなことをし、気に食わないことがあると破壊しようとします。
その2人とは比べ物になりませんが、ブルマ、トランクス、魔人ブウ、ビルスの付き人ウイスあたりも割と自分中心なところを見せます。
個人的にヤバかったのがブルマと悟飯で、大人になった自分の視点からはドン引きする行動をとります。
ブルマはある意味地球をおもちゃにしているような行動をしており、悟飯は一般人からすれば狂っているとしか思えない行動を取ります。
実際一般人に被害が出てしまいますし。
子供の頃ならあははと笑っていそうな表現なんですけどね。
そんなキャラたちの中で、立場的に割りを喰ったのがベジータでしょうか。
ビルスの恐ろしさを知っている常識的なキャラということで、実に滑稽なことになっています。
ただここは純粋にどこまでも強さを追い求める悟空と、守るために力を発揮するベジータという素晴らしい対比になっているところでもあります。
1人で修行していた悟空をベジータが一時的とはいえ超えることに繋がってきますし。
今回ラストが元気玉でなかったり、悟空が純粋な戦闘バカと扱われてたり、最後に外道な発言をおそらく本気でしていたりと、この2人の違いがすごく明確に描かれていたと思います。
戦闘力と物語の中心
ドラゴンボールと言えばどんどん戦闘力が高くなるインフレマンガの代名詞として扱われることも多いです。
ピッコロ、ベジータ、フリーザ、セル、魔神ブウとどんどん敵が強くなり、それにしたがって悟空たちもどんどん強くなります。
そのため戦いについてこられないキャラが出てきたりもします。
そこで今回の映画なのですが、戦闘力で出番の多さが決まってくるわけではありませんでした。
ピラフ一味なんて戦闘力で言えばかなり低いはずですが、出番はかなり多かったりします。
というかピラフ一味については世界征服という野望がどんどんスケールダウンする「デフレ」が起こっています。
そんなピラフ一味が積極的に絡むことになるのが、戦闘力ではトップクラスのはずの悟天とトランクスでした。
戦闘力ではなく、子供(に見える)という共通点の方が優先されているのが面白いです。
そんな戦闘力については気にしてないよーという作品かと思えば、強さのインフレに関しても、その終わりの無さが物語終盤で示されたりもします。
戦闘力だけの物語でもないし、戦闘力に関してもその限界は笑えるぐらいに遠くにある。
そんなドラゴンボール世界の広さを改めて教えてくれたように思います。
ドラゴンボールZの固定観念を壊すかもしれない映画
今回ドラゴンボールZを見に行って、映画館に子供の笑い声が何度も響いていたことが印象的でした。
ビルスもネコっぽさというか気まぐれさとか、敵キャラというよりはゲストキャラという言葉の方がしっくり来ます。
もちろんバトルも場所を変え手法を変えとかなり力が入っています。
ただ私としてはキャラ同士の絡みを楽しむ映画という印象の方が強いです。
私のように、ドラゴンボールにバトルのイメージしかない方にはぜひとも一度見てほしい映画です。
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