様々なアイドルユニットのリーダーのあり方が見えるアイカツ! 38話、39話
毎週様々なアイドル活動を繰り出してくるアイカツ!。
私はこの作品がとても好きで、毎週楽しく見ています。
そのアイカツ!は先週、主人公の星宮いちごがリーダーを務めるソレイユ、トップアイドル神崎美月がリーダーのトライスター、天然系アイドル有栖川おとめたちの自主ユニットぽわぽわプリリンと3つのユニットが揃いました。
どのユニットも個性的なのですが、そのリーダーのあり方もかなり違うのがなかなか面白いところです。
高みに登ってくることを待つ神崎美月
神崎美月はアイカツ! の一話から登場し、現在に至るまでトップアイドルとして活躍し続けています。
その美月がリーダーを務めるトライスターはメンバー一人一人の高い意識が求められています。
美月はメンバーの手をとり、引っ張り上げるのではなく、トップであり続ける自分を見せ、それに負けない輝きを持つこと、一人一人が強く輝くことを求めるリーダーです。
みんなを繋げる要でありながら、自分から動く星宮いちご
高みにあり続ける美月に対して、星宮いちごは側にいるアイドルといっていいのではないでしょうか。
その親しみやすさは美しき刃の異名を持ち、いつも1人でいた蘭がいちごなしではアイドル活動を続けられなくまでメロメロになってしまったところにも見て取れます。
蘭と友達 - 藤四郎のひつまぶし
いちごたちが通うスターライト学園の学園長はそんないちごをみんなを繋げる扇子の要だと表現します。
同時に要なのに自分から動いていくという特異性についても触れています。
そのいちごの特長は39話でも見て取れます。
39話では学園長がいちごたちソレイユにお仕着せのプロモーションに安住しないよう、テレビやインターネットなどの媒体を使わず、自分たちの足でステージの観客席をいっぱいにし、それが出来なければステージは中止するという試練を与えます。
これに対して一番最初に反応したのはやはりいちごで、ソレイユのメンバーであるあおい、蘭、そして自分たちのファンとそうでない人を巻き込んで観客席を埋めようとしていきます。
かと言っていちごがみんなをぐいぐい引っ張っていくリーダーかといえばそういうわけでもありません。
まだアイドルを初めて1年程度のいちごは間違ったり、他の人のサポートを受けることも多いです。
例えば32話ではライブとCMを両立させるために仲間たちの力を借りています。
優しさに包まれていたアイカツ!32話 - 藤四郎のひつまぶし
38話でもいちごを手押し車しているあおいと蘭は、頑張るいちごを私達が支えている感じ、というセリフを言っていたりもします。
SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』38話
いちごはみんなに力を借りながらみんなを引っ張っていくという、親しみやすいリーダーなのだと思います。
おとめちゃんの洗脳
自主ユニットぽわぽわプリリンのリーダーおとめちゃんは美月ともいちごとも違う独自の路線を突き進んでいます。
おとめちゃんのリーダーとしてのやり方は、すべてをおとめ色に染め上げてしまう、いわば洗脳といってもいいものだと思っています。
それは38話と39話でのメンバーとのやりとりから見えるものです。
38話でグループ名、デビュー曲をメンバーのいつもおしとやかで先輩に経緯を払うさくら、演技に定評のあるしおんに披露した時の反応はあまり芳しいものではありませんでした。
特にデビュー曲に関しては
「人間の理解を超えています」(さくら)
「好きなものを並べただけってのは理解できる」(しおん)
とはじめはさんざんでした。
しかしさらなる歌詞を聞いたしおんは「頭が痛くなってきそうだけどなんかいいな」と意見をやや軟化させます。
39話ではおとめが考えたであろうアイサツを恥ずかしがるしおんを、しおんには7つの顔があるから大丈夫と丸め込みます。
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SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO『アイカツ!』38話
このような手腕を見ると、おとめは自分のユニットを自分色に染める手腕に長けていると思わせます。
いわば洗脳、宗教としてのアイドルというものを体現しているのではないでしょうか。
ちなみに38話でさくらの楽しいユニットになりそうです、という発言にしおんが楽し過ぎないか?という疑問を返していて、楽しすぎてマズイもの、芸能界というワードからは飲んだりうったりすると楽しくなってしまうクスリ、というものが連想されるのですが、まさにおとめちゃんは周りの正常な思考を麻痺させてしまう麻薬の売人の元締めのようなリーダーなのかな、なんて連想が浮かびます。
大人たちの見守る視点の違い
ちょっとリーダーの話とは外れるのですが、39話では3人の大人が別の視点からいちごたちを見守っています。
切れ者の学園長はいちごたちの将来を見据えて、厳しい試練を与えます。
ノリが良いジョニー別府先生はステージを満席に出来なかったけどステージをやりたいいちごたちに、学園長の指示に背くことになっても、GOサインを出します。
いちごの母であり、過去伝説的なアイドルであったと匂わせるりんごは、アドバイスをするだとかの直接的な行動をするのではなく、いつもニコニコ応援をしています。
大人たちはそれぞれ違った形でいちごたちを見守ります。
リーダーのあり方もグループ、アイドルによってそれぞれです。
そのどれもが安易に否定されたりせず、しっかりと見せ場を作っています。
この個性の発揮の仕方とそれを肯定する物語づくりがアイカツ!の清々しさ、楽しさの根本なのかなと思うのです。
ダイヤモンドハッピー/ヒラリ/ヒトリ/キラリ