藤四郎のひつまぶし

プロの素人によるブログ

PUI PUI モルカーに見える「わかりやすい悪役を求める空気」

Twitterのタイムラインで見かけたPUI PUI モルカーという聞き慣れない単語。
どうやら話題のアニメらしいので配信を見てみた。
するとそこに映されたのは現代日本の病巣だった。
www.b-ch.com

第1話「渋滞はだれのせい?」はタイトルの通り渋滞の話だ。
渋滞の先頭は音楽を流してスマホに夢中のドライバー。
折の悪いことに救急車がその渋滞にハマり、動けなくなってしまうという内容だ。

だがこのストーリーはかなり不自然だ。
渋滞の原因の約7割は交通集中。つまりだれか一人が悪いというものではないのだ。
また渋滞の原因は事故の17%、工事4%と続き、その他は6%でしかない。
www.e-nexco.co.jp

「渋滞はだれのせい?」と問いかけ、その原因をわざわざレアケースである個人のスマホ操作に求める。
これは現代社会が求める「わかりやすい悪役を求める空気」を反映したものと考えざるを得ない。

そして社会的に悪と認められた者に対して、PUI PUI モルカーは過剰な罰を与える。
先頭のモルカーは後続のモルカーに上から何度も轢かれボロボロになり、
なんとか這い出したドライバーは実に6人もの警察官に制圧される。
この人数にのしかかられたら命の危険があってもおかしくない。
逃亡等の恐れを感じられないドライバーに対し、この扱いは明らかに過剰だ。

現代社会における様々な問題は、個人の責任にできないものや簡単に解決できないものが多い。
例えば直近の大きな問題であるコロナについても、
一人一人のソーシャルディスタンスなどの心がけや
法人によるマスク等の衛生製品の生産、ワクチンの開発、
そしてそれらへの政府の支援といったふうに一つ一つ積み重ねていくことでしか問題は解決できない。

だが人はそのような積み重ねや複雑さに耐えきれず、
「わかりやすい悪役」を求め、それを断罪して問題を解決した気になってしまう。
PUI PUI モルカーはそんな現代社会の病巣が生み出したグロテスクな怪物なのかもしれない。