藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

天気の子

最序盤はこの作品エンタメしないかもとやや不安だった

本編で帆高も何度も似たようなこと言ってたけど、やはり天気が晴れてるだけで気持ちが前向きになるわけで、逆に曇りや雨だとどうしても暗い雰囲気になってしまう。
本作は天気が雨、さらに東京、特に新宿の路地裏や夜の商売といった暗いところが舞台になっていることが多い。
本作の情報をほとんど仕入れてなかったのもあって、最序盤はすげー陰鬱な作品になるかもとちょっと不安になった。
まぁ杞憂だったけど

ライター仕事、お天気ビジネスのワクワク感

帆高がK&Aプランニングで働いている姿、陽菜と凪と一緒にお天気ビジネスをやっている姿がすげー楽しそうでよかった。
君の名は。で主人公二人が入れ替わってる時と同じく、劇中歌が流れる中での日々の経過の描写だったけど、やはり歌ってのはこちらのテンションをかなり左右するファクターなんだなと再認識。
あと君の名は。だとこのミュージックビデオ的な流れの中で主人公二人が惹かれ合ってたことがイマイチピンと来なかったのに対し、今回はそういう劇中とこちらの感情の齟齬があまりなかったなーという印象。
劇中歌+日々の経過のシーンでもセリフが入ってたりするところもその手助けになってたのかなとか思った。

クライマックスの満身創痍感とここは俺に任せて先にいけ

物語序盤からのネカフェ暮らしだったり、危ない仕事だったり、拳銃の不法所持だったりのどん底感が、クライマックスの警察に追われ、有刺鉄線で血を流し、くっそ長い距離を走り続けてからのラストの廃ビルのシーンでの満身創痍感に繋がっているように感じられて好み。
そのどん底の状況で、K&Aプランニングの二人と凪くんこと先輩が入れ代わり立ち代わり帆高を助けてくれるのはグッとくる。
君の名は。でも村のみんなを避難させるのに勅使河原やらの協力を得ていたから、仲間の協力ってのが本作の特徴ってわけではないはずなんだけど、なんか印象的に感じた。なぜだろう?

お前が世の中に期待してないように、世の中もお前に期待してないよ

ラスト前、須賀さんが世の中はもともと狂ってると言って、東京が水没したのは帆高の責任ではないと説く。
それは帆高への優しさとも取れるけど、そのままの意味とも思えるし、自分としてはそのまま受け取るのがしっくりくる。
実際お天気ビジネスの初回のフリマの依頼もビジネスをたたむきっかけの一つだった花火大会の依頼も、他に手もないしダメ元、験担ぎでしかないというのが強調されてる。
終盤の帆高も何も与えず、何も奪わないでと世の中にはただただ放っておいてくれと言う。

そういう部分から、この作品はある意味世界と帆高たちの隔絶を描いたドライな作品だとも言えるのかなとか思う。

情報の刈り込み方が好き

帆高の家出の原因となる家族と島の閉塞感や、陽菜が晴れ女となるきっかけといっていいだろう母親の死といったものですら、作中で詳細には語られない。
実際そこがなくても本筋で疑問符が浮かんだりはしないんだけど、帆高と陽菜(と凪)は疑似家族みたいな関係を築くわけで、その対比にもなりそうな部分をバッサリ切り捨てるのはすげーなと思う(単に時間が足りないだけかもしれんけど)。
もしかしたらその情報を捨てることで、帆高の捜索願とか陽菜がどうして凪との二人暮らしを続けられたのかとかの疑問を抱かせないようにしてるのかもなーとか。

空の魚の話もそれっぽい解説が気象を研究してる人(?)の取材とかで出てたけど、結局作中で確定版みたいな解説がなかったり、K&Aプランニングが多分圭介&明日香プランニングなんだろうなと匂わせたり、本筋を追うときに引っかからない範囲でこっちの妄想を広げる余地があるのは好み。

この辺、君の名は。だと口噛み酒が入れ替わりのキーになってたりの、本筋に関係する部分で説明不足のために疑問符が湧いてちょっと感情移入を阻害される部分があったので、今回の情報の刈り込み方のほうが好みだった。

クッソ役に立たないヤフー知恵袋

作中でヤフー知恵袋が実名でポンコツっぷりをさらけ出してるんだけど、許可とっておいて割とボロクソの扱いをするの冷静に考えるとすげーなと。
作品として今の日本、東京の描写としてああなるのはよく分かるんだけど、Yahoo JAPANで許可出した人はあれで知恵袋の宣伝になると思ったのだろうか?
あるいは逆にうちのサービスはあんな感じなんで過度な期待をされても困りますよー的なエクスキューズ?
冷静に考えるとすげーなと思った。

面白かったです。

最近はアニメよりもMTGやマンガを楽しんでる時間が多くて、天気の子も友人に誘われなかったら行ってなかったかもしれないってぐらいの注目度だったんだけど、やはり新海監督作品の背景、光の表現ってのはめちゃくちゃ魅力的で、そんで主人公の誰かを強く思うことの表現はぐっとくるなと再認識した。
今東京にあんな期待を抱いてやってくる高校生がいるかとか、なんで母親が死んで中学生と小学生が一人暮らしを1年間続けられたのかとか、そもそも人柱とかの設定どうなってるんだとか、多分突っつけばわさわさ埃も出てきそうなんだけど、そんな部分には目を瞑って浸れる魅力がこの作品にはあったなあというのが最終的な感想です。はい。